25.迷宮
エルダーリッチが本拠地とする迷宮にやって来た人間の国々から比較的遠い位置にあるため私が勇者時代にここに来たことは無かった、魔王の支援にアンデットを提供していただけだ、私が使徒になってからも派手な動きは無い、カミラは何時噴火するか分からない休火山として一定の警戒をしているようだ、彼女の長い人生の中で痛い目を見たのかもしれない
ジャングルの中にマヤのピラミッドの様な迷宮の入り口があり扉は解放され入れるものなら入ってこいという挑発にも思えた、準備も整えている対アンデット用の魔法をカードに封じ、手札として備えている、無詠唱で魔力の消費も無く必要であれば同時に使用できる、魔力は先払いしてありやろうと思えば追加で魔力をつかい対象や威力の拡大も出来る勇者時代7枚だった上限は無くなっている、今回は20枚ほど準備した
中に入ると静かで嫌な魔力も感じない神殿のようですらあった、中は暗いが暗視のスキルの持っているためそのまま進む、しばらく数むと地下へ通じる階段が現れた下から明かりが漏れている「妙だな、静かすぎる」というお決まりのセリフが聞こえてきそうだ
そのまま降りると大きな広間だここも神殿の様な雰囲気だ体育館ならバスケットコート2面くらいあろうか天井は高く5メートルくらいの高さがあり天井や壁に魔法の明かりが広間を照らしていた壁際に高さ3メートル程の金属製の像が左右に6体づつ合わせて12体並んでいるかゴーレムのようだ表面を見る限りミスリルだろう良い趣味をしている、エルダーリッチが不死の体を得た後か生前の研究なのかわからないが彼の魔法で創造したものだろう、事前の準備をうまく躱された、この先に進めば役に立つので痛くは無いが、勇者や冒険者がエルダーリッチを倒すために準備して遠征したのであれば有効な防衛機構だ、気に行った楽しめそうだ
正面奥に人影が見える一人だけのようだ
「ようこそ我が師の迷宮へ、使徒『チアキ』様、いえ「三澤千秋」様とお呼びした方がよろしいでしょうか」
神官衣を来た女性が呼びかけてくる、カミラとの会話を使い魔などで聞いていたのか?手ごわい相手のようだ
「こちらの自己紹介は要らないみたいね、貴女は私をどのように歓迎してくれるのですか?」
「失礼しました、こちらの自己紹介がまだでしたね、前世での名は坂本と申します私が使っている身体は聖女カーリア様の身体です」
「名字しか教えてくれないの?ずいぶん失礼じゃない挨拶してくれただけましだけど、やり直してくれないかしら」
「カミラ様のスキルが有る以上真名を明かす訳にはいかないものでご容赦下さい、スキルは返済されたようですが、複製で三澤様が使用できる可能性も否定できません、カーリアと呼んで下さい師も私をそう呼んでいました」
「慎重ね、その切り札を使った事は無いのによくわかるものね、感心したわ」
「時間は有るので茶番劇に付き合ってもいいのですが、要件は推測できます、三澤様の魔王に恭順すれば私たちにどの様なメリットがございますか?」
三澤様の魔王と来たか、手品の種はわからないが情報戦で負けている楽しませてくれそうだ
「出直そうカミラを連れてくる、直接迷宮の主と話がしたい」
「ヒルダ様でお願いします、カミラ様の短剣はわが主にとって相性が悪いもので」
「心配いらないカミラの短剣は息子に引き継がれ聖女候補が彼を倒した短剣もこちらで押さえている問題はない」
「三澤様、御存じないようですのお教えいたします、カイン様が使われていた短剣はカミラ様の持つオリジナルから生み出された劣化コピーです」
「どうしてそれを知ってるの?」
「無料サービスはここまでです、これから先は課金して頂かなければこちらも困ってしまいます」
面白そうな女だどこか自分に似ている
「そこまで鼻が利く相手にヒルダを会わせる訳には訳にはいかない、カミラが許さんだろうしな、譲れる条件を確認してくるその時は全権大使としてやってこよう」
「でしたら、こちらも私が対応できるよう主の許可を得たうえでお待ちしております、申し訳ありませんが見送りは出来かねますので失礼します」
と広間の奥にある扉の中に消えていった
階段を上がり入り口から外に出る変な追跡や盗み聞きが無いよう何回か転移を重ね探査魔法で使い魔が居ない事や、魔法・呪術の有無を確認をした後魔王城に帰還した、
カミラ・ヒルダと情報交換を行った後方針を相談したが「千秋様にお任せします」と来た、ありがたい白紙委任状と思うべきか?迷惑な丸投げと思うべきか?
