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56.戦友

香織の卒業が近づいている、世界大会の強化選手に選ばれ忙しくなっいている様だが単位は卒業に必要な数を取得し卒論も完成している


「古武術と現在のスポーツとして空手と柔道の関係」という論文だ、いかに人殺しの技術がスポーツに転落していったかという研究だ、明らかに古武術目線から論じている、いかに優れた技が失われスポーツになり下がっていったかと論が進む


香織の研究室の教授には受けが良く最高の評価を頂いたようだ、この世界にも面白い人間がいる、現在スポーツ科学から見ればとてもじゃないが卒業出来ない内容だ流石ミネアだ


誠二君の苦労はまだ終わらない、実際に結婚するのはもう少し先でも良いが、そろそろ結婚の許可を出してやりたい、対策を準備している、後は実戦を想定した訓練だ


柿崎先生も何も言わずに道場を貸してくれるようになっている

「誠二君、香織の弱点を見つけたわ、寝技よ、古流で多人数に対応するために寝技に重点を置いていないの、一対一の試合なら抑え込みで一本だけど古流はそうじゃ無いの、今香織は型の練習に集中しているからチャンスだわ」


「それは解りますが、寝技に持ち込むまでがなかなか大変でしょう、千尋さんもう少し練習に付き合って下さい、手の内が知られていないうちに決めないと対策されてしまいます」


「そうね、初見殺しで決めましょう、大学時代を思い出すわ、格上を不意打ちで倒すのが楽しかったわ」

確実に誠二君に一本を取らせてやりたい、卒業後は香織も忙しくなるなるだろう、思った以上に聡美さんが優秀だ、前川社長に気に入られ声優の仕事を入れてくる、私が運営しているファッションブランドのモデルの仕事もある、これには聡美さんや真理さんにも協力して貰っている


声優としては主役ではないが重要な役割を果たす修道女の役だ、聖女の世話をするため魔王討伐の旅に同行し、最後に勇者パーテイと魔王の決戦時に騎士団と共に魔王軍の将軍の部隊を足止めして相撃ちになる、ミネアはその役に思いれがあるため見事に演じきった、演技では無かったのかも知れない、故郷で果たせなかった使命に重なるのだろう、先輩の声優やアニメの制作スタッフからの評価も高く、放送時の視聴者の評判も良かった


復活の要望まであり、次回作でアニオリのストーリで聖女による蘇生の案まで出たがミネア自身は拒否した、この時はスポンサーだった前川社長の力まで使って原作を守らせた、簡単な復活が許せなかったようだ、聡美さんは残念そうだったが、これに感謝し喜んだのが原作者だ、原作は先に進んでいたがその後のストーリーで聖女の子孫に転生するという方法で復活させてくれた


ミネアの迫真の演技?に影響を受けたのかもしれない、続編が続けば何年後になるか分からないが主役の仕事がやってくる、その頃には演技の力も付けているだろう、原作者が声優に指名するつもりのようだし、ファンもそれを望んでいるだろう、聡美さんも喜んで協力してくれるはずだ


私自身の生活にも変化があった、その切っ掛けはアフリカで共に戦った傭兵部隊の戦友と再会した事だ、ブランドを立ち上げた事から話が伝わり私の現在を知った様だ


「ドクターお久しぶりです、是非御力をお借りしたい事がありまして」

任地は別の国に代わっているがそこで銃弾を受け利き腕が上手く使えなくなり、引き金を引くのにも苦労する状態だという


「私は医者じゃないのよ、あの時も応急処置をしただけでドクターと呼ばれるほどじゃないわ、免許も持っていないし」

「あっちじゃ、医師免許もあるでしょう、貴女以外に私の手術は任せられない、お願いします大使館で場所を準備しています」

アフリカで私の活躍に対して贈られたものだ、称号以外の意味は無い、この後部隊の人間から正式にドクターと呼ばれる様になった、内戦の終結時には私が実質的に中隊を指揮していた


「仕方ないわね、あの時と同じよ、キースも麻酔なしで大丈夫よね」

「もちろんです、麻酔など使えばリチャードに笑われてしまいますよ、ウイスキーで十分です」

「飲んだら麻酔と同じじゃない、傷の消毒に使ってあげるわ」

「勘弁してくださいよあの時リチャードはドクターが気絶させて手術したじゃないですか、リチャードの名誉のために黙っていますが」

「そうだったかも知れないわね、キースも気絶させてあげましょうか?」

結局大使館で手術を成功させた、魔法を使いキースの痛覚を低下させる、回復魔法やスキルがあるためこちらの医者が出来ないことも出来る


「部隊に入って貰えませんか隊長から誘って来るように言われています、私もドクターの指揮で戦った時の事が忘れられません」

「前も断ったはずです、足を洗うのなら仕事を用意しますよ」

こうして戦友と再び別れの時を迎えた、彼は部隊に復帰する、手術を成功させなか方がよかったかも知れないと考えてしまう、最後の別れになるかも知れない


麻酔代わりにしなかったウイスキーで別れの乾杯をした、これ以上の言葉は不要だ再会の約束もしない、変な死亡フラグになってしまう、彼らの武運を祈るだけだ


娘も独り立ちする、仕事が落ち着いたら医大を目指そう、正式にドクターになるのも面白そうだ

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