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49.制圧

ついにこの時がきた転移の際に起きる頭痛すら甘美に感じた、私の手には弥生様により複製された短剣がある、憎きヘルマン=フォン=シュヴァイクが暮らす屋敷の地図は頭の中に叩きこんである、今は食堂で食事中で食堂に一族の主なものがそろっているはずだ、カミラ様やイザークも別の貴族の館に跳んでいる本命を任されいるのだ失敗は許されない


衛兵代わりの召喚獣や精霊を戦士たちのAKから放たれるルーンが刻まれた弾丸が仕留め元居た世界へと送り返していくしていく、魔法で影を渡り身辺警護に付いている一門の魔術師の喉を切り裂き詠唱すら許さない、屋敷に侵入してからカップラーメンに湯を注いで食べごろになる間の時間で食堂にたどり着いた


目当ての敵をそこに見つけ短剣を投擲する、喉に突き刺さった短剣を能力で手元に回収した時、違和感に気付いた、流石にギリギリ急所を避けた様だが、短剣が吸い取った記憶が当主では無く影武者のものだと教えてくれた、影武者の影へと渡り背後から首を飛ばす、止めを刺すと同時に短剣に魂を捕らえ記憶を探る


当主は非常時にお互いの身体を魔法で入れ替え安全な物理的に出入りできない封鎖された部屋に転移して逃げこんだようだ、この屋敷の地下にその部屋が存在する、配下の戦士に家族の確保を命じ美咲より提供された屋敷の地図に存在しない地下室の有るであろうスペースの上まで急ぐ


不自然に魔法で強化されている床に魔法で直径1メートルくらいの円形の溝を掘りC4を詰める、上から魔法で障壁を展開し爆破すると綺麗に穴をあけることが出来た、迷わず飛び降りると当主の身体が床に倒れ黒髪の人間が慌てて魔法陣に向けて走っていく


着地する前に短剣を投擲しその男の心臓を狙ったが傷が浅く止められない、腰のホルスターからグロックを抜き弾倉の弾が尽きるまで特製の弾丸を叩き込んだが転移されてしまい最後の2発がむなしく魔法陣の上を通過し壁にあたり火花を散らした、男の背中に突き刺さっていた短剣が魔法陣の上に落ち、金属音を響かせる


逃がしてしまったが最初に装填していた1発を含め16発を命中させた普通の人間の身体なら生きている筈が無いが『異世界転移』でさらった勇者の身体を逃走用に準備していたようだ、逃走先が日本で生きのびているなら面倒だ弾丸に付与している魔法の効果で今後も碌に魔法を使える状態ではない筈だが身体を乗り換えられる力を維持しているなら更に厄介だ


短剣を回収し記憶を探った、やはり逃走先は日本の様だ、床に倒れている当主の身体からは魂が抜けておりこれ以上の情報は得られなかったが魂を移して逃げた事の確証ではある、用意していた魔道具や日本で使う予定の現金も残されていた、私が最短でこの部屋にたどり着いたため持ち出せなかったようだ、無念ではあるが最低限館の制圧は済ませなければいけない、今後の対応は他の作戦の終了後にカミラ様達と検討するしかない


作戦を無事に完遂しカミラ様とイザークに勝利を報告できない事がつらかった





単身でキュヒラー家の邸宅にやって来た制圧に必要な戦力は現地調達できる、ご丁寧な事に屋敷中の要所にゴーレムを配置してくれている、御誂え向きに食堂の壁にも装飾を兼ねた甲冑の形のゴーレムが並んでいる、それらのコントロールを奪えば今日の仕事は半分は終了だ、残りの半分も、無事当主をはじめ一族を一網打尽にし、あっけにとられ呆然としている当主に忠誠を誓わせる事も簡単に終わった


総合的な質で言えば私のゴーレムに対抗できる筈も無いが、長年の研究の成果には取り入れるべきものが多くある、私のゴーレムの性能を引き上げることが出来るだろう、しばらく忙しく楽しい時間が待っている


カトレアからも作戦完了の報告を受けた、代替わりしたばかり若いローゼンベルク家の当主を気に入ったようで、彼女が初めて眷属に加えた男になった、当主も魅了されたせいででもあるがこれを喜び受け入れている、父が研究のために相当数の吸血鬼を狩っており数を回復することが出来るかもしれないが、「法王国」が良く思わない、眷属に加える人間を厳選してレッサーバンパイアなど不要なものは作らない様に厳命しておく必要があるだろう





久しぶりに勇者パーテイだった4人で戦闘を楽しんでいる、首輪に繋がれていない冒険は実に楽しい、今の力と連携があれば魔王討伐にも成功していたかもしれない、かつて私達を子ども扱いしたニブルヘイム様が館を結界に包み獲物が逃げられない様にしてくれている、最低限の道具として必要な数は残さないといけないが仲間も復讐心をぶつける相手を探している


途中から私が彼らを抑える側に回ることになった、それでも半殺しを越え9割近く殺した死に損ないが転がっているだけだ、役に立ちそうな道具だけ修理すればいい、私達にやったことを何倍にもして返し思い知らせてやる


異世界転移の主犯では無いが、共犯である当主は死んだ家臣を羨ましく思う程の生き地獄に落としてやろう、泣き叫び殺してくれと懇願するまで可愛がってやる、ドッペルゲンガーに入れ替えるのはその後だ、その頃には殺されることを感謝するようになっているだろう、魂を縛られその先も苦しむ主犯よりは優しい対応だ

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