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167.自縄自縛

私の神域に別の世界の女神が訪れた


「この度は我が世界を支援いただいた事感謝致します」

丁寧に感謝の意を伝えられた


だが私に「支援」した心当たりなど無い


「別の2つの世界の神々も感謝している事でしょう」

ポーカーフェイスでやり過ごし謝礼の品は自分の世界のためにこそ活用する様に伝えて、お茶を出して少しの間言葉を交わして引き取って貰った


曰く、貴女の勇者に助けられた、素晴らしい武具を送られた、強敵を倒して頂いた、全てが心当たりの無い事だった、使徒の降臨の準備はしているところだが殆ど弥生が進めてくれている、引き継ぎの採集段階をい終え私がしゃしゃり出る事も無い状態だ


「弥生、別の世界に干渉して何か神の力を行使した事はないかな?」

先程の客が感謝する相手を間違えているといけない


弥生は不思議そうな顔で世界の状況を調べ始めた、千秋やカーリアも心当たりが無さそうだ


「私達の世界に別の世界の魔王が進行して撃退した様です、被害が皆無に等しいため今まで気付くことが出来ませんでした」

そう答えながら弥生が何かを隠している様子が見て取れた


世界を調べる迄はそんな気配は微塵も感じなかったのに、問い詰めるべきなのだろうか、そこまで深刻そうにも感じない、例えばゴミを出し忘れた程度の事に感じる、自分で解決して帳尻を合わせてくれるだろう


「今回の降臨でついでに後始末をしておきましょう、少しバランス調整すれば済む程度の誤差です」


「女神様を訪ねてこられた別世界の女神と、撃退した魔王が敵対していいたのだと推測できます、その際に何か香織やイライザが支援を実施したのだと思います」

成程有りそうな話だ


香織はお人好しだし、イライザはあれだ聖女と言うにはあまりに戦闘狂だ


「オークが兵馬俑の様に石化して並べてある、保存食らしいぞ」

千秋が関心しながらも笑っている


「石化を解けば新鮮なオーク肉が手に入る訳だ、私には出来なかった画期的な保存法だ、私のアイテムボックスでもあの量は無理だね」

千秋もご機嫌そうで何よりだ


「戦力的には前回と殆ど変化は無いようですね、魔王は結構な戦力が投入した様です、神殿の周辺でも相当な数のアンデットを浄化した痕跡が有りますね、これを無傷で撃退したのですか?」

カーリアが驚いている


「上手く相性のいい者達で対処したのだろうね、スーザンだったかな、香織の支配している人狼がいつもに増して楽しそうにしている、毎日新鮮な肉が食えて幸せそうだ」

千秋も似た様な事をハイエルフの森の近くでやっていた、楽しかった宴を思い出しているのだろう





晴天の霹靂だ、千秋と約束していた勝負が流れてしまう所だった、そしてこれを切っ掛けにして自分が蒔いていたいた種を思い出した、使徒に昇る際に「平行思考」のスキルを使って残して来た自分の分身だ、迷宮の奥で表に出せないスキルを温存するための処置でもある


今までの引き継ぎの中でこちらに持ち込んだ所で女神様は容認してくれただろうと思いうがそれは事前にわかる事では無かった、主人格で本体が使徒となり分身にも恩恵が行き渡っている様だ、用心のため記憶は封印していたが記憶が蘇るための条件を満たしたのだろう


我ながら酷い歓迎をしていた、魔王の軍勢を分断して不要なモノを殲滅し素材として利用した、取引して帰還させるダークエルフに魔王の力を与え、戻った後に権力争いが起こるように細工もしている、アンジュが魔王もいた世界に扉を開いて楽しいでいた、自分も迷宮も活用して世界の間を渡る術を手に入れた


今後も介入できるだろうが、それは私が女神になるまでの間で、後はアンジュを従える香織の仕事だ実際魔王と敵対している世界の天使に肩入れして支援をしていいた、イライザが力試しと割譲させた世界を制圧するために大暴れしていた、その世界を司る神は恐れすら抱いていた


サキュバスに良いようにされた勇者しか召喚出来ず、ほぼ制圧されている程度の神ではそうなるだろう、香織やクロエが鍛え直して送り返したが脇役として手伝っていただけ、香織が無駄に優しいために降伏した魔王の配下を送り返して反感を買いもしたが実力で黙らせていた


