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69.研修

「シグルド同盟」から戦力の補強に協力して頂いた、魔王としてこの恩義に報いなければ信義にもとる、魔王は吝嗇だと思われてもいけないだろう、丁重にお礼を送ろう「同盟」は小国が多く内部対立も多い結束に問題が有るようだ、彼らに麗しい友情が大切だと再認識させてあげることはお礼として丁度いいだろう、眷属に加えた冒険者たちの実力を試すいい機会にもなるだろう


有り難いことに「魔導国」に攫われた勇者の中から「医師」と言う職業だったという女性をカミラが保護した、私には不要だが献血と言う彼女の技術で首に嚙みついて血を吸うという低級な野良吸血鬼の様に下品な真似をせずとも眷属たちが安定して質のいい血を味わえる様になった


献血に必要な魔道具もカミラが調達してくれる、カミラは魔道具ではなく別の呼び方をしていた、医療器具だったか最高級の工芸品の様な仕上がりだった、この世界で作ろうとすれば錬金術が必要になる、魔法の無い世界だと聞いているが別の技術が発展しているのだろう


これにより一定数の眷属を揃える事が可能になった、弥生様からの許可も頂けている。一年をかけた弥生様の旅で情報も手に入っている、情報収集用の使いも弥生様のゴーレムだけでなく私の手で「同盟」に放っている、新たなギルドマスターの命令で対吸血鬼装備を整えた冒険者が送り込む準備を進めている様だ


「ダリア、しばらく魔王城を貴女に任せるわ、もう少ししたら「同盟」からプレゼントが届くみたいなの受け取っておいてプレゼントはダリアの好きにしたら良いわ、私も眷属たちを連れて研修旅行に出かける予定なの」

1年をかけて眷属たちを私が仕込んだ最初は嫌がっていたが今では忠実な僕として眷属化の強制力に頼らずとも私に従ってくれている


「功績をあげればあなた達が気に入ったものを直接眷属に加えても良いわ、信じられない事だけれど吸血鬼化を解除して人間に戻す奇跡を起こせる者が「法王国」にいるの、私を討伐しようとした罪を贖うだけの活躍をした上で永遠の命が要らないと言うなら紹介してあげるわ」


本当に信じられない事だが、勇者香織が精霊魔法でフェニックスを召喚し神聖魔法と彼女のスキルを活用して私の眷属が食事をして吸血鬼化した者達を人間に戻すことに成功したのだ、アンデットさえも状態によるが人間に戻したうえで蘇生させることに成功している


この事を知って、「法王国」と事を構える気がうせた、ダリアすら和平を継続する方向で準備を進めている、もちろん並行して暗殺を実行する際のプラン設計もしているのだが見通しは暗い様だニブルヘイム殿が「魔導国」の国王になり和平に加わった今は動きは無いが1年後の使徒が降臨した機会に「同盟」が加われば勢力拡大の対象が減ってしまうだろう


今回の研修旅行はそれまでに駆け込みで「同盟」と望ましい関係を整えるための第一歩だ使徒が降臨している間に「同盟」が「法王国」に和平の仲介を依頼しない程度に仲良くなって、別れられない様にさせてやろう加減が難しいが直接勢力圏を接していないため「同盟」内部での意見統一は簡単に出来ない筈だ


友好を深める相手を慎重に選んでいる、楽しい研修旅行を成功させるため現地に詳しい眷属を派遣することにしよう




臆病なヘンリックを冒険者ギルド本部のギルドマスターの椅子から引きずり落とし、いいタイミングで配置替えを願ってきた私に借りの有る「法王国」支部のギルドマスターの後任として「同盟」から追放で来た


敗北主義者のヘグルント達もAランクに降格させてやったら一部のヘンリック派の奴らと共に「法王国」支部に出て行ったが邪魔者が消えて清々してした、「法王国」支部は神殿騎士達が魔物の討伐に熱心なため冒険者の仕事が少なくギルドの収入も少ない丁度いい左遷先だろう


これで冒険者ギルドはこのカスパーのものになった商業ギルドから軍需品の在庫が行先を無くしてすぐに対策するよう要求が来ている、「法王国」などに対する和平反対派への働きかけや世論誘導を商業ギルド主導で行っているが上手くいっていない様だ、新たに偉業を成し遂げた聖女イライザが和平の維持に努めておりエルダーリッチを救済した奇跡も魔王軍に対する主戦論を抑えている様だ


新しい魔王カトレアも和平を継続すると表明したあとに何度も挑発したが乗ってこない、もう一度我々が魔王を討伐し次の魔王に期待するしかないだろう、魔王軍が弱体化したとしても「法王国」は攻勢に出れば軍需品に需要が出るだろう


満を持して討伐のために冒険者を集め対吸血鬼装備を「同盟」内から掻き集めて報酬の先払いとして提供した、後は成功の報告を待つだけだ、成功せれば商業ギルドから報酬金が約束されている、私のギルドマスターとしての名声も高まる事だろう





「待ちくたびれわ、貴方達が新しい丹の原料ね上物はカトレアの為に取って置きましょうか」

カトレアの情報の通り対アンデット装備を整えたプレゼントが届いた


「お前は何物だ、魔王カトレアは何処にいる」


「姉弟子は今頃眷属を引き連れて「同盟」で食事を楽しんでいるでしょう、対吸血鬼装備無しで何処まで対応出来るのかしら、見ものだわ」


「その武器で仙を切れるのかしら?まずは師匠のゴーレムの相手をしてもらいましょう、ミスリルゴーレムじゃ私の出番がなさそうだから鋼のゴーレムにしてあげる」


「舐めるな!貴様を倒して「同盟」の救援に戻る、転移の魔道具も準備している残念だったな」


「魔道具の発動を禁じれば、封じ込められた魔法は効果を顕現する事を能わず」

仙術の禁呪で魔道具が発動出来ない様にする


「手の内を教えてくれるなんて親切ね、お前たち程度が戻った所でカトレアが困ることは無いでしょうけど、獲物に逃げられては私が困るの、最後まで付きあってもらうわ」


「貴様の最後に付きあってやるよ、大事なゴーレムもこれが最後だ」

冒険者1人に対して1体、合計12体の鋼のゴーレムを破壊しただけで勝った気でいる愚かな事だ


「やっと準備ができたわね、私の番よ」

「五行がうち金行をもって汝らを拘束せん」

ゴーレムの残骸が流体金属に変化し冒険者達を包み込み彼ら自身がゴーレムの様な人形に変わる


「時間の経過を禁じれば生きることも死ぬことも能わす」

彼らはこれで完全に私の人形になった


「一体ずつ使い道を精査していきましょうか」

カトレアの凱旋まで退屈しないで済みそうだ


「あまり時間をかけると貴女の分まで使ってしまいそうよカトレア」

カトレアならこの言葉も届いているだろう、彼女の使い魔はこの城にも残っている帰りが楽しみだ、私と違い義理堅い私の姉弟子は土産を持ち帰るだろう、一番の上物は別に取って置く事にしたうっかり使ってしまってはいけない

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