163.誤解
一足先に迷宮を介して自分達の本拠地に戻り新たな魔王となったシグネ様を迎える準備を始めていると留守を預かる竜王様が残る10将を召集した、現在向こうの世界にいる事になっている魔王様とシグネ様とオークの王と師匠は侵攻中であるということになっている
魔王の留守をねらって新たな勇者が召喚された様なのだ魔女が率いていた魔同師団が10将の将である魔女を含めて壊滅した様だ今回の勇者は魔法に対する絶対的な何かを持っていると考えられる、恐らくだがゴーレムや魔法生物に対しても有効な手段を保有していると考えられた
実に有効的な反抗の最初の一撃だ、此方から魔王様を呼び戻す手段が無くなった事になる、師と私の迷宮を活用した抜け道は魔王様にも秘密にしていたため勇者達もその存在を知らない筈だがもの世界の神が噛んでいるのならば知られている可能性がある
同時に狙われなかった理由が戦力不足なら次に狙われるのは私達だろう、知られている訳は無いと安心する訳にはいかない、階層を入れ替えアンジュ殿が作成してくれたドラゴンのアンデットを含めて主力を地上に近い地下5階に配置して備える事にした、こんな時にも師は新しいアンデットの研究に夢中だ
創造では無い研究だ、この状況では戦力は増加しないだけではなく無駄に魔力を消費する行為だがこの世界にいない事になっている、下手に迷宮の外に出ることも出来ないため間違っていると決めつける訳にもいかない、勇者の狙いがこの迷宮と言うのは私の心配し過ぎかも知れないのだ
そんな中迷宮に侵入者が訪れた、急いで魔法報告し竜王様に支援を求める
「聞いている話と違うじゃないか、何故こんな強力なアンデットが残っていいるのだ」
「そんな、神の奇跡が通用しないなんて」
「一度引くべきです、あちらでリッチも討伐されていればばこの迷宮を気にすることも無いでしょう」
迷宮内を監視していると戦闘が開始されていた、そんな会話をドラゴンのアンデットがブレスでかき消したが勇者らしき男の持つ盾に吸い込まれた、成程あれが魔術などを防いでいる様だ魔法使い達には厳しい相手だっただろう
その後は迷宮の壁を尻尾で弾き飛ばして物理的な攻撃に切り替えて勇者を圧倒しているがそのために私の魔力が迷宮の補修のために吸いあげられる、ある程度知性が残っているがそこまで考慮はしてくれない、侵入者の排除が優先されるため正しい選択と言えるが私の魔力は持つだろうか
「お前の魔法で何とか出来ないのか?」
「無理です私の破壊魔法はアンデットには有効ではないのです、障壁を張るから一度迷宮の外まで引きましょう」
よかった引いてくれるみたいだ一息つける、いまの内に魔力回復薬を用意しないとと思った所で階段を昇る勇者達の動きが止まった、聖女らしい女が石化していく、よく見れば聖女の首に蜂が止まっている
「メリッサさん侵入者は逃がしちゃ駄目なのでち、後はあたちに任せるでち」
いつの間にかアンジュ殿が私の横にいた
まだこの迷宮の管理権限を上位で握られていた様だ、迷宮内の情報が筒抜けなのは面白く無いが今は頼もしくもある
階段の上から別のブレスが吹きかけられた勇者が盾を構えるがブレスに反応しない
「あれは、魔法で産みだされたモノでは無いのでち、あたちの可愛いヨルムンガンドの毒腺で精製された生物由来の毒液なのでち」
残っていたのは4体の石像だった
「あれを貰って帰っても良いでち」
「ええどうぞ」
余りの事に断れなかった
四人の内1人分は譲って貰えたかもしれないが構わないだろう、師匠が知れば残念がるかも知れないが構わないだろう
勇者の次の動きが分かった、魔王様と分断した後は此方の手薄な場所を選んで襲撃した様だ、勇者は経験を積んで成長すると厄介だ早く潰すに限る、獣人の王と、バンパイヤの王に声をかけたがそれぞれの領地も襲撃が有る様だ
何処にそれだけの戦力が隠れていたのか落とした世界の神共が結託でもしたのだろうか?あり得なくは無いがよくこの世界に戦力を集中出来たものだ、余計に早く仕留めなけらばいけない事態だ
迷宮に向かったがドラゴンの姿では中に入れない、仕方なく人化して中に入り下の階層に進むと大蛇の尻尾が見えた、勇者の従魔だろう、アンデット以外はリッチの弟子が1人留守番をしているだけの筈だ、ブレスをお見舞いしたが尻尾が焦げただけだった、思ったより強力な従魔だこれなら飼い主も私を楽しませてくれるだろう
迷宮の奥に逃げる大蛇をゆっくりと追うと少女がポーションで大蛇の傷を癒していた
「一人だけか、今なら降伏すれば命は助けてやるぞ」
「一足遅かったでち、仲間は石にして回収したでち、お前も素材になるのでち」
そう言うと、先ほどの礼とでも言いたいのか大蛇にブレスを返された
毒のブレスで強力な毒だったが私の耐性を超えはしなかった、しかし仲間とは何のことだろうか、襲撃した筈の勇者も居ない、この少女が勇者を撃退したのだろうか確かにあの従魔が居れば可能だろうが何者だろうか?
「これに耐えるられるのは凄いでち、あたちの最新作で歓迎するでち」
そう言うと迷宮の床が崩落して広間につながった
広間の中央にドラゴンのゾンビが身構えている、私に対して怨念を感じる、そこで思い出した前回の侵攻で私が倒したその世界のドラゴンの王の骨をリッチが回収していたそれを素材にしたのだろう、ならばこの少女もリッチの弟子なのだろうか?いやそれは無かろう、力量を見るにそうは思えないし「あたちの最新作」と言っていた
「おかしいでち、何故因縁が有るのでち?」
少女が首をかしげている
「もしかしてさっきの四人組は仲間ではないのでち?」
もこうも気が付いた様だ
私も同じようなものだ、勇者の仲間では無いとは分かるが味方か否かまだ分からない
「アンジュ殿、此方の方は竜王様です、私が勇者を倒して頂くために支援を願い出たのです」
「竜王様申し訳ありませんでした、態々迷宮迄来ていただいた所を無礼な事をしてしまいました」
「そうなのでち?余計な事をしてしまったでち、折角だから石化を解くから遊んでいけば良いでち、素材は諦めるので好きにしたら良いでち」
そう言うと4体の石像を取り出して見せた、空間魔法には見えない、スキルだろうか?
「それには及ばん、他にも片付けねばならない輩がいる様だ、ゴキブリの様に勇者が湧いている様でな」
「それは楽しみでち、ここなら人間の素材が手に入るでち」
リッチが前回の侵攻時に新たに勧誘した者だろうか?
「ここは任せて良い様だな後は自分達で対処できるだろう、それは好きにすればいい」
どうやら迷宮を乗っ取られている様だ、リッチの弟子の娘が敬語を使っている正直リッチは大した力を持っては居なかった、有りそうな話しだが魔王様はご存じなのだろうか?今は確認出来ないしリッチが報告していないだけかもしれん、弟子に迷宮を奪われた等とは言えないだろう
まずはゴキブリを駆除する事に集中しよう、あんな少女に手柄で負ける訳にはいかん、このままでは魔王様に報告できん、リッチの事を笑えなくなってしまうではないか




