67.同盟
「シグルド同盟」この大陸の北部を領土とする国々と商業ギルド等の力をギルドが評議会を中心にまとまった国である昔は小国同士で覇権を争っていたが魔王軍と直接領土を接していらず、「法王国」などに物資を輸出する事で商業ギルドが発言力を高めていった
傘下の傭兵ギルドや港湾作業者などの派遣組合から発展した冒険者ギルドが戦力となり、魔王討伐を成し遂げた伝説の冒険者シグルドの名を旗頭に商業ギルドが中心となって一つの同盟が成立した、我々「法王国」などは「同盟」と呼び支援に感謝しつつも安全な後方でぬくぬくと利益を吸いあがる奴らをを複雑な感情を抱いている
今回、魔王討伐を成し遂げた冒険者グループも「同盟」が各国に支部を開設した冒険者ギルドに所属している、討伐された魔王ヒルダがダークエルフであり冒険者パーティのリーダーのマチルダがハイエルフの族長の娘であることからギルドや「同盟」の意向では無いと審問官は判断しているが、一部には魔王軍との和平で「同盟」の利益が低下し「法王国」などの国力が増加する事を嫌って和平を破棄させることを目的にした魔王討伐では無いかと疑う者もいる
魔王カトレアが和平を継続する意向が伝わったあと「同盟」のSランク冒険者パーティが魔王カトレア討伐に派遣されている、これは明らかに和平を好ましく思わない考えが透けて見える、「法王国」の判断は魔王軍の弱体化を歓迎し勝利を収めることでこの企みを利用すれば良いだろうと判断し静観していたが、冒険者パーティが次々と返り討ちに会い魔王カトレアがSランク冒険者を眷属に加え強力なアンデットの素材として戦力の強化を許す結果に終わった
冒険者ギルドの本部より魔王討伐の成し遂げたマチルダに召喚状が届いたエルフの王国の冒険者ギルドの所属でありこの召喚状に強制力は無いが個人に対してSランクの認定とギルドの依頼ではない魔王討伐であるが高額の報酬も提示されていた、少し面倒なのが死亡したパーティの3名中2名が「同盟」諸国に席を置いていたことだ、マチルダは彼らの死亡報告を行っておらず召喚状には言外にこの事を非難するギルドの脅しが含まれていた
別に召喚状を無視しても構わないというのがマチルダ様いいえ千尋様の考えだ冒険者の資格を剥奪されようと別に痛くは無いが私は筋を通すべきだと主張して召喚状に応じるべきと勧めた
「この召喚状に応じれば魔王カトレア討伐の仕事を押し付けられるわよ、ユリアはそれで構わないの?「法王国」として好ましくないのでは?」
「だからこそ召喚状に応じるべきなのです、「同盟」ギルド本部で依頼を断り冒険者の資格を返上すればいいでしょう、Sランクの名誉は亡くなった冒険者に報酬は彼らの遺族に送るよう要求すれば良いかと思います、それが筋を通すと言う事です」
「幸いクロエ達がこの神殿に来てくれています、私も同行して「法王国」の聖女として「同盟」の冒険者ギルドに釘を刺してやりましょう」
「面白そうだ、私も同移行しよう「同盟」の思惑は読める、無理に魔王討伐を進めれば「法王国」が完全勝利して今までの利益どころか「同盟」自体が危うくなると教えてやろう」
弥生様も同行を表明された
「私もマチルダ様に付いて行かせて下さい」
これはセシル嬢だ
「丁度いい私達4人とセシルの白狼を連れて「同盟」観光といこう、私のゴーレム達も引き連れて軍事パレードをしてもいい魔王討伐の凱旋だ文句は言わせない、留守は香織に任せようクロエ達を鍛えてやってくれるだろう」
「ギルドマスター、マチルダが召喚に応じると返書が届きました」
腹心のヘグルントから報告があった
「よし、これで魔王カトレアを討伐できる、お前の達は最後の切り札のとなるSランクパーテイだ投入する訳にはいかん」
「これまでに3組のSランクパーティを失いました、今回はマチルダを含め個人の高位冒険者を招集してあります今回は少々扱いにくい問題児ばかりです、仮に失敗したところで魔王軍との和平にヒビが入れば成功でしょう」
「まったく使徒も余計な事をしてくれた、武器の輸出が減って商業ギルドからうるさく言われている、後2年近くも待ってられん、和平が延長されたら失業者があふれ潰れる商会も出て来るだろう」
