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7.ダークエルフの短剣

悪いことは続く様で別の問題も報告された


次の聖女候補として本神殿へと向かっていた一行がダークエルフに襲われたのだ候補の神官である少女と護衛として同行していた男女の神殿騎士2名計3名に対し凄腕の暗殺者が静かに近づいた日没まじかの山道を聖女候補を前後に挟み徒歩で次の宿場町まで急いでいた


彼女たちを後ろから襲うほぼ即死の一撃で後方の神殿騎士を倒したが彼女は最後の力で警告の言葉を残した舌打ちしながら中央の聖女候補の首を狙うが彼女は修道僧の修行の結果素手格闘技術が高く回避行動が間に合った進行方向に跳びながら振り返る、かすり傷でも命を奪う猛毒が塗られた短剣ははダークエルフに伝わる暗黒神の神具だったが彼女の首にかかる女神の守護の奇跡が込められた聖印の鎖が刃を防ぎ火花を散らしながら彼女を守る


入れ替わる様に先頭を進んでいた神殿騎士が聖女候補とダークエルフの間に割り込み下段から振り上げる様に鋭い一撃を繰り出す、何とか短剣でその一撃を受け止めその力を利用して後ろに跳び距離をかせぐが短剣も手から離れ回転しながら空に舞ったそれでも着地した時には腰のレイピアを抜きスキのない構えで次の一撃に備える


「強敵です、時間を稼ぎます逃げて下さい!」

神殿騎士が叫ぶが聖女候補は逃げなかった、いや逃げられなかった

宿場町まで逃げたとしても神殿騎士より強い者が居る可能性は低い、それなら自分も加勢した方が生き残る可能性が高い

「お願いします、女神様のご加護を」

そう返事をしながら敵の意識が神殿騎士に集中したことを確認して走り出す宿場町へ続く山道にさっき飛ばされた短剣がつき立っていた転んだふりしながら前転し短剣を引き抜く、その時何か違和感を感じたが気にせず立ち上がる今度は元の方向だ

その間も剣がぶつかり合う音が続いている見ると二人の立ち位置が入れ替わりつば競り合いとなっていた、気が付かれないように出来るだけ足音を抑えながら走りだす両手で短剣を握りしめ体重を乗せ無防備な背中に短剣を突き刺す、魔力を付与された鋭い短剣は身軽さを優先し音が立つのを嫌って選択された皮鎧を難なく突き通す、その刃の先には心臓があった


魔物を倒した経験はあったがダークエルフとは言え人の形をした生き物を殺したのは初めてだった、その時ダークエルフの記憶の断片が自分の頭の中に入り込んできた短剣の能力なのだろう彼の魂を喰らい短剣と自分の力にしているのが理解できた、短剣はその刃で元の持ち主を殺した私を新しい持ち主と認めたようだ


「どうして逃げなかったですか!」

神殿騎士からの言葉は叱責だった、手にある短剣で殺したいという衝動に襲われた何とかそれを抑え短剣を握り締めたまま立ち尽くす、短剣が彼を殺したがっているのが分かる

「私の使命はあなたを守る事です命など惜しくなかった」

叱責は続く

「黙れ!そもそもお前がこのダークエルフより強かったら私が逃げる必要は無い、逃げてどうなった、お前を殺したダークエルフは1人になった私を追う、宿場町までたどり着いたところでお前よりましな者など居ない!私の行動の何処に間違いがある?あるなら言ってみろ!」

抑えきれない衝動を言葉の刃に変えてぶつける、今まで言ったことのない汚い言葉が自分の口から出てきた、返事は返ってこなかった


「すぐに宿場町に向かいましょう、急がないといけません」

何とか自分を抑えいつもの口調に戻して話しかける

「彼女を埋葬させてください、このままでは獣や魔獣に喰い荒らされてしまいます」

神殿騎士がいってきた


「お前は馬鹿か?もうすぐ日没だすぐ血のにおいに誘われ獣や魔獣がやってくる、他にダークエルフの仲間がいるかもしれない、遺品や遺髪の回収までしか認められない」

「私も冷静さを失いかけているがお前よりはまともだ、許してくれとは言わない、憎んでくれても構わない、我慢して使命を果たして欲しい」

私が汚い言葉でそう言うと黙って従ってくれた、気休めだが死体の腐敗防止と魔物除けの神聖魔法をかけて立ち去った


二人とも無言で宿場町を目指した残り30分程度の道を進む、日も暮れたが短剣の力なのだろう夜目が利くようになっており昼間と同じ様に進むことが出きた

無事職場町まで着き手配されていた宿に付いた、一階が食堂と店主達の居住スペースで二階が旅人用の部屋になっている、護衛の1人が殉職した事をつたえそれぞれの部屋で眠りについたがすぐ悪夢にうなされた


