191.熟慮
「下手をすれば矛先がこちらに向きかねません、一旦様子を見ましょう、魔王様を含めて私達が敗れた世界です関わってはいけない世界でした、そう言えば貴女達も与えた血以外はあちらの世界の出身でしたね私は仕えれる価値のある存在ですか?」
撤収を決めた理由を2人のアルラウネに語り問いかけた
色々と困らされもしたが今では信頼できる子達だ、自分の弱みを見せられる数少ない相手になっている
「今のところはそうです、ヤドリギには寄生先が必要ですから」
オメガが遠慮なく返事を返す、アルファはそれを聞いて妙な顔をしている
「ダフネ様と貴女様の率いるダークエルフは今からも成長を続けて頂けるのでしたら大丈夫ですよ、これからも価値を高めて頂けるのでしょう、今後も付いて行きます」
言葉を選んでいるつもりだろうか?
内容は同じだこのままでは見限る可能性が有るといっているのだがどこか激励している様に感じられた
「あのダークエルフはヒルダと言いましたか、あの女から奪いたいものが有るのです、そのためにはもっと強くなる必要が在るようです、貴女達の期待にも応えて見せましょう」
2人に決意を語る何時でも亡ぼせる古エルフよりも優先すべき事を思い出した
私の中にあのダークエルフの女に嫉妬を感じているのを自分でもわかる、彼女の言葉の中にツクモ様の名が出て来た事が気になって仕方が無い、男を知っている身体の様だったし余裕も感じられたそれが戦闘力だけでは無いと思うのは私の考え過ぎなのだろうか?
今回の騒動をイライザ様やカオリ様がどの様に着地させるかは測りかねるが私がこの世界の魔王として束ねる方向で動いているのだろうとは推測できる、相対的に他の10将と比較しても我々ダークエルフの力が増さっているが獣王は戦力を維持しているしバンパイヤも竜王もどうやら一時的に力を誇示するために見せしめにしているだけで石化や塩の像から回復させる気でいるのだろう
それでも秘匿している魔王の力や戦力を加えれば逆転できる、勿論更なる力を獲得しなければいけない、私が更に強くなる事は必須であるが支えてくれる実力者が加われば盤石となるだろう、もう少し時間をかけてツクモ殿の実力を部族の主な者に認知させたいところだが、彼の下で修練した者は理解してくれているだろう
あまり時間をかけすぎるとトンビに油揚げを攫われかねない、実力もあるし魅力的な男だ狙う者の多く居るだろう、多少は私が先行していると思うが彼の好みが分からない身近に2人アンジュ殿に従うダークエルフの娘が居るが手を出している様子も無い、もしや女に興味が無いのだろうか?
元々は女として産まれたと聞いている、今までの人生で私の様に自分より強い相手を望む様な考えを身に付けているのだろうか?かつて仕えた女魔王に未練でも有るのあろうか?物思いに耽ったところで無駄な事だと言うのに私は何をしているのだろうか
今この世界を離れる事には抵抗がある、魔王城に滞在するイライザ殿に話を聞いてみよう
「イライザ様ご存じなら教えて頂きたいのですがヒルダと言うダークエルフとお会いした事は有りますか?」
タイミングを測り別のたわいない話から本命の質問をぶつけてみた
世間話と言うには少し踏み込んだ質問だが答えられない内容であっても別に答えなければそれで済む話だ、そこまで深い関係が出来ているかは置いておいて特に関係が崩れることも無いだろう
「ほう、意外と奥手なのだな?それとも呪術的に純血を守らねばならぬ必要があるのか?」
私の身体を見ながら質問に質問を返された
「止めておいた方が良い相手だ、それ以前にお前は九十九殿を狙っていたのではないか?」
更に言葉が続く
「おや女も守備範囲と思ったが私の誤解だったみたいだな、自分と同じ趣味も有るかと思ったのだが」
私の表情を見て言葉を失っていた私の返事を待たずに更なる言葉がかかった
「からかわないで下さい、私は真剣なのです」
「そうなのか?なら回りくどい質問はしない事だ、誰が欲しいのだ面白そうだし手伝ってやらんことも無いぞ、簡単だ今の私の権限で潜在的な危険人物を追放するだけの話だ、神殿の上層部にとってダーフエルフの実力者が精鋭を手元で鍛えているなどと知れば対応してくれとすぐに泣きついてくるだろうからな、少し遠回りに情報を流せば済む話だ」
「それに先んじて動く事も自由だ、それ以上の独断専行も認められている、だから香織もこの世界で好き勝手に楽しんでいる、私はメインディッシュは平らげてしまって暇を持て余している、聞いているかも知れないがこちらでお荷物になったゴブリンも付けてやるから好きに使ってくれていい」
成程お互いにとって利の有る話の様だ
「ただし自分で本人の了解は取って置けよ、騙し討ちは有効だがこの手の話しでは悪手になるかもしれん、もう一つ教えてやろう、お前の言うヒルダは世界樹の管理者の方だな?なら恋のライバルでは無いから安心して良い」
「九十九殿と面識があるが儀式魔法を打ち合いその後剣を交えただけの関係だ、結局勝負は付かなかったがな、剣の勝負は俺も見ていたが楽しい勝負だった、残念な事にヒルダのパートナーが浮気を疑って連れ去ったために勝負が流れてしまったがな」
成程だから男を知っていたのだか
ツクモ殿とあの女の戦いに横から割って入る事が出来る私の知らない化け物が居るのか、恐らく最初に偵察した時には手を出せなった森の中に居たのだろう
イライザ殿が思案する私を楽しそうに見ていた
「如月と言う九十九殿の弟子のアルラウネに相談すると良いだろう、応援してくれるだろう」
その言葉で酒で潰れた私を開放してくれた少女の姿をした者が多い中でアルラウネにしては背の高い娘の顔を思いだした
あの時何か失望した様な空気があったがそれは私の酒の弱さに向けられていたのだろうと思っていたが師を口説き損ねた事に対するモノだったのだろうか?そう言えば私達を2人だけにしてくれていたのだろう、はっきりしない頭で彼女が何か言っていた言葉を聞いていた筈だが思い出せない
なんとも情けない話だ、正直合わせる顔すら無いくらいの失態ではないか、だが頼もしい話だまだ見捨てられていなければ良いのだがイライザ殿の話ではまだ助力を期待して良さそうだ、今度はアルファとオメガを連れて行こう2人にとっても良い出会いとなるだろう




