173.都市伝説
「馬鹿な、何故聖都が無事なのだ?」
その言葉に応えるの者は居ない
決起を呼び掛けたがまだ呼応する者はいない、演説が途中で妨げられてはいたが十分派手なデモンストレーションをした筈だ、映像が途絶えたおかげで戦果が無い事は知られずに済んでもいる、それにまだまだアンデットが手元にある
次は深夜に直接街の中にアンデットを送り込もう倒した人間をアンデットにする能力を持つモノを警戒される前に投入すべきだった、聖都に警戒を集中させて人口が多く戦力の乏しい地方の都市を同時に狙おう、夜には魔力も回復していいる、その頃には演説をきいてはせ参じる者もいるだろう、焦る事は無い警護に強力なアンデットを集めて魔力の回復に専念しよう
姉御に盾突く馬鹿が現われた様だ、最初は気に食わず力で屈服させられた忌々しい奴だったが勇者らしくなく自由にやられてくれている、食料に困る事も無くなったし、番に巡り合い可愛い娘達も生まれた、たまには手柄の一つも立てておこう
「ハヤタロウ、俺たちで姉御の敵を倒しに行かねぇか?」
声をかければやる気の様だ
城の中はある程度把握している、丁度いい事に今夜は満月だ人狼の力が増幅する、魔王気取りの馬鹿も次の手を打つ頃合いだろう、魔力を使った後を狙う、昨日も戦力を魔法で送り出していた、アンデットは足が遅い通常の進軍ならどうしても足の遅い奴に新に足並みを合わせる事になる
出来る事は戦力の集中か逆に戦果の望める場所を厳選して最適な数を分散して送り込み対応を遅らせる程度だろう、守備に回った所で先は無い、手柄を他の奴に奪われたくは無い、2人で魔王城に潜入した、思い通りに事が運んで夜半に転送魔法を駆使してアンデットを送り出しているので作業の終わりを待つ
最高のタイミングで襲い掛かったが予想外の反撃を受けた、攻撃魔法でもなく護衛の召喚でもなく俺たち2人が、魔法で転移させられていた、幸いな事に転移先は空気もあったし火山の火口などの危険な場所でも無くハヤタロウと同じ場所だった
(スーザンその姿は目立つ獣化してくれ)
ハヤタロウが念話で伝えて来た
(しくったぜ、こんな臆病な手で追い払われるとは思わなかった、これじゃ他の奴に手柄を立てさせるための露払いじゃねぇか!)
念話を返しながら狼の姿に変わる
(たくっ、ここは何処なんだ下町の路地裏みてぇな場所だ、それに魔力が感じられない)
(香織さまの故郷だ、このままでは自力で帰れない、俺に名付けしてくれた主人がこの世界にいるそこを目指そう)
(あ~あ、詰まんねぇな、仕方ない折角この世界に来たんだついでに美味い物でも探してみるか)
「ハヤタロウ、いろんな生き物が晒し者になっている場所はなんだ、腹が減って来たし寄って行こうぜ」
精霊魔法で姿を隠して空を飛ぶハヤタロウ背中で声をかける
「あれは動物園だ、スーザンの言う通り見世物小屋みたいな施設だ、この世界の肉は魔力が籠っていない、対して美味くは無い主人のところまで待てば良かろう」
提案は却下された
暫く空を駆ける、眼下に魔力に寄らない多くの明かりが灯っておりが逆に空に輝くはずの星が目立たないただ月だけがぼんやりと光を照らしていた
研究室でレポートを纏めていると強い魔力を持った2つの存在が近付いて来るのに気付いた、この世界では感じれれない異常な事だが一つの魔力に覚えが有った、研究棟を出て屋上に駆け上がる鍵など私の前では無いに等しい2本のヘアピンで解錠して屋上に出た、すぐに早太郎が屋上に到着した、背中に大きな雌の狼を乗せている
「あら早太郎じゃない、どうしてここに居るの?」
「魔法でこの世界に転移させれれてしまった、もとに世界に帰るために力を貸して欲しい」
久しぶりの再会だが、タクシー扱いか不満が口に出そうになるが我慢する
