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忌々しい事だ、私が覚醒させて外の世界迄も陥落せしめた魔王が打ち取られたばかりか他の手駒迄も奪われ本拠地てあるこの世界にまで侵攻された、味方であるはずの光の神の勢力を囮として使い我が僕たちは相手の掌の上で踊らされ、分断された挙句に一対一の勝負に持ち込まれ敗北した


「私に協力してくださった神に報酬を与える必要がありましてね、この世界の三分の一くらい譲って頂けると助かります、全てを管理するのは些か面倒でしてね、嫌なら別に良いのです一旦全てを奪ったのちに分配するだけですので、貴方は別の世界に勢力を伸ばしているのでしょう、逃げ込み先は有りますよね?

交渉と言いつつ選択肢など無い


「永遠に大人しくして欲しい等とは言いません、10年程で良いのです、その間に足元を引き締めれば宜しいでしょう、後はこの世界の有るがままに任せる事にしますので、それで私の上司の顔が立つもので、宮仕えの身は何かと面倒なのですよ、迂闊に女神の後継者になどなるモノではないですね」

笑いながら戯言を言ってくる


明らか私と同じ暗黒神の力も感じる、敗北したうえで女神に屈服した様には見えない、と言っても逆に内部から女神の権力を乗っ取ったと言えるまでは好き勝手は出来ない様だ今はその道半ばと言う所か、私の目指す道とは異なるが賢明な選択であろう


実際勇者や聖女に闇の力を克服させて強化させている様だ、立ち位置は逆だが今後私にも取り入れるべき新たな施策の糸口も見える、10年など私達にとってはさしたる時間では無い、今後手を結ぶ為の布石とも採れる


お互い相手を利用して自分の目的を達成する、蜜月の関係は限られた時間となるに決まっているがその選択肢を閉ざすのは惜しい、実際この世界を完全に掌握している訳でもない、光側の味方をして厄介な古エルフを結界から引きずり出してくれれば後々楽になるだろう、敵を一か所に集めても貰えば対処も簡単だ


案外悪い話では無さそうだ、私と異なり敗北も経験し、そこから学んだのであろう、明らかに私より若いと思われる小娘に見えるがここは勝利を譲るしかない、私もこの敗北から多くの事を学ばせてもらおうでは無いか、いずれ逆の立場に追い込んでやる、その時には確実に息の芽を止めなくてはならない相手だ、これ以上の経験と成長を許す事は出来ない





老練で手強い相手だった、今後もそうだろう


「3分の1ですか、この世界の実態の即しているとは思えませんが、どうでしょう貴女の忠実な勇者達は実に慈悲深く不要な血を流す事を忌諱している様だ、正直全てを任せて隠居しても良いかと思います、何せ吸血鬼を殲滅する事すらしないとは驚きです」

私の指示では無い事に気が付いているのだろうか?そこを含めて意図が読み切れない


「有難い事に優秀な聖女も抱えていまして、女神の意図を酌んで先んじて動いてくれますが後始末が大変なのですよ、暫く其方の世界に行ったきりになっても良いのですがご迷惑でしょうね、私の本意ではない所までやっしまいそうです、彼女達から私はあくまでも女神と見られているのですから」

私の持つ暗黒神としての力に相手も気付いているだろう


それならばそれで立ち回り方が有る、実際イライザと香織は自らの判断でこの逆侵攻を敢行したのだ、ビーストテイマーのスキルでアンジュを通して私の暗躍に気が付いて流血の量を減らすために動いたのだろう、正しく的確なタイミングで最適な戦力を動員して動いている


アンジュへの報酬だろうか必要以上の戦力だが珊瑚とスセリも共に参戦している今は足としての仕事を果たして遊びに行っている様だ、この3人にとっては観光みたいなものだ、スーザンも観光寄りだB級グルメを楽しいでいる


相手の深い読みと誤解がほぼ私の抱える現状に近い答えを導いた様でお互いに満足できる合意を結ぶ事が出来た、課題はハイエルフ対策だ、説得するハードルは当初と比べ低くなっているだろう香織をおだてててヒルダを表舞台に引き出す手助けをして貰おう、双方の世界のハイエルフに利の有る交流も出来る事だろう





「カオリママどうしたのでち?」

珊瑚兄さんとスセリと一緒に本当の海水浴を楽しんでいた所にカオリママがスキルで飛んできた、今回は何もやらかしていない筈だが今までの経験から身構えてしまう


「アンジュ悪いんだけど家までゲートを繋げて欲しいのよ、ヒルダ姉さんを迎えに行かないといけないの」

今は魔王城に引っ越しているが前の館は私が創造した迷宮を基礎にしておりゲートを繋ぐ事が出来る、すぐにゲートを繋いだ


「悪いけど暫く繋いだままにしておいてくれるかしら」


「お任せでち、門番も置いておくでち」

アンデットを召喚してゲートを守らせて海水浴に戻る事にした


今までは北の海で季節も夏では無かったこともあり珊瑚兄さんもご機嫌だ、スセリも楽しんでいる様だ、あたちもヒトデやイソギンチャクなど特別強力では無いが新しい毒を発見して満足だ


忙しかったのかドライアードに反対でもされたのか日も暮れかけた半日後にカオリママとヒルダママがゲートから現れたドライアードが2人アルラウネも8人連れて来ている、そしてもう一人セシルと言っただろうかハイエルフが同行していた


ヒルダママはハイエルフの身体で来ている戦闘力ではダークエルフの身体の方が高い筈なので何か目的が有るのだろう


「この世界のエルフの森近くに迷宮を構えているのでしょう次はそこに送って頂戴」

成程この世界のエルフ達と交渉の為の人選の様だ


「一旦この世界の魔王城に戻るでち、一度イライザ様と合流しておいた方がいいと思うでち」

珊瑚兄さんとスセリも共にクジラに乗り込んで帰途についた

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