84.新たな世界
神前に私を訪ねてきた時を狙いダリアと共に香織を襲撃した死者の蘇生どころか、吸血鬼化した者を人間に戻せる、時間の経過次第だがアンデットすら蘇らせることが出来るのだ、勝利の為には真っ先に仕留めなければいけない
2対1の奇襲ですら初手で仕留められなかった、神殿となっているが実際は私のホームグラウンドの迷宮であるアドバンテージも「蟲毒壺」の効果だろうウイルスの様な術式で上層階の管理権限を奪われて奇襲で与えたダメージを回復する安全地帯として逆用された
「迷宮作成」のスキルで迷宮を造り直す形でウイルスを処理して取り返した時にはダリアが戦闘不能にされていた、彼女の依り代となる宝貝が破壊され身体が維持できなくなって退場させらている、非常用に迷宮の深部に保管している予備が有るため回復は出来るが時間がかかる、戦力としてはしばらく数に数える事は出来ない
ダリアが倒された事で魔道具に対しても有効な破壊手段を有している事が判った、迷宮の破壊も出来ると思って対応しないといけない、初手でカーリアから複製したスキルで「蟲毒壺」のスキルを封印しなければいけなかった、香織から複製した「蟲毒壺」のスキルを暗黒神に贈った事が悔やまれる
想定したより、香織が柔軟な戦い方をしているが戦闘から離脱してイライザと合流せず、私を仕留めに来てくれた事が私にとって幸運だった、千秋から複製していたスキルでカード化していた魔法の物量で牽制しながら「蟲毒壺」等の香織のスキルを封じて勝利した切り札を見せることになってしまったが使い時だろう
カトレアが本神殿を襲撃して「法王国」の組織的な動きを遅らせるために十分な打撃を与え、神殿にいる対魔王軍の戦力をこちらの手駒に変えるべく私が制圧したところで降臨したカーリアを通して私と対戦していた女神が投了してゲームが終了した
「何なんだお前は、儀式で収集した世界の情報以上にこの世界の戦力を分析して再現しているじゃないか」
女神の悔しさがカーリアの声で伝えられる
「使い魔や監視用のゴーレムを世界中にばらまいていますからね、儀式の効果もある程度再現して解像度を上げてるのでこの完成度が出せます」
世界の状況を私のスキルで再現してゲームの様に模擬戦闘を楽しんでいた
「次は女神様が「魔王軍」を動かして、私が「法王国」側で対戦しましょうか?」
「もう、やってられんよ千秋なら楽しめるだろう、使徒になった後で好きなだけ楽しんでくれ、香織が居ればしばらくこの世界を手入れする必要も無いだろう、頼もしい後継者を迎えられて本当に良かった」
女神の言う様に良い選択だろう、私にとっても悪くない選択だった
このゲームで確認したが相手が千秋なら確実に勝てる勝負ではない、最近は香織の屋敷から情報を収集出来無くなっている完全に屋敷の管理権限を奪われている様だ、少し前の情報で能力を再現したが「蟲毒壺」の能力は更に向上しているだろう迷宮丸ごと管理権限を奪われるかもしれない、私の後継者としては頼もしいが末恐ろしい
「弥生が暗黒神としてこの世界を奪う気なら私も先代の暗黒神の様に追い出される所だった、奴は今何処で何をしているんだ?」
女神が暗黒神の現状を気にしている様だ
「別の世界に追放したんですが、何度か私が迷宮に造った神域にやって来ては神力や戦力の物乞いをしに来ました」
定期的にやってくるハローウィンにお菓子をねだる子供の様だ
「哀れなものだな、とは言え一歩間違えれば、私の未来もそれだったのだから笑うに笑えない、別の世界でも暗黒神として頑張っているのか?」
「この世界と違って多くの神々が力を持って存在する多神教の世界のようです、復讐を司る女神として自分の勢力を拡大してるようですね、本人の言葉なので見栄を張っているかも知れませんが元気な様です、話したい事が有るのでしたら呼び出してみましだねか?」
「面白そうだな、神域が有るのなら私もそこに招待してくれ、カーリアは和平の更新の準備を進めてくれ」
神域に移動し女神を招待したあと元暗黒神に連絡を取った
「初めましてだね、優秀な同盟者を紹介してくれて感謝してるんだ、復讐神が土産も無しに度々里帰りをしていると聞いて土産を持って挨拶に寄せて貰らったよ、押しかける様で申し訳ないね」