「急ぎなの?カミラ様に連絡して迎えに来て貰うしか方法が無いからしばらく待つことになるわ」
心を静めて事実を告げる
「なら何が食べ物が欲しい、動物園でお預けを喰いらったんだ、そろそろ限界なんだ」
原太郎に背中に乗ったまま狼が喋り出した
アイテムボックスに何かあっただろうか?そう言えば教授ゼミ生達と研修を兼ねた旅行で北海道に行った時の人肉の味を覚えたヒグマを返り討ちにして保管している、毛皮はそのままだが血抜きは終わっているしそんなに汚れないだろう、ビニールシートを拡げ出してやった
「良いのも持っているじゃねぇか!流石ハヤタロウの名付け親だ、毛皮を剥ぐから少しまってくれよ」
後半のセリフは早太郎に言っている様だ
「この世界の熊は小型だな、これは子熊なのか?」
結構大きなものだが、あちらの熊はモンスターだ、比べるべくもない別に答えを期待していないひとりごとのようだ、問題は獣人化した事だ慌てて姿隠しの魔法を使う、変身の影響で先に使われていた魔法の効果が切れた様だ
「噛み応えからすると大人みたいだな、これで肉に魔力が籠っていれば完璧なんだが残念だ」
早太郎のために肉を切り分け直ぐに食べだした
早太郎も一緒に食べている、番の様だが、どの様な縁で人狼と結ばれたのだろうか?こちらの世界で秋田犬同士で結ばれたフェンリルと比べてしまう
「美味かった、魔力さえあればここで暮らしても良いんだが新鮮なオークが一番だな、迎えが来るまでお預けか」
良かった居付かれると困る
餌の準備だけでも結構な負担だ、もっとも自力で狩りをされてたらそれこそ大事だ、カミラ様が対応してくれるまで2匹を世話するだけでも大変だろう
このまま屋上で待ったところで夜が明けて騒ぎになるだけだ、2匹を連れて屋上への扉を施錠して研究室に戻り片付けて大学を出た、今は大学に通うため都内で1人暮らしだがペット不可だギリギリ大型犬と言えるかも怪しい2匹を連れてはいけない、香織の作品を受け取るために確保している倉庫に向かった
「ドクター、どうして此処に?例の日では無い筈ですが?」
私が私兵として囲っている傭兵上がりのキースが出迎えた
十分に部屋を借りる事が出来る報酬を払っているがこの倉庫が居心地が良いようでここで寝起きしている
「成程、面倒な手合いと事を構える準備ですね」
と私が連れて来た2頭を見て誤解した様だ
「この子たちは力が強すぎるのよ、向こうの世界でも通用するから引き取って貰うつもり、明日中にはお迎えが来るからそれまで仲良くしてちょうだい、吠えたり噛んだりしないから大丈夫よ」
最近引き抜いた弁護士の一香と同じく私の正体を知っている腹心だ任せて大丈夫だろう
「それじゃ、食材は手配するからカミラ様が迎えに来るまでここで大人しくしていてね、スーザンも外に出ないならリラックスしても大丈夫よ」
「へぇ~、大したもんだ、俺の正体を見ても平気なんだ」
すぐに人狼の姿に変身して、いやこちらが基本の姿なのだろう元の姿に戻りキースに威嚇しながらもキースの反応に感心している様だ
「ドクター、噛みつかないのは本当でしょうね?」
キースが私に聞いて来る
「大丈夫よ朝一で肉を届けさせるから問題無いわ」
キースに任せてマンションに帰る事にした、早太郎が居るから馬鹿な事はさせないだろう
後でキースから2頭が海に出て狩りをしたと聞かされ不安になり調査した、狼の姿に化ける常識はあった様だが目撃されてSNSに動画が投稿されていた、目撃者が1人だけであり「日本狼は生きていた」等と馬鹿な投稿だったためにAI動画だろうと思われていたので放置した
一部で注目されはされた様だが時間が解決するだろう、精々都市伝説止まりだ、うさん臭さが増して助かったくらいだ