マチルダに伴い「法王国」の聖女がやって来た、我々「同盟」の意図に気付いて苦情を言いに来たのであろうが所詮男も知らない小娘だ、簡単に言いくるめてやろうと思って歓迎したがとんでもない化け物だった
「共にまいりましたマチルダ殿や名誉の戦死を遂げられた3名の冒険者達に「法王国」を代表して非才の身でありますが聖女の名誉を賜っております私ユリアが彼女たちに「勇者」の称号を贈ります、その後に魔王カトレアに挑み残念ながら倒れた冒険者達も同様です」
「金銭的な報酬は冒険者ギルドが提供するとお聞きしています、「法王国」としても報いたい所ではありますが「同盟」の権威を軽んじる様な事は控えるべきでしょう、称号を贈る事だけは許可して頂きたく願います」
「私個人としても魔王は討伐すべきと常々考えておりました「同盟」の協力に改めて感謝をお伝えします、和平の縛りが無くなれば魔王城を更地に返し真の平和をもたらして見せましょう、一部ではありますが「法王国」の新たな戦力を披露させて頂きます」
「弥生殿、お願い致します」
同行していた魔法使いが空間魔法でゴーレムを会議室に取り出して見せた
「素晴らしいミスリル製ですね聖女様に精霊使い、魔法使いと後衛ばかりと不思議に思っていいましたが2体のゴーレムが前衛を務める訳ですね、私のパーティの相手も務まりそうです後で模擬戦でもいかがでしょうか?」
立ち会っていたヘグルントが対応した、確かにSランク相当のパーティのだが魔王城を更地にするとは自惚れが過ぎよう、わたしも自分が現役で未熟な駆け出し冒険者にすぎない若くそして希望に満ちていた時を思い出して微笑んでいた
「これは頼もしい、私が貴女達の歳ではCランクを目標にして冒険しておりました、流石「法王国」の聖女様達のパーティですな」
「ギルドマスター、接客中に失礼します」
「なんだヘレナ、客人に失礼では無いか!後にしろもうすぐ話が終わる、そうだな10分ばかり待っていろ」
ヘレナは言葉を詰まらせるが退室しない、ギルドの受付上がりの秘書役で優秀な人材だが初めてこのようなミスをした「法王国」の使者相手に恥をかかされた、後で寝室で罰を与えようと考えていると
「ヘレナ様!ギルドマスターはまだですか一大事なんです!街を包囲するゴーレムは一万を超えています!」
「失礼しました、事前に説明しておけば良かったですね、報告までの時間が冒険者ギルドの人員の優秀さを示していますね、やはり現役の若者は素晴らしい、私も無駄に年を取った事なかれ主義の司祭たちには困っているのです、使徒様の結ばれた和平を守る事が第一と、魔王カトレアを討伐する許可を頂けなくて困っていいたころです、「同盟」の協力には改めて感謝をお伝えします」
私の対応を遠回りに馬鹿にして笑っている、本当に魔王討伐が望みなのか、干渉を止めろと言う脅しなのかも分からない
「どうやら聖女様の活躍の場を奪ってしまう所でした、我々の出番はないようですな2年後の活躍を楽しみにしています、マチルダ殿に加えて亡くなった三人にSランクを与え遺族にも報奨金を送りましょう、エルフの王国所属の者にも我々から送金しておきます」
聖女の意向がどちらでも大丈夫な様に返事をした
この後も腹を探り合う会話を続けたが真意は読めなかったがどちらにしろこれ以上手出しすべきではないだろう、聖女が貴族出身でこのような交渉にも長けていると知れた事と、干渉に対する報復は無いと確認出来たことが成果の全てだ、ヘグルントのパーティの魔術師が一万を超えるゴーレムが幻術やダミーではなく全て実体であることを確認してくれている
せめて模擬戦でギルドの面目を保とうとしたが、露骨に手加減と分かる八百長で勝利を譲られた、息が上上がるヘグルント達の前で、汗すら見せずにお世辞を言う彼女達を見送る事しか出来なかった
「彼女たちは何なのだ、手の内すら見せてくれない、これなら打ち負かされた方がました」
ヘグルント達が打ちひしがれていた、私には彼らにかける言葉が無かった、励ます事も出来ない、叱責するなど論外だ
そのあとヘレナが私を慰めてくれた、ギルドマスターとしても男としても彼女を幸せにしたいと思った、これが聖女が私に残した唯一の贈り物だった




