90.後始末
本神殿で引き継ぎをしているとユリアン殿が部下から呼び出されて中座された、以前私を危険視していた審問官の第二席だ、実力は十分だ千秋と共に魔王を討伐した魔法使いでもあり私が配置している監視用のゴーレムの一部を引き継ぎ作成法やメンテナンスの方法を伝えていた
マニュアルを作成して部下にも技術を共有したいと言うので協力している、私には「軍団」のスキルや魔王の力があり多数の同時運用が可能だが、それを組織的に運用する事でカバーする現実的で堅実だ
相互監視が可能で1人が欠けただけで機能不全を起こすことも無くなる、私の危険性に気付いた事も含めて優秀だ後を託す者として適任だろう
しばらく待っているとユリアン殿がガンダルフ殿と二人の審問官を従えて戻って来た、1人はポールと言ったかイザベルと組んでいた元神殿騎士だう卯月が実力不足を分からせていた、もう一人女性がいる初見の様だが魔力に覚えがあるフレデリックと同じものだ
「ヤヨイ様、2人は女神様の奇跡と言っているのですが異変が発生いたしました、見て頂いてご意見をお伺いしたいのです」
ガンダルフ殿が困惑しながら私に意見んを求めて来た
「フレデリック⁈女神様の奇跡で女性化したと言うのですね?」
本人に聞いてみることにした
「ヤヨイ様、お聞きください私とポールは自分の力不足とイザベルに対する思いやお互いに対する友情を越えそうな感情を持て余していたのです、修行に打ち込みながら自らの進むべき道に迷い答えを探している中、気が付けば私の身体は女性のものに変わっていました」
「俺達2人は2人部屋で修行の日々を過ごしていいました、フレデリックと同じ悩みを抱えておりましたが昨日の修行を終えたあとフレデリックの変化に気が付きました、彼の、いえ彼女の姿をみて女神様の贈り物だと確信したのです」
フレデリックとポールが順に自分の心境と行動を説明する、この後も二人は呆けたように惚気話を続ける、昨夜の行いに話が進みそうになったところでガンダルフ殿は2人を連れて退室された
「ヤヨイ様このような状況でして、どうしたものかと?」
ユリアン殿が困ったように私に意見を求めた
「丁度、ゴーレムの運用を引き継いでいたところです彼らの部屋や修練をしている設備の確認をしてみましょう、女神様の奇跡では無いと思うのですが、他にこの様な事を起こす者に心当たりは有りません、それでも何か手掛かりが発見できるかも知れませんので」
「ユリアン殿がゴーレムを操作して確認して下さい、その後で私もやってみましょう、技術の継承に丁度いい機会でしょう」
ユリアン殿がゴーレムを操作し二人の部屋を中心に確認していく私が提供した魔道具で部屋の様子を確認していったが手掛かりは発見出来なかった
「ユリアン殿のゴーレムの操作は問題無い様ですね、後は経験を積み重ねていくだけです、次は私がやりましょう」
私がゴーレムを操作し部屋の隅など隈なく確認していったが石造りの壁の隙間を埋めているモルタルに蟻の開けた穴が発見されただけだった、だがそこで奇妙な魔力の痕跡を見つけた、そこにいた蟻に微かだが魔力が残っているのだユリアン殿にはだまってその蟻を回収する
「ここでは新しい手掛かりは無いようですね二人の身体を魔法で確認させて頂いても構いませんか?」
許可を得て2人の身体を調べたところ、性転換のポーションと催淫効果のあるポーションの痕跡が見つかる通常の手段では発見できない程度のものだ
「私も確認したのですが異常は有りませんでした、祝福すべきかは分からないのですが子供を授かっているようでしたがどうしたものか?」
ユリアン殿が心情を吐露する
「そうですね、フレデリックは身体強化の魔法が時でしたね、魔法やスキルで変身を出来るも存在しますがそういった方向の修行はしていなかったと記憶していますがもしかすれば・・・」
私は思わせぶりな言葉を紡いだ
「彼の願いが魔法を暴走させるか、彼らが言う様に女神様が奇跡を起こしたととでも?」
ユリアン殿が言葉をかえす