「私達が倒した奴らをアンデットにして蘇らしても良いのよ」

この脅しはただの脅しで終わらなった


手伝いに言っていたアンジュが実際にアンデットととして復活させたのだ香織の前に跪くアンデットを見せ付け


「恩知らずには教育が必用でち、魔王の残党と遊びたいのであれば代わりにあたちが相手をしてあげるでち」

と暴走を始めた


「アンジュ、止めなさい、復讐のために無用な暴力を使う事は子のアンデットと変わらないと彼らも理解出来るでしょうから、そうでっすよね、身をもって体験したいなら止めはしませんが如何なさいますか?」

納得できないが目の前のアンデットに対して手出しも出来ない彼らを救ったのは天使の吹いた笛の音だった、復讐心に駆られていた軍勢も冷静さを取り戻していた


「残念でち、上手く行けばカオリママが人間に絶望して一歩踏み出す切っ掛けになったかも知れないのに、此方の世界では人間は追い詰めれれてはいないので醜い本性を現さないのでち」

アンジュが人の一面での真実を暴いて見せた


それを聞いて天使の表情が凍り付く、その可能性を実感する出来事を見て来ているのだろう、香織の性格も、人の集団としての残酷さも、もう少しでそれが現実としてこの場で証明される寸前だったことも


香織にはある意味で人の心が無い神聖魔法や精霊魔法を高いレベルで行使してきたため自我を消す事が出来、逆に感情を沸騰させて精霊と共に力を顕現させる、当然その激情を瞬時に凍り付かせることも出来る、出来てしまうからそれが出来ない多くの者達が人でなしと感じる絶対零度の決断も当たりまえに下してしまう


その決断が自らが魔王になると言う手段を選択しかねない天使が危惧しアンジュが期待している事だ


「皆さん、未だにこの世界で人々を襲う魔物が残っているのです、倒すべき敵はまだ残っています、時間を無駄には出来ません」

天使は人々に新たな敵を示し再び沸き上がるだろう怒りの矛先を誘導する事で破滅を回避して見せた


香織がそれを悲し気に見ていたがアンジュはそれを見て冷たく笑っていた


「カオリ様、醜態を晒してしました、後は私だけで大丈夫です、支援に感謝いたします」


「これから見せられない光景が繰り広げるのでち、賢い選択なのでち、その賢さのためにお前は導いた人間に後ろから刺されるのでち」


「それが嫌ならその笛を置いて共に狂乱の中で剣を振るうのでち、その笛ともに足掻くならカオリママはお前だけは助けてくれるでち、その時はお前が人間を見限った時でち」

天使に答えたのはアンジュの不吉な予言だった


「貴女は何なんです?私は人を信じます」


「嘘でち、救うべき同胞より、倒すべき敵で人間を扇動した事がその証拠なのでち」


「貴女は魔王です、いえ悪魔です私達は負けはしません」

天使は負け惜しみの強がりでそう返すのがげんかいだった


「心優しき天使よ、怒りや恨みは伝染します、悪性の病気の様に、本当は立ち止まり完治してから再び歩むべきでしょう、状況がそれを許さないのは理解します、貴女が切り捨てないモノが貴女を苦しめているのです、偶々私はそれを取りこぼさないで済みましが貴女は違います」

香織が天使を慰める


「敬意を持っ送り出しましょう、貴女には苦渋の決断が待っています、本当の悪魔が貴女を惑わすでしょう、勝利をお祈りします、何より貴女自身に勝利して下さい」

香織が最後に天使に激励の言葉をかけた


悪魔が魔人の少女に化けて天使や人々の心を揺さぶった時に天使が人々の悪意を消すために笛を吹いた、そこで人知れず奇跡が起きていた、悪魔の悪意をも笛の音が消していたのだ、優れた擬態の魔法が、天使すら欺いたその魔法が悪魔の自我まで騙し縛ってしまっていた


この後この悪魔は命を救われ天使の元で成長して天使達に恩返しをしていく事になる、まさしく悪魔の甘言の様に人々を導いた、慈愛と寛容の象徴として人々の思いが更に悪魔を縛る事になる、役目を果し天使が神の元に帰る時に笛はその悪魔だった成長後の魔人に引き継がれた、その姿は育てくれた天使の姿を映した様な姿になっていた

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