再度迷宮に向かう前に「聖女カーリア様」を調べなくてはいけない、私の知らない聖女だ、本神殿まで跳び最高司祭に許可を得て資料を探す、探し出すのに1時間かかった
100年以上前の聖女だ選定された時の評価も高い、当時の勇者と共に魔王討伐の旅に出てエルダーリッチの迷宮に挑むがその戦いの中勇者が倒れ、絶望的な状況で二人の仲間を帰還させるためにエルダーリッチと取引し迷宮に残り二人を神聖魔法で本神殿に帰還させた、その後の情報は残っていないとある
身体を奪われたとして最大100年以上生きている、身体を何らかの方法で保存か封印していれば100年間の間全てのタイミングで奪えるだろう
カミラの様にこの世界での遊び相手にするには危険な相手なのかもしれない、状況によってはゲームではなく殺し合いになる
対ゴーレム様に呪文をカードに封じ、再び迷宮を訪れた、一度目と迷宮の状況は変わっていない広間にテーブルと椅子が有るのが唯一の違いでカーリアが椅子に座り待っていた
「落ち着いて話がしたい並んでいるゴーレムを下げてくれないかな?」
拒否するなら壊して主導権を取りたい
「良いでしょう、収納します」
広間からすべてのゴーレムが消えるアイテムボックスのスキルか?だとすればとんでもない容量だ、先に力を見せつけられたおもしろくない、収納できるなら別のものを出現させるここが出来ると言う脅しでもある、手札を知れたのは有り難いが他にもどんなスキルが有るのか分からない目の前の身体が本体なのかも疑問だ、殺しきれない恐れがある交渉をまとめるしかない様だ、思考をまとめる中で別の可能性に気付いた
「カーリア様しばらくエルダーリッチの姿を確認したものが居ないのですがまだ存在していますか?あなたがこの迷宮の主人なのでは?」
「ようやくその質問ですか?「カーリアと呼んで下さい師も私をそう呼んでいました」と挨拶したはずですが」
化け物だこの世界はまだこんな化け物が潜んでいる
「貴女は聖女カーリア様ご本人ですか?」
その質問を投げかけると、相手のまとう雰囲気が変わった
「初めまして、私がカーリアです、奥で聞いて居ましたが三澤様が聞いてばかりでは不公平では?まあいいでしょうお答えします、何割ぐらいかはわかりませんが自分の魂が残っていますし意識もあります、記憶も残っいています、ですがこの身体はもはや私を救ってくれた恩人の魂のものです、この後はその恩人と話をしてください」
その後、彼女の魔力の質も量も変化した、信じられない使徒であるわたしを越えている
「改めて挨拶をしましょう、坂本と申します、三澤さん前世では兄が迷惑をお掛けしました」
「どういう事でしょう、貴女は何者ですか?」
「本当に聞いてばかりですね、あとで兄の事を聞かせてくれるなら答えましょう」
「貴女の兄とは?」
「大丈夫です、こちらの話を聞けば思い出すでしょう、まずは私の事から私はエルダーリッチが、倒した勇者の魂を贄に異世界から私の魂を呼び出しました、その結果勇者の持っていたスキルが私の魂の宿りました、幸い私の魂を縛るような拘束も機能せず、エルダーリッチの魂を喰らうことが出来ました、彼の死霊魔術も研究も私のものになりましたこれが20年くらい前の事になります、その後はカーリアと二人でこの身体を共有しています二人でこの迷宮を作り替えエルダーリッチの被害者の魂を救済してきました」
「そして兄の事です、私の兄は貴女のファンでしたTCGの大会で貴方と対戦する為にかんばっていましたが少し気持ちの悪い性癖を目覚めさせていました、貴方にも少なからず迷惑をかけていたと思います、兄に変わりお詫びします、貴女の名前を知っていたのはこのためです」
「カミラ様の短剣が厄介なので常に探りは入れていました、カイン様の事も見張っていたため面白いものを見ることが出来ました」
信じられない、奇妙な縁にも、彼女たちが成し遂げたことにもだ、次は私の番だこの情報に見合うかはわからないが私の知ることを話そう
「坂本さんでしたね、覚えていますよく対戦しました、私と対戦する為に常に上位卓まで勝ち上がってきます、2本先取の3本マッチで1本目はは6:4くらいの勝率で貴方の兄が取つてました、今思えばその1本目が純粋な勝負で、その後は3本勝負を長く楽しむための調整だったのでしょう、私が1本目を取った時の2本目は特に強かったです、3本目は小さなミスをして私が必ず勝ちました、当時は集中力が続かないのだと思っていました、それが残念で感想戦でミスを指摘し罵倒する様に責めていました恥ずかしい黒歴史です」
「私の魂が勇者としてこの世界に来た時の日の事を思い出します、その日決勝で貴方の兄と対戦しました、1本目を私が取り、2本目を貴女の兄が、3本目は貴女の兄のデッキの回りが悪かったようで変な手加減は無く私の目からプレイングにミスは見られませんでしたその日の優勝は特別でしたお互い全力を出し切った上での勝利でしたから」
「有り難うございます、私の知らない兄を知ることが出来ました」
「カーリアの魂を救済していただけるのであれば貴女の魔王に恭順しましょう、この身体は私が引き継ぎます」
素晴らしい彼女の魂であれば女神様も気に入られるだろう使徒に加えて下されば私も楽になる、交渉は成立した
彼女はエルダーリッチの使者として魔王ヒルダと会うことを約束してくれた、今までの魔王と同様の支援を約束してくることになるだろう、そして聖女カーリア様は女神様の使徒となった




