89.婚約
無事魔王カトレアと「法王国」の間で和平の継続が決まった、先代の魔王ヒルダと「魔導国」の間に因縁があり私とニブルヘイム様が国の実権を握っても和平への正式な参加までは果たせていなかったが今回の会議で正式な加盟となった
弥生様が使徒として現世を離れる「魔同国」と「法王国」の関係は共通の敵である魔王軍に対する軍事同盟で友好関係を維持していた、この五年間の和平の間に経済的な交流に移って行きつつあるが異世界転移による勇者の召喚を取りやめると宣言した事もあり関係は良くなっている、この機会に平和条約を締結出来た
今まで異世界転移で召喚した勇者が魔王を討伐したことが2回記録に残っているが、詳細を調べると2回とも「法王国」の勇者の手柄を横取りする様な形での戦果でしかなかった、そのこともあり、「法王国」の中に女神様の領分を犯す行為と嫌悪するものもいたためだろう、ニブルヘイム様(表向きは八大貴族の当主の1人ヘラルド=フォン=ハインリヒ)の評判もよくなり「魔導国」の王となる事を歓迎し承認してくれている
他の八大貴族の掌握も順調だ、ハインリヒ家はニブルヘイム様が当主だ、キュヒラー家・クルーゲ家・ローゼンベルク家の3家はそれぞれ弥生様・勇者香織・魔王カトレアの影響下にあるがニブルヘイム様の統治に協力してくれる
残りの4家は当主をドッペルゲンガーに入れ替え済みだ私たちの思い通りに出来る、後継者はその家の人間から都合の良い者を選択して後を継がせる予定だ、それまでには私達の支配体制は盤石になるだろう
クルーゲ家の当主リーゼロッテ殿が跡継ぎとなるであろう双子の娘を産んでいる、私のニブルヘイム様の子供を授かりたいのだが魔人と人間の間ではそう簡単に子供が出来ない様だ、弥生様に相談したところポーションを頂いた
確実に妊娠出来る上に男女の産み分けも可能との事だ、跡継ぎとなる男児が欲しかったので「魔導国」の戻り早速使用したニブルヘイム様と私それぞれがポーションを飲むことで効果が発揮する2人が子供を望む事がポーションの効果が有効になる条件だと言う、私達の愛が試される様で緊張したが無事妊娠出来た
そう言えばリーゼロッテ殿の娘の父親は勇者香織だという、優秀な後継者を獲得するためには手段を選ばない、だからこそこの「魔導国」で今も力を維持出来ている、力を重視するから私を侮る事無く友好関係を構築出来た、彼女の娘は生まれてくる息子の妃として有望だ、有り難い事に双子である唯一の後継者なら手放さないだろう、気は早いが婚約を打診してみよう
「リーゼロッテ様、美咲様より将来当家より妃を迎えたいと内々に話が来ております、まだ先の話しですが返答はどう致しますか?」
娘達を連れて「魔導国」の首都にある館に戻った時にエリザベスから報告を受けた
「まだ妊娠したばかりと言うのに気が早い事、香織様からポーションを頂いて確実に後継者となる男児を授かると言う話は聞いているけれど、どうしたものかしら」
貴族間の婚姻はそんなものだが、当家は後継者となる娘を産んで優秀な男を種馬として夫にする、香織様の様に種だけを授かる事もあるがその家訓のため今まで娘を他家に嫁に出した事は無い
「当家の技術が流出するのは面白く無いわね、とは言え「魔導国」の王妃を当家から出すメリットも大きいわ、姉のハルカを当家の跡取りとして教育して、妹のカナタを王妃としての教育を施せば当家の秘術の流出も最小限に抑えられるかしら、前向きに検討すると返答すれば良いと思けれどベスはどう思う?」
最も頼りになる侍女の意見も聞くことした
「受ける選択しか無いと考えます、ただお嬢様の意志を確認してからでも遅くは無いかと、例えば後継者として教育したハルカ様が王妃になる事を望まれた場合少し面倒な事になるやも知れません、それにこの先リーゼロッテ様が3人目のお子様を産まれる可能性もあります」
「そうね、3人目の事は分からないけれど、子供の内は毒物等への耐性を付ける事や魔法の基礎の教育になるのだから顔合わせが済んで本人の意思を確認してからでも遅くないわね、お互いの相性が良いとは限らないし、学園生活の内に答えを出せばいいでしょう」
「魔導国」には魔法を学ぶための学園がある平民な中から才能のある者を見出し無償で教育を施し八大貴族をはじめとして士官先を与え、優秀な家臣を獲得る事が目的だ、同時に貴族の子弟達の教育と人脈造りの場であり社交界への入り口でもある
最近は異世界転生で獲得した人間を講師として数学等の一部の学問も教育内容に追加されている、入学が義務では無いが早いものは6歳から多くの貴族の後継者達をはじめ子弟達がここで学ぶことになる期間は10年が上限で平民にとっては獲得した単位の数や評価で選択できる士官先が変化する
貴族の子弟の場合ほとんど講義を受けずに社交クラブで何年か人脈を造り結婚相手を見つける場所にしている者もいる、彼らや彼女らの魔術の教育は実家で親や家が手配した家庭教師が教える事が多い、一部の容姿に恵まれた者にとっては完全に婚活の場となる
私も入学中にそんな顔だけの男にターゲットにされた、中には既成事実を作ろうとする愚か者もいるしそれを歓迎する馬鹿な女もいる、もちろん男女を逆にした馬鹿共の方が多いだろう
当家の家訓を知っている上位の貴族たちはそもそも私をターゲットする事は稀だ、居ない訳では無かったが次男以下の後継者になれない者しかよってこなかった、残念な事にその中に種馬として合格するものは居なかった
ある意味私が優秀な男を獲物として狩る場所だったが八大貴族をはじめ私が警戒される方だ決して2人きりになろうとしない、後継者を奪われたくないのだろう親から強く言われている様だ
逆に平民の優秀な者達の方が期待出来るのだが私の在学中にこれと言う男を見つけ出すことは出来なかった、結果としてこれは幸運だった運命の相手と巡り合う事が出来たからだ
美咲殿が自分の息子の将来のために前もって学園の改革を進めると言っていた、色々軋轢も産むだろうがそれが出来る権力も能力も持っている、邪魔者を排除する機会としても有効活用するだろう、お手並み拝見といこう