今までの短剣の持ち主の記憶なのだろう自分の視点で人間たちや時には魔王軍の内の内部抗争なのか魔族を狩る記憶もあった、そこから逃げ出したいと必死に女神に祈ると目が覚めた体は汗だくになっていた、気が付くと短剣が無くなっており利き手である右腕に真っ黒いな毒蛇の刺青の様な模様が付いていたそれは頭を肩に向けて巻き付いていた生贄を寄越せさもなくばお前が生贄だ言っている様だった


仕方がなく宿を抜け出すことにした、夜目が利くし身軽になっていて窓から苦も無く飛び降りることが出来た街を離れ見つけた獣や魔獣を狩ることにした私の考えが解かるのだろう刺青が消え手に短剣がにぎられていた何でも構わないから生き物を殺したいという衝動が沸き上がってきた、手当たり次第狩っていると気が付けダークエルフに襲われた場所まで来てしまっていた


ダークエルフの死体を貪っている魔獣を狩ったところで短剣が満足したのか衝動が消え短剣は刺青に戻っていた今度は蛇の頭を右手の先を向いて巻き付いていた他者から見えないようにしたいと考えると私からは感じられるが目で見るだけならばわからなくなってくれた、そんなことをしているとそこで信じられないものを見た亡くなった神殿騎士の遺体が獣に荒らされることなく残っていた神聖魔法の効果も残っている、今までの私ではここまで長く効果を維持できなかった短剣が私の力の底上げをしてくれているのだろう、彼女の死体を目立たない場所まで動かし魔法を掛けなおした、


急いで宿に戻る、少ししか眠っていない筈なのに頭は冴え体は軽かった、帰り道で考える、今私の右腕に宿っている短剣はとても協力な武器だこれを持ったダークエルフに襲われ生き残れた理由がわからないその時の戦闘を思い出しそうとすると自分のものでは記憶が浮かんできた


目の前に三人の人間が速足で進んでいる後ろから静かに近づき最後尾の騎士の首を狙うが気づかれたのか狙いがそれ仕留めることは出来たが声をあげられててしまった、つい舌打ちがでる急いで次の獲物を狙う本命の聖女候補だ思ったより反応がいい前に跳びつつ振り返り攻撃に備えてくる、首を狙ったが運が悪く首にかかっている細い鎖に最悪の角度でぶつかり火花が散ったそのため傷をつける事が出来なかった何故かそのあと身体が重くなった、先頭にいた騎士が割り込んできた下から剣が迫ってくるそれを受け止めつつ後ろに跳ぶ、そこで記憶が途切れた


首にかかる聖印に手をかける、そうすると右腕の短剣が暴れだし嫌がっているのを感じた、これだ、私が武術の師匠から頂いた聖印が守ってくれたんだ、慌てて聖印から手を離すと短剣はしずかになった


宿まで戻ってきた難なく窓から部屋に戻る、体を拭くために用意されている水桶で神官衣の返り血を落とした量が足りず十分ではないがやらないよりましだ夜が明けてから洗い直そう、少しでも眠っておかなければいけない、そのあと眠りについたが夢は見なかった


朝早く神殿騎士は食事を終え無言で私を待っていた

「女神様の信託のを受けましたついて来てください」

宿場町の礼拝所で人を集め襲撃の有った場所まで向かう神殿騎士も無言で付いてくる

襲撃場所に近づくにつれ道沿いに獣や魔獣の死体が転がっている、襲撃の現場に着くと私の為に命を落とした神殿騎士の前に跪く

「貴女のお陰で生き残る事が出来ました有り難うございます」

そう言って女神さまへの祈りをささげる

無言でついて来ていた神殿騎士が泣いていた


「回収して宿場町の墓地に埋葬します彼女の魂が街を守ってくれるでしょう協力してください」

死体を回収し街の墓地に埋葬を済ませた、彼女の魂はほぼ彼女の体に残っていた、殺された直後に短剣が私の聖印にぶつかり神殿騎士の剣でダークエルフの手から弾き飛ばされたお陰でダークエルフには喰われていない私の腕に宿る短剣に吸われたたわずかな魂を解放しようと短剣に挑む

〈私がお前の主人だその魂をよこせ〉

墓の前で女神様に祈りながら短剣に思いをぶつけるとダークエルフの魂と昨晩の狩りで得た魂に満足していたのか魂を渡してくれた、その魂を解放する事にも成功した、その時点で時間は昼に近づいていた


「出発は明朝にしましょう今から出発しても次の街まで明るいうちに到着できません」

「解かりました聖女様」

神殿騎士の対応が激変していた

「私は聖女候補にすぎません罪深い人間です、おそらく聖女に選ばれることもないでしょう、そして私たちにとっての聖女は此処に眠っています」

そう言って神殿騎士の墓を見つめた、彼も無言で涙を浮かべながら墓を見つめていた


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