190.落城
ダフネ様に付いて古エルフの結界の近くまでいく事になった、故郷で私達2人をマンドレイクからアルラウネに進化させてくれた弥生様の世界のエルフがうろついてるらしい
「アルファ、楽しい事があるかな?」
オメガが聞いて来る
土から先に出て来た順で私が姉としてダフネ様が名付けてくれた、自分で判断出来るのにわざわざ聞いて来る、妹としての礼儀と思っているのかも知れない、この世界で他のアルラウネを見た事は無い意図的にアルラウネに進化させて戦力に組み込むような事はしない様だ偶然で誕生したとしても生き残る事は少ないのだろう
故郷でもアルラウネを戦力に加える事は最近になって活発になったらしい、その切っ掛けになったのがアンジュ様だ彼女であればこの世界の10将にも対抗出来るだろう、実際アンデットを率いて故郷に攻め込んだリッチをぼこぼこにしている
いずれは繁殖相手を見つけなくてはいけないが私達の手で育てるしか方法が無いと思っていた所に同族を見つけた、エルフが引き連れていたのだ、どうやら戦闘にはならないようだ多少交渉の一環として勝負をするしないの話しは出たが実際に戦う事はなく結界に籠る古エルフに対する圧力をかけるためだった
相手のアルラウネ達も私達を興味深そうに見てくる
「アンジュ以上に穢れた血で育った株の様です、近づいてはいけませんよ」
確かに覚醒のためにダフネ殿に血だけではなく魔人の血も注がれているがドライアードのババァが失礼な事を言ってアルラウネ達を引き揚げさせた
私達を何だとお思っているのだろうか?樹木の妖精だからと言って偉そうにしやがって、草だと思って私達アルラウネを眷属とでも勘違いしている様だ、被害者意識なのかも知れないが「株」と言う何でも無い言葉に悪意が込められている様に感じた
しかし植物の妖精種にとって長く生きた事はそれだけ力を蓄えた事を意味する、ババァと感じた事は相手の力が強いと感じたと同じだ、今はまだ倒す事の難しい相手だ、私達も長い寿命を持ってはいるがドライアードには及ばないだろうが今に見ていろ、私達の方が早く成長し数を増やせるのだから
そのためにも優秀な繁殖相手が必要だ、交渉が長引けばもう少し機会があるだろうか?そろそろ古エルフも出て来ても良さそうだが怯えされたのだろう結界が更に強化されている様に見える
「逆効果見たいでち、いっそ結界を破壊した方が早く話し合いのテーブルに着いてくれるかもしれないでち、今までの成功体験が足枷になっていにのでち」
迷宮からアンジュ様が現われた
「ヒルダママ!」
とダークエルフの女性に抱きついている、それをドライアードのババァが嫌そうに見ている
「レン、香織は森を中心に四神相応の地を創造しているのでしょう、手伝ってあげて南に海だったかしら?流石に内陸だと湖かしら、天津甕星だったわね九十九殿の術式を解明したのでしょう挨拶に丁度良いわ、私達の世界樹の守り人の力を見せてあげましょう」
ヒルダと呼ばれたダークエルフがドライアードに指示を出している
ダフネ様がその言葉に反応している、今までの相手を測ろうとする態度とは少し違う反応だあのセルフの何処に反応したのだろうか?
見ているとドライアードの周囲を8人のアルラウネが等間隔に囲んでいる
「掛巻くも畏き 天津甕星の大前に 恐み恐み申す 邪気 病魔 悪霊 を薙ぎ倒し 打ち払い給え~」
唄うように独特な言葉で詠唱だろうか?9人が言葉をあわせて唱えている
南の遥か遠く空を切り裂いて巨大な隕石が落下していく
「やり過ぎよ」
私達を含めて結界が張られた
神聖魔法の「聖域」だろうしばらくすると南の大地に隕石が落下し衝撃が襲って来たが「聖域」その衝撃を受け止め背後の古エルフの再生中の森をも守っていた
「カオリ様感謝致します、異世界のため効果が減衰すると思いましたが思いの外再現率が高かったようです」
ドライアードが感謝の言葉を告げる
謝罪は無く神聖魔法で守られた事に対する感謝だけだ、さすがババァ長い経験を生かした処世術だこれは手本にしないとしけないが、愛らしい私達は素直の涙を見せて謝罪する方が効果があるだろう、それでも将来のために覚えておこう
「高天原に坐し坐して 天と地に御働きを現し給う龍王は 大宇宙根元の御祖の御使いにして 一切を産み一切を育て萬物を御支配あらせ給う 王神なれば一二三四五六七八九十の十種の ~ 萬物の病災を祓い清め給い 一切衆生の所願を祈願奉る 皇神の大前に恐み恐みも白す」
その会話が終わると別の詠唱が始まった
その途中から隕石の落ちた場所を中心に雨雲が立ち上がると大雨が降りだした隕石の衝突で溶岩の様に溶けた大地に降るこによっ冷やされその際に蒸発した雨が水蒸気となって周囲に拡がっているその熱気も降り止まぬ雨が冷やして行く
「ヒルダ姉さんこの雨自然に止むのかしら?」
真顔でダフネ様を子ども扱いしたと聞いている勇者である人間の女がダークエルフに聞いていいる
「次は「晴れ乞い」の祈祷を始めるつもり?下手をすると干ばつになるわよ、今度はレン一人で祈祷してアルラウネの増幅効果が利きすぎているわよ」
「分かりました、ですが一人では効果が出ないでしょう半数に減らして実施する事にします」
また詠唱が始まる
今度は良い塩梅の様だ雨が少しずつ小降りになりやがて降り止んだ
そうしていると結界が弱まり古エルフが外に現れた、流石に脅しとして正しく伝わった様だ
「古エルフの現族長ロランと申します、どうか私の首で修めて頂きたい結界に籠りこの世界に干渉する庫事は致しません、どうかこの世界の片隅で細々と生きて行く事をお許しください」
と地面に頭を擦り付けて懇願しだした
「ヒルダ姉さんやり過ぎたみたいだけどこの後どう収拾をつける気でいるの?」
「困ったわ、今更魔王の部下達に対抗しろと言ったところで元々なかった最後の戦意を圧し折ってしまったみたいね」
2人で顔を見合わせた後私達には解からない言葉で相談を始めた
それを聞きながらダフネ様も口を出せずに困っている、震えたままうごかなくなった古エルフの族長にドライアードが近づいて囁く
「私は世界樹の味方です、貴方達が世界樹の守護者では無く庇護を受けてただ生き延びるだけの寄生木で有るのならダークエルフの方がましですね、森を明け渡しなさいこの森は私達が管理して差し上げますので人間の様に辺境で焼き畑でもして生き延びては如何ですか?」
その言葉を聞いてダフネ様が嘆く
「私達の古くからの怨敵が藪に隠れる野ネズミに成り果てていようとは悲しい事だ、人間ですら神の力により私の同格たる魔女殿を打ち取ったと言うのにこの様とはな」
「アルファ・オメガ、引き揚げます、私達が狩る価値のないゴミにもう関わる必要は最早無いようですから」
あの古エルフの族長はここまで状況を読んだのだろうか?




