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50.四天王撃破

「今更ですが、貴女がクルーゲ家の当主で間違いないですよね?」

降参した私の石化を癒し、今更そんなことを聞いてきた、素晴らしい毒を練り上げた女とは思えない態度だ


「そうよ、誰だと思って勝負を受けたんですか貴女は」

勝負に敗れた口惜しさから言葉が荒れてしまった


「最初に名乗ってくれていないし、たまによくあるでしょ、偽物や影武者がいて、その後に本物が出て来るパターンが、実はメイドさんが本当の当主だったりしない?」

嫌な所を平気で突いてくる戦闘力ではエリザベスの方が高いのは事実だ


「確かに彼女は私の腹違いの姉で優秀だわ、殺し合いをすればエリザベスが勝つでしょうけど継承権は持っていないのよ、私の大切な侍女でメイドじゃないわ、それに当家の当主はいかに強力な毒薬や細菌・ウイルスを作成できるかが重要なの、あなた達人狼とは違うわ」

母が一族の中から優秀な男を夫に迎えた、父に既に恋人がいて子供も生まれていたのに愛も無く子種を手に入れる為だけの結婚だった、当主としての矜持なのか夫の愛人としてその関係が継続することも認めているその愛人の娘も優秀で母が私の侍女に選んだ


「姉御は人間のはずだ!そういえばヒルダ様の妹だからダークエルフの血が混じっているんだったっけ?」

ダークエルフと人間のハーフか、外見にはダークエルフの特徴は見えないが、私の母もエルフとのハーフだが見た目は人間だ、先ほどの短剣は暗黒神の神具か?道理で私以上の毒を練り上げられる訳だ


「スーザン!和平のための姉妹の契りよ私の身体は人間よ、最初に出会った時の事覚えてないの?」

「私の身体は人間」と言っている「私は人間」ではない彼女は何者なの?


「そうだった、そうだった、姉御が勇者なのまで最近忘れていた、悪気は無いんだ勘弁してくれ!」

勇者だと、こちらも彼女の名乗りも受けないまま勝負を仕掛けた、今思えば迂闊な事をしたものだ、ハインリヒ家はどうやって彼女の協力を取り付けたの?


そうだ、さっき人狼はヒルダ様と言っていた2年前に魔王の座に就いたダークエルフだ、状況を整理すると、矛盾が出てくる、先代の魔王を倒した美咲達を支援する理由が解からない、私が組み上げたパズルのピースのいずれかが間違っている、いくつかの仮説を立て検証する


その中に最悪のシナリオが浮かんだ、先代の魔王が生きていてヒルダに魔王の座を譲ったか、魔王のふりをさせている、自らは「魔導国」を足掛かりに人間の国々を内部から侵食する、和平の陰で勇者を使い潰して共倒れを狙う


いや、その程度ので済むだろうか、もうすでに消されていて目の前にいる勇者も魔人が身体を乗っ取っている、魔王がハインリヒ家の当主に化けて今まで糸を引いていたのだとすれば「魔導国」内の邪魔な人間をダークエルフを使い暗殺して消していった、すべてが上手くつながるのだ、そして今夜にもつながっている


私は幸運なのだろう魔王に忠誠を誓い、役に立つ道具だと証明すれば生きられるだろう、慎重にしなければいけない役に立ち過ぎるとそれはそれで消される、やり過ぎた元「魔導国」の女勇者が最後にはダークエルフの人形にされたのだ


「クルーゲ家は魔王様に忠誠を誓います、どうかわたしを魔王様にお引き合わせ下さい」

私は目の前の女に膝をついて頼んでいた


「ちょっと待っててね、今から念話で連絡するから」

彼女が私の願いを聞き届けてくれるようだしばらくすると初めて見る女性がキュヒラー家の当主を連れて転移魔法でやって来た、次いでダークエルフの女性が2人と男性が1人転移してきた


「リーゼロッテさん初めてお目に掛るわ、貴女の忠誠にまずは私自ら名乗ることで答えましょう、私が『魔王アシュノット」「迷宮の支配者」よ、先代のニブルヘイム様が「魔導国」を治めることになるわ、精々役に立つことねキュヒラー家とクルーゲ家はそのまま存続することが許されるでしょう」

予想していたシナリオと少し違うが正解を掴み取る事が出来た


「何か望みはあるかしら、出来るだけの希望に答えましょう」

「許されるのであれば、こちらにおられる魔人様の子種を頂きたい、私以上の毒薬を見せつけて下さいました、私が産む娘が後を継ぎ次代のクルーゲ家の当主として変わらず忠義を尽くしましょう」

