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いつかの恋を待ってる  作者: かようこ
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ドライフラワー

 瀬戸さんの家から、離れて、しばらく歩く。

 私が住んでいるのは女性限定のマンション。

 入居の際、提出した書類の家族、兄弟以外の男性は部屋に入れない。

 万が一、それ以外の男の人を入れたら、即刻、退去といわれている。

 セキュリティがよく、その分家賃が高いけれど、母が私の一人暮らしを心配してここに決めてきた。


 マンションの門を開け、エントランスで、呼び出しボタンを押す。

 ここで、管理人室にいる大家の南さんに了解をもらう。

「南さん、こんにちわ」

 管理人室につながる小窓が開き、南さんが顔を見せる。

「今朝、話した弟です。いいですか」

 私の隣の翔を見て、手元の紙に目をやり、また、彼を翔を見る。

「弟さん、またカッコよくなったわねぇ。どうぞいいわよ」

 入居時に提出した書類に家族の写真が必要だった。

こういう時にそれで家族かどうか確認するため。

「出る時、また、声をかけてね」

 ここを通過しないと男性は、エントランスにも入れない。


 翔は部屋に入って一言。

「きれいにしてる。あいかわらず」

「まぁね」


 そんなにきれい好きではないけれど、散らかっているのは嫌い。

物は増やさないようにしている。


 女性専用だから洗面台が大きく、バス、トイレは別。

 キッチンは小さいテーブルを置いても余裕で動ける広さ。

 この部屋には満足。


 翔は私の部屋を見まわして、窓際のドライフラワーに気づき止まった。


 ちらとこちらを見る。ドライフラワーがどうしたのだろう。

 でも、彼は何も言わず、また、ドライフラワーに瞳を置く。


 私が何か、言いだすのを待っているようだ。


 というより、無言で、コレ何? と問うてる空気感が醸し出されてる。


「その花ね、もらった時、開いてなかったし、すごく綺麗だったから。きっとドライフラワーも綺麗にできるかなって。素敵でしょ」

 なんだか、焦って言い訳しているような話し方をしてしまった。


 彼は私の話を聞こえなかったように、ドライフラワーからついと瞳をそらし、窓を見る。

 こちらを見ないし、黙っている翔にどうしたらいいか、困ってしまう。


 ようやく出たのがこの一言。


「どうかした?」


 彼は窓に映った私の顔に気づき、そちらからも瞳をそらした。

 ものすごく、不機嫌そうに。


 それを見たらどうしようもなく悲しくなってきて、瞳をふせる。


 翔がため息をついた。

「うん、どうもしない。ただ、この花、いつ誰にもらったの」

 やっと、口を開いたと顔を上げると彼はまた、ドライフラワーを見ていた。でも、無表情。


 そういえば、この花を貰った経緯は、ちょっとおもしろかったことを思い出す。


「これはね、去年のクリスマスにもらったの」


 よく見ると、翔はドライフラワーを睨んでいるようだ。

 そして、ふいに唇を尖らせた。


「へー……」 


 話しを聞く気があるのかないのか、わからない返事。

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