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60.偽装

早太郎から念話が返って来なくなった、カミラ母さんに出会う所までは適時連絡があったのに、不安が膨らむ中カーリア様に帰還の期限が近付いてきた、帰還の前にルイーズさんとオスカーさんに挨拶するためにみんなで弥生さんの神殿に魔法で跳んだ、私は上の空のままでカーリア様を見送った、カーリア様は何か無念そう帰還された様に見えた


「香織ちゃん、ヒルダは無事よ以前のカミラと同じで死んだふりしているだけだから安心して、カーリアに少し悪い事をしたわ、ヒルダの代わりにカトレアに魔王を継いでもらうの」


「すみません、てっきり弥生さんの仕業かと思っていました、ヒルダ姉さんが無事でよかった」

「謝るのは私の方よ、香織ちゃんを騙せないならカーリアを騙せる訳ないもの、あっちに帰ってバレてるだろうけど帰還の前にスキルの封印も解いてくれたわ」

カーリア様が無念そうだったのはこのためか


「そうだ、香織ちゃんが魔王になりたいならそれでも良いのよ、男になって聖女イライザを妃にするのはどうかしら、いかにも魔王の所業として相応しくないかしら、表向きはハイエルフの娘に魔王ヒルダが打ち取られたのよ、悪落ちして魔王になって姉の敵を討とうとしても変じゃないでしょ?」


「からかわないで下さい!イライザにそんな事できません!」

少し魅力を感じたことを隠すため声が大きくなってしまった


「だったら私が魔王になっても良いぞ、香織を妃に出来るなら弥生様に忠誠を誓ってやってもいい」

これはイライザの冗談だろう、冗談であってくれないと困る


「この子を産むまで待ってその後に香織と勝負をする、私が勝てば男になって香織に私の妃になってもらう、いや、魔王になる必要は無いな香織が私のものであることは最高位司祭も認めている、次はどちらが男になるかをその時に決めよう」

これが本気の様だ、安心した別の不安が発生したがとりあえず先の話しだ


「イライザが2人目を妊娠するのよ、一年近く我慢した私を満足させて貰わないといけないわ、浮気なんかしないから安心して、私は寛大だから男として他の女を抱くのは許してあげる。だから女の私は諦めて」

釘をさすために私がイライザを牽制する言葉をかける


「その時までに香織から男の私を求める様に躾をしてやろう、楽しみにしていろ、私も浮気などしないが、その代わり独占欲は強い方だ、男の香織も女の香織も私だけのものだ、女神様も純愛を応援してくれるだろうさ、勇者を導くのが聖女の使命だ、私の理想の女になって貰う」

悪い気はしないが少し怖い、今まで相手を吸い殺していたから同時進行の二股以上が無かっただけかもしれない、どう言葉を返そうか?


「2人でのろけるのも、そこまでにして頂戴、魔王はカトレアで良いわね、新居を準備するから2人だけで好きなだけ楽しんでね、寝室の防音は完璧にしておくわ」

弥生さんからはのろけに見えたようだ、確かにそうかも知れない、ヒルダ姉さんが無事だと分かって気が緩み過ぎたのかも知れない


「姉御しっかり留守番をしたんだ、約束の土産を出してくれ、今まで腹を空かせて待っていたんだこれ以上は待てない」

スーザンが神殿に乱入してきた


「ここまで入って来たら留守番出来てないでしょ!外でもう少し待ってなさい!スーザンだけお土産抜きにしても良いのよ!」

この言葉を聞いて舌打ちしながら出て行った、妊娠しているが食欲は落ちないようだ、子供のために栄養が必要なのだろう楽しみだ


「スーザン、約束の本神殿で出された料理よ」

弥生さんとの話も終わりスーザン達の前にアイテムボックスから大きな鍋を取り出した


「良い知らせよ沢山あるからおかわりも出来るわよ」

「姉御!これはなんだ!囚人用の飯じゃないかのか?」


「神殿で出された炊き出しよ、約束した通りの本神殿の御飯よ」

「嘘だ!歓迎されるんじゃないのか?うちの養豚場の家畜の方が良いもの食ってるじゃね~か」

スーザンの尻尾が力なく垂れ下がっている


「本当よ、神殿ではみんな平等なの雑穀と野菜のリゾットよ、うちの神殿が特別なだけよ、戦う肉体を作らないといけないからね、私の指示だけどユリア達がいつまでたっても帰らないのは食事のおかげでもあるの」

弥生さんが私の言葉を証明してくれた


「夕食はこの神殿でお祝いをするから期待していいわよ、リーゼロッテが料理人を連れて来てくれるわ」

スーザンの尻尾に元気が戻った嬉しそうだ


「あの飯は旨かった、量が少ないこと以外は完璧だった」

「今度は量もたっぷりだし毒も入っていないから大丈夫よ、今はこれで我慢して」

弥生さんがアイテムボックスから何かの肉を取り出した、調理をしていない生肉だ


「天然のオークの肉だ、弥生様どこで狩って来たんだ、まだ残っているのか?」

「イライザから貰ったのよ、彼女がアイテムボックスにしまっていたものよ」

イライザの名を聞いてスーザンが少し怯えながらも肉を持ってどこかに走っていった、独り占めにする気の様だ遠くから人狼達の声が聞こえる


しばらくしてスーザンの勝利の遠吠えが聞こえてきた本当にお腹を空かせていたみたいだ、無事独り占めにしたのだろう、血の匂いに釣られて子分たちもこっち押し寄せて生きた


「お前たちあっちだ!」

イライザがアイテムボックスからオークのバラバラ死体・・・じゃない、オーク肉を遠くに放り投げたみんながそれに向かって方向を変え群がる、この後10頭分のオーク肉がお祭りの餅まきの様にばらまかれた、イライザがその光景を見て笑っている、さっきかなりの大きさの肉を独り占めしたはずのスーザンまで参加している


私の躾が悪かったのかも知れないが野生に帰ってしまったら大変だ、牧場の管理を見直そう、出産用のワイルドボアも危ない、最悪の場合種豚君まで食用にされかねない、人狼達を群れごとテイムするという最終手段を取るべきかもしれない

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