暗黒神以外に別の神がやって来たこの世界の女神より力を持っている様だ、一緒に待っていた女神も警戒している
「紹介するわ、私が復讐神になるために協力してくれた豊穣の女神様よこの世界に手を出す気も無いし、私も今では弥生に感謝しているくらいよ安心してくれて大丈夫、一緒に来るなら歓迎するよ」
どういう関係だろう豊穣神がどうして暗黒神を保護したのだろう
「不思議そうだね、豊穣神とってもあれだ、私の森で勝手に狩りをした馬鹿を鹿に変えたり、無断で森の木を切る馬鹿共の村を山崩れで埋める様な祟り神なんだよね、それもあって彼女と意気投合してね」
「良い子分を見つけたと思ったら、意外にも出来る奴だったから、彼女を追い出す事が出来た人間を見てみたかったんだ、この世界はそちらの女神様に任せて私の使徒にならないか?好待遇を約束しよう、既に攻略済みのゲームで箱庭の手入れをして余生を過ごしてもたいして面白く無いんじゃないかな?」
確かに魅力的な提案だがカーリアと千秋を捨てるだけの価値は無さそうに思えた
「私の大切な後継者を目の前で引き抜こうとしないで貰いたいな、暗黒神を連れてお引き取り願おう」
女神も気に入らない様だ
「ここは弥生殿の神域じゃないですか、君も私と同じお客様の立場ではないでしょうか?私は弥生殿と話をしている途中なのですが」
不機嫌な時は口調が変わるのだろうか、それとも怒りを鎮める為だろうか丁寧な言葉に変わった
「この世界は私達の世界だ、客なのはお前だけだ土産も要らないそこの負け犬と一緒に持って帰れ!」
女神は正直に怒りをぶつける
「運で不戦勝を拾っただけなのに威勢が良いわね、弥生殿の介入が無ければそのうち貴女が負けてた思うけど、弥生殿、優秀な後継者としてはこの老害をどう見ているのかしら?」
喧嘩を売った上で私に話を振らないで欲しい、仕方がない何とか双方を立てて仲裁しよう
「優秀な勇者や使徒、そして後継者を発掘するのも勝利の為の能力だと思います、豊穣の女神様から見ても私は手元に置きたい者なのでしょう、自分の管理する世界とはいえ私に先に声を掛けたのは経験豊かな女神様です、これが私の答えとなります」
「ふ~ん、確かにそういう解釈も出来るわね、簡単に裏切らない所も気に入ったわ、気が変わったら何時でも良いからこちらに来て頂戴、役立たずな光側の神がいて足を引っぱるのよ、何時でも貴方の席を用意してあげる同盟を組む神としても歓迎するわよ」
「貴女ならすぐにこの世界を安定させて後継者も用意出来るでしょう、使徒と軍勢を引き連れて来てくれたら嬉しいわ、考えておいて、貴女はこの世界の平和に耐えられないと思うの」
その通りかもしれないが今すぐに返事は望んでいない様だ、無言で聞き流した
「老練な女神様も役目を全うした後なら許してくれるでしょう?土産は弥生殿への物だから置いていくけど復讐の女神は連れて帰るからさっきの無礼は見逃してくれないかしら?」
「許さないと言うならこの世界ごと欲しいものを手に入れても良いのよ暗黒神をこの世界に残して貴女を追い出し、私は優秀な使徒を獲得するの、貴女の経験は私の力をどう評価するのかしら?」
女神も無言で見送った
口惜しさが伝わってくる2対2で戦えば勝利出来ただろうが、私達の間にまだ信頼関係は構築出来てはいない、勝利したところで神力を無駄に消費するだけで得るものが無い逃げれれて終わりになるだろう
それを分かっていてあの捨て台詞だ、戦いにならなくて良かったが私としても面白く無い、こちらから呼び付けた訳だし暗黒神にその意図はなかっただろうが嫌な形でザマァを喰らわされた形だ
やり返そうと思えば向こうの世界に出向いてあの豊穣の女神と共闘しつつ光側の神として手柄を独占する等の方法が考えられるが相手の思惑通りに動くことになる、無視するのが利口な選択だろう
この先どの様な選択をするにせよこの世界を安定させなければ始まらない、暗黒神に融通した戦力を通して向こうの世界の情報を集める事から始めよう泥船に乗り込んだら最悪だ、介入すなら一番美味しいタイミングを狙おう
光側の神に拘る必要も無い、闇側の神として参戦しても面白いだろう、その時はカトレアとダリアを連れていけばいい、それなら堂々と豊穣の女神と戦えるだろう




