78.家出
「カトレア様聞いて下さい、シグルドが酷いんです・・・」
アストリッドさんが私の勧めたボトル入りの血を手酌でグラスに注ぎながら彼氏の愚痴を言っている
そのボトルはカミラの連れてきた医者が献血で血を集めワインボトルに詰め、ダリアが時間経過を止める札を貼って完成する、眷属に加えた冒険者の内吸血鬼化のメリットを選んだ者達が4人残って私に忠誠を誓った、本来はその者達のための物だ
恋人同士の2人と女性が2人、冒険者になる女性は少ないのだが永遠の若さと命に惹かれたのだろう私の下に残った者は女性が多かった、ダリアも4人の弟子を得たが全て男性だ、ダリアの外見に騙されている部分もあるだろうが彼らにとって未知の術式は魅力的なのだろう、極めれば永遠の命を獲得できる事もある
さて目下の問題はアルコールが入っている訳でもないのに血を飲んで酔っ払いの様に愚痴を垂れ流す置物になったアストリッドさんだ、恋仲のシグルドと共に弥生様から授かった秘術で真祖になったのだが、力が均衡し対等になったことで喧嘩が増えたようだ家出娘の様に魔王城に現れ、私の頭痛のタネになっている
かつての師であるアシュノット様の相手に慣れているたため最初は丁寧に不満を聞き解決策を提案しのだが同じ話をループする様になってしまった、弥生様に報告し彼氏に引き取りに来て欲しいと伝言を頼んだのだが彼氏のシグルド殿も機嫌が悪いようで直ぐに迎えに来るような感じではないらしい
本当の酒の様に酔い潰れるのであればベットに寝かせるなり簀巻きにして送り返すなり方法は有るのだが興奮しているだけだ、弥生様が取り付けた吸血鬼同士の交流が彼氏の愚痴を聞いてなだめる事になるとは思いもしなかった、もっと有益な情報交換が出来ると思って出迎えた私の期待を返して欲しい
なんでこんな事をさせられているのだろう?、迷宮の中の私の花畑で美しく魔力の籠った花を集めて花束を作っている
「ついに弥生様の血を頂けるのでちか?」
久々に弥生様から声がかかり、何度も頼んでは断られていたアルラウネを増やすためのお願いが聞き入れられたのかという期待は無断に砕かれた、定期的にカトレア様の魔力補給の為に花を献上していたが今回は「同盟」にいる2級吸血鬼カップルの仲直りのために使われる花束作りだ
それでも貢献すれば希望が通る期待も捨てられない、暫くいい子にしてカオリママのスパイをヒルダママに引き取って貰ったのだが、監視が無くなった代わりに忙しくなってしまった彼女たちは優秀だったと失ってから気付いた、今更戻って来てくれとは言えないし、調子に乗って増やした仕事を減らしてくれとも言えない
結果として無事甲斐性なしのオス吸血鬼が番のメス吸血鬼を回収してカトレア様に褒められた、カトレア様からご褒美に弥生様に血を頂けるよう仲介してくださった
様子を見るために一株分の血を頂き、ワクワクしながら私の新しい手下の成長を待ち待望の時が訪れた、弥生様の血で育ったアルラウネは優秀だった大罪スキル「怠惰」まで持っていた
私や私の支配する蜂達の勤労意欲を高め、能力や魔力にバフをかけてくれた素晴らしいスキルだった、本人が何一つ仕事をしない事に目をつぶっていればだが、「カオリママ魔王育成計画」には貢献どころか足を引っ張る結果になった、本当はやりたくない仕事まで進んでやる様に洗脳されていくのが分かる
私達が懸命に働いている中惰眠を貪り桜島大根の様に太っていくと思えば、栄養すら吸い上げなくなってゴボウみたいにガリガリになったりを周期的に繰り返している、そのサイクルがまわる度魔力が増大して私達に対するバフが強くなるのだ、彼女が動くのは周囲の栄養を吸いつくし溜め込んだ栄養が無くなった後寝床を変える時だけだった
弥生様が自分の血で育ったアルラウネの様子を見て満足そうにして追加で血が必要かと聞いてこられた、大罪スキルは基本的に世界に1人しか存在しな筈だが次のアルラウネがどんな化け物か分からない上に、縄張りが減るのを嫌って最初の一株が自分だけで十分だと弥生様に言ったため話は無くなった
確かにもう十分だ別の大罪スキル持ちが生まれたらどうなるか分からない、このディストピアは私が「勤勉」のスキルを獲得して「怠惰」のスキルの影響下から外れるまで続いた、そしてもう一つ「迷宮管理」のスキルも獲得していた
もうこんな所にはいられない「迷宮管理」のスキルおかげで弥生様の「迷宮作成」で生み出した迷宮を飛び地でも管理が出来る、今までは独立した迷宮は弥生様の管理から離れ遺跡のようになるカオリママの住んでいる所がそうで定期的に弥生様が訪れてメンテナンスが必要だ
「迷宮管理」のスキルを獲得した事により弥生様の迷宮が引っ越す前の場所に私の迷宮を作って貰える事になった、その迷宮の管理で経験を積めば「迷宮作成」に進化する様だ頑張ろう「勤勉」のスキルもある最終的にはカオリママの為に魔王城を造るのだ




