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96.分析

怖かった、本当に怖かった、なんだあの犬は事前に状況を確認して千秋を起こし待機させていなければ死んでいた、弥生に殺意など無かった私が対応できると思い込んでいたのかも知れない


私の戦闘力は低くは無いが近接戦は苦手だ、前衛がいて初めて実力を発揮出来る、護衛の無い状態で魔法や神力が通用しない相手だと詰んでしまう、香織の飼い犬に土下座させられたのはそのためだ


何とか嘘を並べて威厳を保ち平和的に解決できた、カーリアと千秋の悪巧みに手を貸したのがそもそもの間違いだった、私が聖女だった事と「寛容」のスキル持ちなのは本当だが弥生に言った様なヤバい事はしていない


勇者が女魔王に誘惑された時に二人の関係をスキルで良い感じに誘導しただけだ「寛容」のスキルを使いお互いの敵意や恨みを軽減してハニートラップを純愛にまで昇華させたことは私の戦果だと誇ってはいる、そのあとに勇者と魔王の相撃ちを偽装して私の魔王討伐の旅は完了した


2人は勇者の転生前の世界で幸せな新しい人生を手に入れているらしい、その後の事は私の知った事ではない。当時の使徒や女神の責任だ私の役割は十分果たしたのだから、そんな回想より弥生に対する対応を進めなくてはならない


カーリアと千秋に任せてはおけない、私の嘘が捲られる前に引き継ぎを済ませる、せっかく綺麗な身体のまま女神にまで昇りつめたのだ今更処女を捨てたいとも思わない、真面目に誠実に引き継ぎを終えよう、千秋に驚かれ弥生の仕業だと思われるくらいの健全な進行だ、弥生も抜け落ちが無いようにしっかり質問してくる


弥生の寝室は別に用意した大きな寝台も準備してある、相手が欲しいなら獣が2匹弥生を狙っている、引き継ぎに遅れが出ないのであれば2人でも3人ででも楽しめばいいのだ、私を巻き込まないでくれれば十分だ自分の部屋にしっかり中から閂を付けて身を守ろう





いつの間にか私は眠らされ、幸せな夢の中に微睡んでいた、女神様に起こされるまでそれが夢だと気が付かなかった、弥生が一夜を共にする事で相手のスキルを複製できるスキルを所持している事はカーリアから聞いていた、そのために一時的にではあるが女神様とカーリアの手で弥生のスキルを全て封じていたのだ


ゲームを楽しむために「軍団」のスキルは解放したが私を眠らせ夢の中に誘い込む様な力は無い筈だと油断した、軍団で使役出来る者を召喚したのだろうか?夢魔等を呼び出したのかも知れない、自分の影武者用のゴーレムにスキルを移して隠していた可能性もある


ゲームに勝利してそのままベットに誘ったのが間違いだった、カーリアを呼んで「軍団」を再封印しなければいけなかった、弥生には平行思考のスキルも有ったのだ、昨日のゲームは本気で無く接待だったのか?それとも分身を作って隠していた為に能力が低下していただろうかのか?


気付かれない様に自分に暗示をかけて記憶まで操作する、後の状況を読み切れば可能だが、そんな事が出来るだろうか?弥生の父であったエルダーリッチは自分の狂気と向き合い自分自身を使役して目的を果たしたのだ、娘の弥生ならそれ以上をやり遂げても不思議ではないと結論を出した


私とカーリアの悪戯が逆手に取れれてしまっただけと思えば致命的な結果にはならない、弥生もそこまで怒っている様子は無かった、それ以上に2対1で敗北した事は屈辱だ、それも自分の我儘と油断が敗因なのだ、それなのに本気の弥生とゲームでもう一度戦いたいという思いが私の頭の半分以上を埋めていた


もう一度カーリアと組んでベットの上で弥生と戦いたと思わない私はカーリアとは弥生に求める事が違うのだろう、残念だが上手く3人でやって行けると考えればそれも良いかも知れない、弥生とカーリアの間に割り込む事は出来なかった、浮気相手は私の方だったのだろうか?弥生を諦めきれない自分を誤魔化しきれないまま思考を巡らせた





千秋が不甲斐無いせいで弥生を共有するはずが面倒な事になってしまった、女神様は弥生を後継者に決め引き継ぎを進めている、女神様は普段の言動のわりに身持ちが固い元からそうなのか女神なった影響なのか分からない、弥生が暗黒神の力も所持して女神を継ぐのだから私達への興味が無くなる事は無いと思うが確証は無い


千秋に私の弥生に手を出したと責められたが私と弥生の関係はもっと長く切り離せない関係だ、ぽっと出の千秋に文句を言われる筋合いは無いのだが腕力では敵わない、女神様に仲裁して貰ったが2人の共有という事で妥協させられた


それでもこの状況はチャンスかもしれない、千秋は弥生をゲームを楽しむ為の仲間としても見ている、私の方が純粋な思いが強い、重い女に見えない様に関係を再構築していこう「私と千秋とどちらが好きなの?」聞きたくて仕方が無いが口に出してはしけない、弥生が望む女にならなければいけない


そんな事は理屈ではわかっているのに、ありのままの自分を好きになって欲しいという思いが賢い最善手を選択する邪魔をする、いっそ自分の衝動をスキルで封印してしまいたくなるが、それはもう私では無いだろう、そう考えて自分達が弥生に仕掛けた事に思い返す


あのまま弥生を千秋と分け合う様な真似をしなくて良くなったのだ、千秋のミスに感謝し無ければいけない、だからといって弥生を手に入れる戦いに手加減などしない、友達として千秋と接する事は認めよう、この戦いには完全勝利を収めるチャンスが来たのだ、全力で千秋と戦い勝利を勝ちとって見せよう

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