74.巡礼
シグルドには様子を見るといったもののカトレアの動きも「法王国」の介入も気に入らない、何か連動している様にも見える、後ろで糸を引いている者がいる、これが私の結論だ
巡礼者に紛れて聖女ユリアが修行の場所にしている神殿に潜入を試みた、吸血鬼とばれる筈のないレベルの魔術的偽装をし変装までして神殿で受付をした、他の巡礼者から情報収集した結果、目的の聖女ユリアは魔王討伐を成し遂げたイザベルの森にいる様だ
多くの巡礼者の目的は聖女イライザの癒しだ重い病気や進行した呪いも癒してくれると言う、わたしは軽度の呪いを偽装したため癒しの担当者はクロエと言う名の司祭に割り当てられた聖女イライザ・聖女ユリアに次ぐ実力を持っているらしい
丁度いい獲物だ、聖女イライザは単身で魔王を倒した実力者だ迂闊に癒しを頼めば正体がバレるかもしれない女性として殿方に見せられない部分に呪いの症状が出ている事にしている1対1での解呪になるだろう、眷属にしてしまえば今後の役に立つだろう
そう思って自分の順番を待ち治療や解呪を行う部屋に案内されるとクロエと言う司祭が脇に置いていた奇妙な形状の杖に付いた飾りの金属製の輪が金属音を奏で彼女の前に浮き上がった、女神の神器だろうか私の正体を暴き出した、クロエが杖を握り魔力をこめると私の手足が痺れ先から塩に変化して崩壊していく
「お待ちください、私に呪いをかけたのは吸血鬼なのです、直接聖女様にお願いしないと邪悪な存在として救われることなく殺されるかもしれないとこのような真似をしたのです、どうかお救い下さい、お願いします」
何とか事前に考えておいたストーリーが効果をあげ杖の効果が中断された
「そうでしたが、申し訳ない事をしました、しかし完全に吸血鬼化しているようですね錫杖の効果が進むんで手遅れになる前に、弥生様に相談しましょう案内します」
私はゴーレムに抱えられ神殿の奥に運ばれた
「よくも可愛い弟子を騙してくれましたね、それでも要件だけは聞いてあげましょう、話が出来る位までは癒してあげます」
2人きりになった後にこの言葉を掛けられた、先程の司祭は騙せたが弥生と言う魔術師には気付かれたようだ、冒険者ギルドでゴーレムを操っていた化け物だ消滅を覚悟したがまだ助かる可能性はあるかも知れない、変な入れ物から血をかけられ身体の崩壊が止まった
「弥生様、感謝いたします200年前に魔王を務めておりましたアストリッドと申します」
まずは感謝を伝えた、一息ついて彼女を見ると微かに魔王の力を感じるそればかりか暗黒神の力まで感じた、私がかつて魔王だったから何とか気が付くことが出来たが聖女でも気が付くか分からないレベルだった
その内神官衣を来た黒い髪の女が入って来た、特徴を見ると巡礼者から聞いた聖女イライザの特徴と一致する、私の知る聖女イライザと巡礼者の話が違っていたため変だと思っていたが彼女は何者カなのだうか?
「香織、彼女を治せるかしら結構酷い有様なのよ」
「今度はカトレアさんの眷属が逃げ出して来たみたいですね、任せて下さい人間に戻して手足も再生しましょう」
「え~と香織、そうじゃ無くって・・・いえこちらの話、気にしないで、任せたわ」
「流石「同盟」のSランク冒険者ですね眷属化した効果を考えても大した魔力です」
有り得ない話が進んでいくどうやったら吸血鬼化してしまった者を人間に戻せるというのか、そんなことが出来るなら、私は魔王になどなっていない、失敗して消滅する運命だと諦めた
カオリと言う女が神聖魔法と精霊魔法を当時に発動している信じられない、同系統の魔法ですら複数の魔法の同時魔法は難しい、同系統でも別の種類の魔法の同時展開が出来れば一流だ、長い詠唱が欠かせない魔法を無詠唱で発動させている、蘇生の奇跡と、フェニックスの召喚に加え何らかのスキルも発動させている
止まって久しい私の心臓が脈を打ち体温を感じる、塩となり崩壊していた手足が再生する16歳で高位の吸血鬼に眷属にされた当時より若い身体の自分がそこに存在していた
「香織、ご苦労だった奉仕に戻ってくれ」
「了解です、今回は少し時間がかかりましたね、前にカトレアさんの眷属に血を吸われた被害者より時間がかかりましたがそのおかげで「蟲毒壺」新しい情報が入りました」
と嬉しそうに帰っていった
「アストリッド殿でしたね、うちの勇者が余計な事を、もっと血を用意して回復させた方がよかったですね、真祖となるための触媒は私が提供します、まずは用件を伺いましょう」
どう返事をして良いか判らない、私は自分で真祖に至った訳では無い、吸血され眷属となり奉仕をしつつ力を蓄え暗黒神の目に留まり魔王となった、私は冒険者として活動していた魔術師だったがこのまま人間の魔術師として研究を進めても何時真祖に至るのか見当も付かない、返事を出来ないでいると
「もしかして自力で真祖になったのではないのですか?」
自力で真祖になる事を当たり前だと思っているのだろう、本気で驚いた様に質問された
「お恥ずかしながら、従属吸血鬼から力を蓄えて何とか魔王まで登り詰めました、このままでは吸血鬼に戻れません」
顔を真っ赤にしながらなんとか返事を返した
「そうでしたか、貴女の歩まれた道に敬意を表します、私は父の研究を引き継ぎカトレアに真祖になる道を開きましたが、ただ受け付いただけです、カトレアと引き合わせましょう、お互い得ることが有るでしょう」
「歴代の魔王の記憶を遡りました、貴女は自身の消滅まで暗黒神を欺いていますね、素晴らしい技術です、失礼でなければ、真祖となる秘術を教えましょう「シグルド同盟」は貴女の庭ですね、少しはカトレアと「法王国」に戦果として頂きますが、勝利と言えるだけの最低限を頂けば貴女にお返ししましょう」
考えもしない最高の贈り物だ、「同盟」は血を得るための狩場でしかない
「真祖になれるので有れば吸血のための狩場は不要です、ご自由に狩り取って頂けば結構です、一つお願いが有ります、私が眷属にしたシグルドと召使いの者が数人いるのですが彼らも人間に戻して頂きたいのです」
「成程、子供を産む事も出来ますね、私が教える真祖となる方法は処女であることが必要条件ではありません好きなタイミングで真祖になるもよし、人間として人生を全うする事も自由です、貴女の力で「同盟」への影響力を持つことに協力して頂けるとありがたいです、細かい事はカトレアと話して下さい」
有り難い提案だ白黒だった永遠の未来に色が付いた
限りある人生も価値が有ると今になって解かった、老化しだす前に真祖になる事もできる、自分が選んだ永遠なら白黒の未来では無いだろう、私には消滅しかけた事も含めて価値のある巡礼の旅だったかもしれない




