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23.祝宴

使徒『チアキ』が共闘して抵抗勢力を服従させる、または殲滅する為の戦力として新しい勇者を伴いやって来た勇者に経験を積ませるつもりだ、魔術契約が無ければ手を回して抵抗勢力と共倒れにしてやるものをと考えていると、見覚えのある顔だ私が千尋の身体で産んだ娘だ魂の気配からも「香織」で間違いないようだ


「香織どうしてここに居るの?」

勇者が唖然としている、わたしの今の立ち位置はダークエルクの族長の妻だ、当然体も元のダークエルフの身体を使っている

勇者の連れている2頭のフェンリルのフェンリルの内1頭は嬉しそうに尻尾を振りながら寄ってくる「早太郎」だ私が万が一娘が「魔導国」の転移にあった時の為に用意した守護者だ、現地の伝承に私が術式をそろえ戦死した黒狼の魂で強化した秋田犬だ私が「早太郎」と名付けした、私との従魔契約は消えたのか上書きされたのか香織が契約を結んでいる、香織も「早太郎」と日本での名前で呼んでいるようだ


事情を途中まで説明したが香織も混乱している、早太郎が精霊語で話しかけてきた早太郎目線の情報を聞き取った、女神の土下座させたらしい褒美をやらねば、結果としてこちらの世界に来ることは防げなかったが仕方がない、娘の魂が女神のお眼鏡にかなうことまで想定できるわけがない見れば能力も高くスキルも貰っているはずだ女神は「魔導国」の様に魔法で魂を縛るようなことはしない悪くない結果だ


わたしの話を横で聞いていたヒルダが頭を押さえ苦しみだした私の話を呼び水に千尋の記憶が戻った様だ涙を流しながらわたしに抱き着いてくるわたしも抱き返す、香織も大切な私の娘だが殆どの時間を製錬した魂とコピーした千尋の記憶が共に過ごしている私の魂で共有した時間は少ない、どちらかと言えば親友であり娘であるヒルダの方が可愛いため説明を切り上げイザークに祝宴の準備をさせる

準備を終えたイザークは説明を要求してきたが千尋との間に積もる話は幾らでもあったため邪険にしていると矛先を香織に向け話しかけている、ふと見ると使徒が悪い顔をしていた


その顔がわたしを冷静にさせてくれた、香織への説明を放り投げていた、使徒が聞いている前提で説明しなけれはならない話すべきべき内容と話してはいけない内容を頭の中で整理する、話してはいけない内容の最たるものはは早太郎が女神へ与えた影響だ、土下座以上の戦果は無いようだが、それ以上の戦果が無い事を相手がわかっていないことが重要だ悪魔の証明だ、香織に対しての影響力もそうだどの程度のものであるかも相手の懸念材料となるだろう


いつもの自分が戻って来た、そしてようやく失念していた重大なことに思い当たる

「千秋っ!私の娘は無事なのか?向こうの世界でどうなっている?」

私は再び冷静さを失うさっきとは逆に怒りが私の心を乱す


「カミラ様その情報は有料です、勇者『カオリ』しばらく黙っていなさい、これから私とカミラ様との間で楽しいゲームがありますので、邪魔しないようお願いします」

ぞっとした、だからこそのあの顔だ可能性は2つ死んでいるか別の魂が交換で入っている

冷静になれば確認できた香織の母親である千尋の身体に魂のつながりがあるそこから記憶を読み取ればいいだけだった


お互い少しずつ手札をオープンしていく娘の身体は無事で先日イザークが取り逃がした聖女候補の魂が娘の身体に入っているこちらの隠したい情報は全て相手に奪われた、向こうの世界でその魂に手出しをする事も禁じられてしまった、イザークの顔色は良くない、ヒルダは使徒への殺意を隠せていない様で目が座っている


香織と対面した時にポーカーフェイスでやり過ごしていればこんな結果になってはいない多くの手札を手にすることが出来たはずだ、ミスにミスを重ねた結果がこれだ、「私の魔王討伐」が失敗に終わった時に使徒から言われた言葉を思い出し、またも思い知らされた、私はもう、族長ではなく母親なのだと


それでもまだ実質的な族長から降りることは出来ない魔王ヒルダの魔王軍を作り上げるまで時間がかかる、祝宴を再開して改めて香織と使徒やイザークに説明をする何とか険悪な空気も落ち着いてきた香織がヒルダをお姉さんと呼ぶようになっている、使徒も私が千秋と呼ぶことを許してくれた


イザークが聖女候補を取り逃がした事を詫びてきたが責任は私が情報共有していなかったためだ、詫びるようなことではない、あの時のヒルダとイザークの判断にケチを付けるところは無い、ヒルダの分析の様に騎士まで処分しろと言うのは欲張りすぎだろう、結局のところ最後には和やかな空気になっていた、千秋は終始楽しそうしていた


「イザーク殿のお陰で街道が安全になりました盗賊を退治してくださったようで助かりました」

「そうだったのですね、賞金首の懸賞金は頂けるのですか?」

「差し上げたいのですが、完全に灰になっておりまして確認が出来ないため無理なのです」

と言った調子で嫌味まで言ってくる、わたしの反撃も簡単に返された


仕方がないせめて魔王軍の強化の役に立って貰おう、使徒には懸念材料となっているエルダーリッチ対策をお願いすることにした

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