上位の魔人であれば両性を持つものや好きな性別に変化できるものもいる、勝負で見せた実力から期待できるだろう、私の娘に魔人の力が受け継がれる





「少し誤解がある様ね、香織は魔人では無いの、そのままでは子種を提供できないわ、それでも出来るだけ希望に答えるといった以上はかなえてあげる」

「香織!性転換のポーションを準備するから彼女に子供を授けてあげてくれないかしら?」

「弥生さん本気ですか?からかうのは止めて下さいよ」


「香織さん私は本気よ!男になって彼女の願いを叶えてあげなさい、彼女に恥をかかせちゃいけないわ、どうしても男になるのが嫌なら彼女が男になって香織さんが後継者を産んでくれても良いのよ、私が手伝ってあげる」

交渉術だろうが怖ろしい事を言いだした私が産むのは無い話だ、「手伝ってあげる」が何を意味しているか解からないし解かりたくない、きっと碌なことではない


「姉御、やってやりゃ良いだろ、強い男の子供が欲しいのは女の本能だ、おれも早太郎の子供が出来て嬉しいんだ」

冗談じゃない、それは人狼の本能だろう勘弁して欲しい、スーザンの妊娠はめでたいがもっと早く言って欲しかった、知っていたら参加させていない、そうかそれで黙っていたのか


「リーゼロッテさんも私が男になったら受け入れるのですか?どんなリスクが有るかわかりませんよ、ベスさんは止めなくて良いのですか?」


「もちろん受け入れます、優秀な後継者を残すのが当主の義務です、異種族相手であっても優秀な血を受け入れるのが当家の絶対の掟です」

「リスクが有るというなら私が喜んで実験台になりましょう、ポーションの実験台にもなります、貴女の相手をして主のために安全確認も務めましょう」

覚悟が怖い、何とかしないとポーションを飲まされた上で集団で逆レイプされそうだ弥生さんも手伝うと宣言している。スーザンまで相手の考えを尊重している


「リーゼロッテさん、さっき私を人狼扱いしましたね、覚悟話出来ているのでしょうね?子供が授かる前にどんな目にあうか分かっているですか?」

「感謝します、好きにしてください、それで死んだとしてもクルーゲ家の今までの歴史が負けたのだと諦めが付きます」

「私が最初に相手をします、私が死んでもリーゼロッテ様をお守りしましょう」

駄目だ、命がけの覚悟が出来ている、引くに引けなくなってしまった


「良いじゃない、香織さんこれが性転換のポーションよ、今更辞めるなんて言わないでしょうね?ここで逃げ出す様ならどうなるか解かっているわね男を見せなさい、貴女なら私もお願いしたいくらいよ」

日本でも男女の立場は逆だがこんな目にあったことを思い出す、そもそも私は男ではないのにこの扱いは何だというのだ


「そういうなら後で弥生さんも相手をしてもらいますよ、魔王が勇者の挑戦を拒まないでしょうね?」

「素敵だわ、勇者香織、まずは私に忠誠を誓う部下を倒してからね、彼女たちを立てなくなるぐらい可愛がってくれたら相手になるわ、魔王討伐ってそんなもんでしょ?」

私の覚悟も決まりポーションを飲み干すが効果が出ない


「私の身体がポーションを毒薬と判断して効果が無いようですね魔王様」

「仕方が無いので私のスキル『蟲毒壺』の効果でポーションを作り直しましょう」

リーゼロッテさんの目が私を神の様に見つめている、何か不味い事を言っただろうか?

スキルを発動し自分好みにアレンジして短剣からポーションを生成する


シリアルキラーが獲物の血でやる様に短剣の刃を舐めてポーションを舌先で味わう、私のイメージが反映されたのだろう、濃厚な蜜の味と舌触りだった


下半身だけを男に変化する様にアレンジしたポーションは私に人狼の様にたくましい聖剣与えてくれた、それだけでは別の効果も乗せている、雄としての力もスタミナも強化され、朝までに魔王の部下を2人ベットの上で動けなくなるまで可愛がってやった


「リーゼロッテ達を倒したようね、でも彼女たちは昨日私に忠誠を誓ったばかりの新入り、所詮人間だわ、次は私の片腕のカトレアが相手をするわ、今度は貴女も純潔を賭けて貰うわ」

「弥生様、もうすぐ夜明けです、美咲様もお待ちでしょう、時間切れです、香織様が宜しければ後日相手を致しますので今夜はここまででお願いします」

いつの間にかカトレアさんも合流していた、潮時だろう私の聖剣も満足して賢者タイムになっているこのまま連戦は厳しい、提案を受け入れポーションの効果を解除した


「姉御!腹が減って死にそうだ、アイテムボックスから何か出してよ!〇〇えもん!」

私達を出迎えたのは、弥生さんに馬鹿な言葉を吹き込まれたスーザンと昨日の歓迎で腹いっぱい食べてまだ満足そうに眠っているスーザンの子分の人狼の2人、に加えて深刻な顔をして話し合っているヒルダ姉さん達ダークエルフの三人だった


忘れていた部屋の隅で私の顔をちらちらと怯えながら盗み見るキュヒラー家の当主もいた

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