181.人質
予想以上に早く魔王討伐が達成された、それにも関わらず千秋の機嫌が良くない私の関知しない所で問題が有っあのだろうか?弥生様との勝負で何かルール違反をしてしまい千秋の負けになったのかも知れない、あるいは早過ぎて潜在的な敵がつり出せなかった事が不満なのだろうか?
一応ユリアンに問題が起きては居ないかと確認したが「問題は報告されてはいない」という少し怪しい言い回しの返事が返って来た、審問官で対処出来たが表沙汰にしたくない何かが有るのだろう、専門家に任せておけという事だろうが少し気に入らない
無理矢理聞き出す事にしたところ、渋々教えてくれた、カオリ殿がゴブリンの大群を保護したと言うのだ、現在畑を造らせて様子を見ているそうだ、繁殖は極力抑えてじっくりと数を減らして行く方向で管理するという事だ
「手っ取り早く駆除すれば良い物を」
とユリアンが吐き捨てる
いつもは過激と思うユリアンの言葉に今回は賛同しか無いが、彼女達の魔王軍の扱いを任せた以上口出しも出来ない、今は様子を見るしかないこれで千秋の不機嫌の理由も分かった、目的の一部が未達となってしまったのだろう、当初は魔王に合流させて共に滅ぼす予定だったのだろう
と言っても、管理さえ上手く行くなら許容範囲だ今まで魔王軍との和平に不満を燻らせていた厳格過ぎる司祭やその考えを支持する貴族や神官達も溜飲が下がり満足している、私が最高司祭を継いだ後にこれが起こった事で私が裏で暗躍したと勘違いする者もいる始末だ
手拍子で喜んではいけないが運営がやりやすい事は確かだ、逆に「真の融和が世界を平和にする」と言った反対方向に頭の痛い主張をする者達が私を批判しだした、謀略を駆使する邪悪な者に最高司祭は相応しくないと手の平返しをされている、困ったモノだ
「そんなところは私の真似をすべきではないよセーラ」
と今の状況を千秋が揶揄う
どの口が言うのか?千秋の真似などしていたら本当に最高司祭に相応しくない謀略家に成り果ててしまうだろう、その役目は私の領分ではないユリアンの仕事だ、審問官に任せておこう余計な事に首を突っ込むべきでは無い
さて弥生様の策略で私は早くも有望な後継者候補を得たが当初懸念を唱えていたユリアンと上手くやっいている様だ、逆に私が目的のために手段を選ばない冷たさに恐怖を感じている、いずれ力を持ち過ぎているとイライザとカオリを敵視する者が現われえる恐れがあると言い出している
その疑念を払拭するために娘を人質を兼ねて本神殿で預かろうと言うのだ、2歳の赤ん坊を母親から取り上げると言うのか?その懸念は別の懸念に塗り潰された、その2歳の赤ん坊が親を越える理知的な思考を持っていた、この子は何者なのだろう?
誰かの生まれ代わりなのだろう、そう思えば理解出来なくもないがあまりに強力なスキルを保持している、イライザ様が信頼できる護衛役と言う2人の男女も考えられない力を有している、それゆえに将来が楽しみでもある当然の様に親の力を引き継いでいるしこちらからも護衛と教育役を派遣している、まだ評価や適性は定まっていないが「法王国」とって頼もしい存在に育って貰いたい
つまらない、聖都に引っ越して来たがその陰で好き勝手な事を出来なくなった、発端はいつも通りに水の精霊魔法を使って散歩していた時に、魔物が侵入したと誤認され問題が起きた事だ、私は重要人物扱いで警護も増えている、厳選された人員のため邪な者は居ない、そのため家族に取り込む隙が無いのだ
常識的に考えれば素晴らしい事だ、今の私の考えは当たり屋かクレーマーのそれだ、そういう意味でも私のスキルは受動型だ此方から手を出す事は難しい、それこそ魔法で挑発して殺意を抱かせば良いのだがそんな真似は出来ない私にも倫理観はある
大人しくカチュアから歴史や勉強を習って時間が過ぎていく、そして落ち着いた時に家族を増やす機会が次々とやって来たその機会をもたらしてくれたのはジルケと名乗る冒険者だ、次代の最高司祭候補として名を上げたイドニア様の有人で強固な自我を持っていた彼女は私のスキルの支配を拒絶して見せた
私に対して大きな好奇心を持っていた事が影響したのかも知れない、危害を加える気が無かったからかもしれない
「素晴らしいスキルだわ、イドニアにいって罪人の更生に協力して頂きましょう」
そして私は多くの咎人を更生して家族に迎えた
別に死罪に処されるようなじょゆ罪人では無いため本人の自我は残す事にした、そのおかげでスキルの効果を調節する事が出来る様になった
「凄いわね私の身体はある意味人形だから貴方のスキルの効果が届かないみたいね、魂と意思は別の場所にに有るの」
彼女は自分の手札を開示してくれた
成程ゴーレムなども私のスキルで対処不能だ、彼女が私にそれを教えたのは師の指示だとも聞かされた、今は使徒であり、女神を継いでこの世界を管理すると言う、次の女神は将来私に神官にそして経験を積み最終的には最高司祭になって欲しいと言うのだ
敬意を払うべき相手ではあるが信仰では無いからだろう、私は神聖魔法を使用出来ないと確信がある、将来もそうだろう、恐らく私は意思を持つスキルを含めて上下の関係を構築出来ないのだ、役割だけを意識している其々が自分の成すべきことを成すのだ、そこに神が立ち入る場所はない
神聖魔法が使えなければ神官になったところで出世は難しいだろう、親の七光りで地位に付きたくは無い、カチュアには申し訳無いと思うがそれ以外の他人の勝手な期待に応える必要性も感じない、それでも一部の者達の杞憂を押さえるために私はここに居る意味がある、多少時間はかかるだろうが家族を増やしていけば解決する筈だ
兄は魔王城に居るようだが居心地はどうなのだろう?兄にこちらに来て貰えば良いのでは無いだろうか、兄は神聖魔法の適応が有った頭も悪くは無い筈だ、もう少し様子を見て今後の事を考えよう、カチュアから習ったが歴代の最高司祭には男性も普通にいるむしろ女性が続く方が珍しいのだ




