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34.お見合い2

席に戻ると誠二が何処かに電話を掛けている

「そこを何とか、使わせては貰えないでしょうか・・・」

「誠二君、電話を替わってくれないか私から頼んでみよう」

スマホがを受けとり香織君の父親が話を引き継いだ


「柿崎先生、今日の午後からは道場空いているでしょう、使わせて貰えませんか私の顔を立てると思って・・・ええ・・・そうですか無理を言いまして・・・」

「すまない誠二君、俺から頼んでも駄目だった」

警視庁の上司の様だ道場を使わせては貰えないようだ


「失礼、皆さん少し席を外しますね」

千尋さんが席を立ったお手洗いに行くようだそんなに飲み物や食べ物に口を付けてはいない、化粧直しだろうか?私の目からはそんな必要はないように見えるが


しばらくすると誠二のスマホに着信が入った

「もしもし、柿崎さんですか?・・・道場を使って大丈夫ですか、有り難うございます・・・わかりました伝えておきます、それでは失礼します」

「犬飼さん道場使って大丈夫だそうです」

「そうか、それはよかった、誠二君、私から一本を取れば「お義父さん」という事を許そうじゃないか」

無事道場も使用出来るようだ、どうしても駄目なら契約している警備会社の社長に掛け合って練習場を借りる方法もあったがその必要は無いようだ、前回あった時に父親は乗り気なようでさほど心配はしていなかったが見合いとしても上手くいっているようで一安心だ


「道場を使わせて貰えるみたいね、良かったわ」

「千尋さん有り難うございます頼んで頂いて、柿崎さんが宜しく伝えて欲しいと仰っていました」


「あら、大学でもそうだったけど柿崎先生は相変わらず気が利かないわね、私の名前を出すなんて、口止めをしておくべきだったわ、私も柿崎先生に久しぶりに指導して頂こうかしら」


彼女も相当腕が立つのだろうよく見れば鍛えられた身体をしている、指導を受けると言う名目で余計な事を言ったお礼をするつもりなのだろう、夫に恥をかかせたことも気に入らない様だ、なんとなく力関係が見えてくる、大学時代に部活の指導をしていたものが警視庁の上司にいて、その柿崎と言う上司は彼女に恩が有るか弱みを握られているのだろう


「順調に話が進んで結構なことだ、私もご一緒させてもらって良いだろうか、誠二の成長も見てみたい」

良い雰囲気でそろそろ予約の時間も終わりそうだ、妻には先に帰って貰うことにした、息子が投げられるところは見たくないだろう、見たところ誠二の方が強そうだが、相手を立てるため気付かれないように手加減して最初は投げさせるくらいの事はするだろう


誠一と真理は千尋さんからデザイナーを紹介してもらって私達とは別行動になるだろう、ホテルのものに車を手配して貰おう

「先にロビーに行っている、フロントで車を手配させよう、誠二、しばらくしたら皆さんを連れて下りてきてくれ」


「お義父さん、その様なことは私に任せて下さい」

真理が秘書時代のように気をきかせてくれる


「いや真理は誠一と一緒に千尋さんからデザイナーさんを紹介して貰うのだろう、待たせてしまうことになるといけない、見合いに付き合ってくれて助かった後は自由に楽しんでくれれば良い」

1人で先にエレベーターに向かう、あまり聞かれたくない仕事の指示もしなければならない、もうロビーで部下が待ってくれているはずだ


ロビーに降りると部下らしい人間が近づいてくる、気が利く男の様だ会釈をした後フロントに向かう私を待ってくれている

「前川だが今日はお世話になった、車の手配をお願いしたい、普通車を1台・大型を2台で宜しく頼むよ」


「社長、部長の指示でお待ちしていました、松本です」

「藤崎からどこまで聞いている?」

「社長から資料を受け取り内部監査の準備を進める様にと、今から本社に向かい明日朝すぐ動けるよう準備を整えるつもりです」

「良いだろう、その方向で進めてくれ、これがその資料だ、昨日と今日の2日分休日出勤を申請してくれて構わない、藤崎には言っておく、松本君だったね覚えておこう、頼んだよ」


車が到着する少し前に誠二たちも降りてきた、昼にロビーでみた3人連れも一緒だ、まずは妻を家まで送らせる


思った通り誠一と真理はこの後デザイナー達と行動するようだ日本人の女性が通訳をしている、真理もフランス語が喋れるが服飾の専門用語までは無理の様だ、通訳を通して話を聞いている、背の高い女性がアクセサリーのデザイナーでもう一人がドレスのデザイナーのようだ


私と誠二は犬飼家の3人と一緒に警視庁に向かった、駐車場まで柿崎と言う上司の男が迎えに来ていた、

千尋さんに真っ先に挨拶をして、彼女を少し不機嫌にさせていた、あれで良く出世出来たものだ、うまく上のものに気に入られる人間なのだろうが、彼女に対しては空回りしていると見える


「柿崎先生、ついでと言っては何ですが、久しぶりに私に稽古をつけて貰えますか?」

「そうしたいのはやまやまだが、少し腰の調子が悪くてね、千尋さん申し訳ない」

「駄目ですよ先生、その年でも現役で、奥様に家族サービスをしているからそんな事になるんでしょう?」


柿崎の表情に焦りがみえる、なるほど浮気か、妻のほかに女がいるのだろう、それをネタに脅されている様だ、他にも学生時代の部活の関係者が警察に居て情報を仕入れられるのだろう、うちの会社の情報をどうやって入手したのかは分からない敵にまわすと恐ろしい女性の様だ


いや少し違う、敵にまわれないようにいじわじわと相手を縛って利用するタイプの人間だ、もう手遅れかも知れないが深入りせず適切な距離を維持していれば頼もしい味方になってくれるだろう

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