「確証は有りませんし、女神様の力も感じません、ただ身体に女性化以外の異常は見つかりませんでした、受精しているのであれば性転換のポーションで男に戻す事も出来ないでしょう、不可能ではないのですが命を奪ってしまう事になります」
この辺りで幕引きにしたい、引き継ぎの後で容疑者を絞っていこう
「お騒がせしました、当人たちがこの事を歓迎しているようですし、今後の事はガンダルフと相談して対応を決定する事にします」
この後別の引き継ぎを進めて今日の仕事が終わった、用意されている部屋に戻り仕事の続きを行うために魔王城に準備している自分の姿のゴーレムを起動する
使徒になった後も女神の神域から操作出来るのであれば嬉しいのだが確認が出来ない、自分の迷宮に創造した自分の神域からは操作可能だったが多少のラグと言うか操作感が良くない、互角以上の相手との戦闘には耐えられないだろう、もっとも今回のような場合は問題ないまずカトレアとダリアそしてイザベルに聞き取りをしよう
「カトレア、貴女を目の敵にしていた審問官に何か手出しはしていないかしら?」
ダリアでは無いだろう、彼女なら恨みや怒りに付け込み魔王城に誘い出して道中で証拠も死体も残さず始末する
「私からは何も、ただアンジュが自分で彼らとの遺恨を解決すると言っていましたが、本気にはせず放置していました、蜂などで毒殺でもやりましたか?」
カトレアからの返事はこうだった
「2人が男女の関係になって受精までしているのよ、本人達は女神様の祝福だと思っているわ」
3人の表情がそれぞれ違う変化をした
カトレアは報告しなかった事を悔やみ、ダリアは面白そうに笑い、イザベルは驚いていた
「弥生様、申し訳ありませんこんなことになるとは、すぐに報告しておくべきでした」
カトレアが謝罪する
「へ~、どういう手を使うか楽しみにしていたんだけど、想像を超えて来たわね、アンジュも面白い事をする、本人は善意のつもりだから余計に面白いわね」
「弥生様、フレデリカちゃんになったのかしら?それともポーラちゃん?」
次に言葉に出して反応したのはダリアだ
「フレデリカさんよ、確かにカトレアへの恨みどころでは無ないでしょうね、カトレアも気にしなくて良いわ、報告があったとしてもこんな事予想できないわよ」
「イザベル、大丈夫?」
何も言わないイザベルに話しかけた
「はい、大丈夫です私もこんな事になるなんて想像できなかったです、でもアンジュがその気になればどこであろうと毒による暗殺が可能なのではないでしょうか?あんな、幼く可愛らしい子がそんな・・・」
イザベルが別の懸念を告げる
「アンジュはそこまでの事は考えないでしょうけれど、可能か不可能で言えば可能でしょうね今回は本神殿の審問官の宿舎までその手が届くことを証明してくれたわ、あの子の使役した蟻を発見しているの」
「香織を呼び出して釘を刺させることにするわ、アンジュは香織のために真面目に行動するから大丈夫でしょう」
イザベルを安心させるために話しかけた
「真面目にやるでしょうね、アンジュが良かれと思った事を、今回みたいに頑張ってくれるわよ」
ダリアがマジレスを返して来た、不安を煽る正論だ、余計な事を言ってくれる
「そうね、しっかりお灸をすえて貰いましょう、少なくとも「法王国」内部に手を出さない様にさせます」
あまり断言はしたくないが言うしかなくなってしまった、ダリアが一瞬困った顔をした、もっとアンジュに暴れて欲しかったのだろう
イザベルがほっとしたのか、肩の力が抜け浮いていた腰を下ろし椅子にしっかり座り直した
この後香織が準備してアンジュを拘束する為の首枷を作り、花瓶に聖水を入れてヒヤシンスの様にしていたそれをみてイザベルは安心していたがアンジュはそれくらいでは懲りたりしない
アンジュの持つスキルが表すように「勤勉」なのだ香織を魔王にしたいと思って努力を続ける筈だ、それでも「蟲毒壺」のスキルを使えるアンジュ自身が魔王になろうと思うよりマシだろう




