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186/189

186.籠城

過去にエルフの森が存在していた付近にアンジュが迷宮を創造している、少し離れたところに結界で封鎖された空間があり、その中に無事なエルフの森の中央部が存在していると思われる、元々は弥生様が手を回して密かに連絡を取りつけ支援した上で魔王の配下達の軍勢に対抗させたいと考えていた様だ


今回はそこまで厚かましい話でも、踊らせて利用しようする訳ではない、弥生様がこちらの世界の神を支援する為に暗躍しようとしていた様だがその動きに気付いた香織がイライザを始め実力者を集めこの世界を収める強者を倒す事でその策謀を無用なモノと変えた


今回私に依頼させたのは正面から現状をエルフの指導者に伝える事だ、友好関係の構築までは望まれていない、だだ此方の世界の立場を誤解されない様に説明するだけだ、エルフは神を信仰している訳で無ない少なくとも私の世界ではそうだ長らく人間と友好関係を維持していたから尊重はしているが運命共同体では無い


この世界のエルフの立ち位置も正確には分からないのが現状だ、当然だがドライアードも異世界でのエルフの状況は分からないと言う、だからこそ今回は協力要請に応じた、香織が説得に来たから動いた訳では無い、協力する事に価値を見出したからだ


「今日は迷宮で休んで朝に結界付近まで行って見ましょう」

香織が明日の行動について話を振る


「結界はどの程度の強度なのでしょうか?完全に閉じているのでしたら交流する事すら不可能ですが」

ドライアードのレンが皆の意思を統一するために問題提起してくれる


最初に考えをまとめておかなければ危険だ初手で結界の破壊など強引な事をされたらたまらない、友好的な話し合いどころか宣戦布告と見なされる恐れもある、香織は勇者としての力もありゴリ押しで問題を解決しがちだ、ここに居るメンバーでブレーキを踏めるのは私だけだ


「私はアンジュとこの迷宮で待機した方が良いかしら?相手が敏感ならダークエルフの匂いを感じられてしまうかも、もしこの世界のエルフ達が今までの争いのために過敏になっていたらそんな配慮も必要かも」

香織がらしくない事を言う


「そうね、先ずは私が代表として接触を試みる事にしましょう、セシルと二人で結界を見てくるわ、レンとミルラも迷宮を出て周囲の警戒をお願いするわ、香織は魔王の配下の対処をお願い」


「ダフネに言って手出しはしない様に言っているし、いつも警戒のために配置しているダークエルフも引かせて貰っているから問題ない筈なんだけど気を付けておくね」





「ロラン様、周囲を嗅ぎまわる黒い妖魔が姿を消しました今夜あたり何か大きな動きが有るやもしれません」

結界の外を見張る部下が報告を上げてくれる


以前から何度か結界を破るための襲撃や遠距離からの魔法による攻撃を受けたが全てを撃退している、危険を冒して魔王や黒い妖魔の動きを監視している者達から報告も届いてた、我らが森を結界で閉ざした後は有効な手を打てずに侵略の矛先を別の世界に向けていた様だがそこで大きく躓いた様だ


魔王が討たれたのではと言う噂が流れ神が新たに勇者を召喚して反抗を始めたが撃退された、これに対しても参戦を求められたが拒絶した、この結界が有れば我らの安全は保たれるからだ、尤も失われた領土の木々が瘴気に蝕まれて枯れ黒い妖魔の森が拡大するのをただ眺めている事は忸怩たる思いがあるが結果を見るに正しい判断だっただろう


将来的には戦力の差も拡大し取り返しのつかないことになるだろうが、今はまだ反抗の時ではないと耐える事しか出来ない、前回の人間の反抗を退けたこと、外の世界への侵攻につまずいた事で今一度この世界を確実に掌握する事で勢力の統制を高め新たな魔王を立てる気かも知れない


実際未確認ではあるが魔王城を掌握していた竜王が動かなくなったと言う、今までは警戒と威圧のために空を舞う姿が確認されていたのにだ、城内で戦闘と推測される魔力の衝突も報告されている、最悪の場合竜王を討ち果たす魔王が新たに覚醒した恐れがある、これが憎き黒い妖魔であれば次の目的は我らの森だ


人間達の反攻に呼応すべきだっのだろうか?いやそんな事は無い只でさえ少ない同胞を無駄死にさせて戦力を消耗するだけだっただろう、今出来る事をやるだけだ結界を強化して備えなければいけない、世界樹の蓄えた魔力を消費する事になるがこれ以上森に被害を受ける様な事になれば魔力を蓄える事すら出来なくなってしまうだろう


結界を強化する事により結界に対する攻撃や結界内部に対する呪詛などに対する防御力が向上する引き替えに外部からの譲歩入手が困難になるが比較的相手の攻撃の可能性が低い時間帯に結界の一部分の密度を下げて対応する事になるだろう


もう一つ結界内から外部を確認作業が難しくなる、夜には動き確認されなかったが夜が明けた時に強力な魔力を持つ存在が結界に接近している事が判ったが素性までは分からない、邪悪な魔力は無さそうだが囮である恐れも有るため結界を緩める事は出来なかった


そのために取り返しが付かない事になった、あのような予想外の行動に出るとは思わなかった、結果的には喜ばしい事でもあるが歴史ある古エルフの族長として耐えがたい屈辱を味わされた、結界を張り引き篭もる事にを良しとしない先代を含む長老達が俺を非難する材料として利用する事になる


結界は部族を守るために合理的な判断を下したと信じている、それを証明しないと俺が無能で無力だと認めることになってしまう、せめてあれらが俺より年上の男でさえあれば素直に尊敬し敬意を払い感謝出来ただろう、そこまで俺は追い詰められ追い込まれていたのだろう

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