182.策謀
無事に弥生が次いで千秋が現世への降臨を終えて帰還した、「無事」という言葉に意味を確認しなければいけない事がいくつか起こしていたが結果だけを見れば大成功なのだろう、この後のことは女神を継承してくれる弥生に託して私はより高い階位へと昇る事になる
実際にその階層の事は分からないが神として功績に比例して程大きな顔が出来ると言えば言葉が悪いが、敬意を持って扱われると代々の神や女神から伝えられている、そして私は自分のの代でこの世界から暗黒神を放逐したのだ、そんなに悪い扱いは受けないだろう
そう思っていたのだ、確かに歓迎された先代を始めこの世界の代々の神や女神ともう一つ弥生が支配権を勝ち取った世界の神達は感謝と称賛で迎えてくれた、ここまでは良いだが逆の方向に悪目立ちもしていた、一番最悪なのは魔王に完全に世界を奪われた世界出身の神達だ
「何故可能であるのに魔王達を皆殺しにしないのか?」
「何故魔王に蹂躙された世界を支援しないのか?」
何処からどう見ても逆恨みだ、そもそも私達の世界にまで魔王が手を伸ばしたのはお前達の後継者が下手を打ったからだ、その怒りを私に向けられても困る
「お気持ちは理解できますが、私達の優秀な後輩に当たらないで貰いたいものですな」
私の初めて会う先達が私を庇ってくれた
そこまでは良かったのだが調子にのってとんでもない事を言い出した
「何なら貴方達の世界を支援して差し上げましょうか?優秀なのは間違い無いのですが余りに早く世界から暗黒神を追い出して女神としての経歴が些か短すぎる様でして」
今さら頼りになる使徒も居ない状態で出向など御免だ
だが断れる状態ではない事は分かる何とかソフトランランディングしなくては、こういう時は相手が飲める条件を先に提示するに限る
「もし宜しければ魔王に蹂躙された世界の現役の神に私から世界を取り返すための方法を指導しましょう、跡継ぎに引き継いではいますが優秀な使徒もおります、本当ならば私が使徒を率いてその世界を奪還して良いのですがそれは出しゃばり過ぎでしょう」
この場では上司が多すぎる、無茶も出来ない、そしてこのような事は弥生が適任だ、私が指導するより的確な戦略や戦術を授けてくれる、今後のために私も共に学習しよう
「感謝します、すぐにここに呼び出して学ばせましょう、よろしくお願いします」
先方も乗り気だ、上手く行った後は弥生が何とかしてくれるだろう
「宜しくお願い致します、貴女の事は此方の世界の先代の女神様より聞いております」
一仕事終えて私の管理下に置かれた世界を堪能しようとしていた所に面倒な案件が持ち込まれた、出来ない仕事では無い、むしろ私好みの案件だ出来るなら私自身で乗り込んで画を描きたいをところだ
だが今回は現地から落ち延びた神の手伝いだ、神としての経験は彼の方が長くどちらかと言えば穏やかで理知的なタイプに見える、今後のこの世界であれば着実に安定した平和を構築して行けただろう、私のやり方を容認できないだろう
そこで悪い事を思いついた、この世界は一時的に先代に任せておけばいい、カーリアもいるしもう一柱の神も居るのだ現世は降臨した際に平和となる方向性を示して来た
私が千秋を連れていけばある程度の勢力を築く事が出来る序盤で躓くと面倒だ、相手はダフネだがこの機会にそれ以外の魔王の配下だった者達を削ってやれば晴れて魔王として権力を掌握できるだろう、同床異夢だが一時的に共闘出来るだろう、その間に本来の神を復権させれば良い
そこで経験を積ませて戦況を五分に持ち込めば第一段階はは終わりだ、魔王を討伐するのは彼の仕事だ、そこからは自己責任だろう、その頃には双方に介入する窓口が出来ているだろう、争いを拮抗させて厭戦気分を醸成させれば大きな戦いは減り小競り合いだけになるだろう
これは何処まで行っても机上の話しだが上手いけばその世界からこちらに手出し出来なくさせる事が可能だ、現時点ではその恐れは無いが将来的にダフネが魔王として全てを握れば面倒な相手だその時にはイライザや香織が現役を退いているだろう
悪い意味で平和に慣れてしまっているかもしれない、カトレアもといイドニアも本質は穏やかな平和主義者だ、そんな時に常に戦いで磨かれたダークエルフの魔王は相性の悪い相手だ、利己的であり不義理な行動ではあるが非安定化工作は有効な手段だ
先ずは、あちらの世界で魔王たちの勢力の動きと配置そして神側の戦力と成り得る者達の調査が先決だ、下手に動けば反抗の芽を摘み最後の希望すら失わせる事になるだろう、今は別の世界での争いに注意が向いている筈だ、そうなるようにこの世界を訪れた天使を香織が肩入れしてもいた、まだもう少し時間の余裕ははある
戦略シミュレーションゲーム高難易度のシナリオに相当する、担当する国家すら存続しているか怪しいが盤面を私のスキルで再現していく、そんな中にダウンロードコンテンツと言って良い様な勢力を発見した、戦力は維持しているが世界から隔絶されている
いや人間たちを見捨てて自らの森を封印に近い結界で閉ざしたエルフ達だハイエルフの高位者がその結界を構築したのだろう、この世界を救うために、いや綺麗事を言う気は無い、何とか必死に自分の安全を守り抜いたエルフを穴倉から地獄の戦いに引きずり出してやろう
その代わり勝利と栄光を提供するその過程で悲劇も起こるだろうが最終的にはそれを上書きして見せる、自らが勝利と栄光を獲得したと、今後もそれを自らの力で守り抜くと言う決意に悲劇の被害者は崇高な殉教者に変わる、私や千秋は表に出てはいけないが適役がいる、彼女の協力を得る事が最初の大きなハードルだエルフの事はエルフに託すに限る




