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28.傀儡

香織が無事に人狼のボスを連れてきた、魔王である私への忠誠を誓ってくれはしたがどうも香織個人に従っているように見える、香織の事を「姉御」と呼び慕っているというより怯えて舎弟になっているようだ、どうやら早太郎と出来ているらしい、何か契約で縛ってもいる形跡も感じる、香織が私を姉と慕ってくれているからいいものの、あれは勇者の子分だ、魔王の部下ではない


「テメーのせいでオークが減ってしばらく食えなくて困ったんだ、どうしてくれる?、エルフ共も大事な木を燃やされていい迷惑だったらしいがこっちは飯がくえなくなったんだ!魔王様からも一言いってやってくださいよ」

と私を盾にして千秋様に文句をつけてくれた


色々と間違っている、オークも魔王軍の配下だ食料だという認識はどうかしている、これから和平を結ぶ相手に文句を付けてどうする気だ


「それは悪い事をした、ようやくエルフが私の事を煙たがる理由が解かった。お詫びとお礼にハイオークのオスを捕まえてこよう、香織にテイムさせて牧場を作らせようハイオークなら「異種交配」のスキルが有る、便利な「種豚」になるだろう、適当な獣に種付けさせて増やせばいい」

千秋様の解決策も狂っている人狼と同じだ、オークを食料と考えて賠償しようとしている、人狼のボスも喜んでいる何が「流石魔王様!発言力がちがう」だ私はオークの件で一言も発言していない、私がオークを売ったと思われたら求心力に悪影響が出るだろう、天然の不安定化工作は止めて欲しい


だからといって不満を言える立場ではない、千秋様の酔狂で私やカミラ様は生かされているのだ、まともな使徒なら私達の首は繋がっていない、体裁だけでも魔王ヒルダとして魔王軍をまとめ5年の時間を有効に使い対抗手段を手に入れなければいけない、違う世界で生まれた妹である勇者をこちらに引き込むことが出来れば選択肢が増える、彼女に魔王の座を押し付けて森の自治権だけでも確保すれば私の復讐に専念できる


現在行方不明の本当の魔王の行方も気がかりだ、戻ってきた場合私は魔王の座を盗んだ謀反人と見られるだろう、勇者に討伐させるしかない使徒がいるうちにと探させてはいるが見つからない


良い知らせはエルダーリッチが私を魔王と認めてくれるようで千秋様がエルダーリッチからの使者を連れて来てくれるとの事だ、千秋様が段取りを付けてくれる事になっている、今までの魔王に対しても最低限の支援しかしない対応の難しい相手だ、彼からの使者を迎えれば魔王としての評価が上がるだろう


予定の通りに千秋様がエルダーリッチの使者として人間の女性を連れてきた神官衣を身にまとっている


「魔王様お初にお目にかかります、エルダーリッチ「アシュノット」が娘「ヤヨイ」と申します今後父に代わり魔王様の力となりましょう、私の専門は錬金術ですが父より死霊魔術も習っております、手土産として自慢のゴーレムを2体持参しました、これらは魔王様が魔力をこめれば完全に私の手を離れそれ以降魔王様の意志に忠実に従います、損傷しても核さえ無事なら魔力で再生させることも可能です、お役に立てれば嬉しく思います」

大した挨拶だ忠誠と誓うとは言っていない現状維持以上の働きは期待するなと言っているのだ、エルダーリッチに娘がいるなど聞いたことも無い、こいつは何者だ、下手をすると使徒を越える魔力を持っている


「これらは」「魔王様の意志に忠実に従います」と言うゴーレムを土産に持って来た。自分は忠実な部下では無い同盟者だと言いたいのだろう


ゴーレム自体は有り難い自慢と言うだけの事は有る、ミスリル製で性能も高く正面からの戦闘が苦手な私の弱点をカバーしてくれる、私の分かる範囲で操作を奪うような仕掛けは無い、ただし造ったのは彼女だその気になれば力ずくで操作を奪うことも可能だろう、それでも敵対しない限りは役に立つ


「彼女はかつてエルダーリッチの迷宮に挑んだの聖女の身体に共に挑んだ勇者を生贄にしてエルダーリッチが病で亡くなった娘の魂を召喚した、娘の魂は異世界で新たな人生を歩んでいたようだ、召喚の儀式は封じていた勇者の魂を使い魔法で生きたまま保管していた聖女の身体にを使い20年近く前に行われたと聞いている、彼女と聖女の魂が協力してエルダーリッチの悲願である娘の復活を成し遂げた」


「聖女の魂は100年以上エルダーリッチに捕らわれながらも闇に落ちることなくエルダーリッチの悲願を叶えることでエルダーリッチの魂を救済した、この事を女神様が評価し使徒に加えられた、5年以内にエルダーリッチは成仏するだろう」

千秋様から説明を受けるが言葉通りに信じることは出来ない、千秋様がエルダーリッチを討伐し捕らわれていた聖女を救出したというのが本当かもしれない、それならば「ヤヨイ」は女神がこの世界に呼んだ魂だ魔王軍内部に自分の配下を送り込んできた、完全に傀儡の魔王としての未来が見えてきた


今になって使徒の恐ろしさを痛感する、そして逆に安心している自分がいた、大人しく従っていれば殺されることは無い、女神にとっても自分の領分を侵害する「魔導国」は目障りなはずだ、利用されるのは癪だが復讐の機会はやってくるだろう、カミラ様と相談して今後の方針を決めなければならない

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