162.酒席
「アンジュ様、グッジョブです」
如月があたちを賞賛する言葉をかけて来た
「これで師匠に春が訪れるますよ、師匠に釣り合う同族は滅多にいません、私達が師匠に恩返しするチャンスじゃないですか」
如月が興奮して言葉を続ける
「大丈夫でちか?あとで怒られてはたまらないのでち」
不安になって弱気が漏れる
「見て下さいダフネ様の顔を、頬を赤らめて師匠に近付いています、もうすぐ告白ですよ、それにしても女にそんな事をさせるなんて、師匠も甲斐性が無さすぎです、この世界に女として転生したせいとはいえ見ていて情けなくなりますよね、アンジュ様」
如月が同意を求めるがいまいち分からない
以前審問官の2人をくっつけたがあの時は媚薬を使っていた、動物の繁殖は良く解からない、しかもダークエルフも人間も繁殖期は無いので余計に分からない
「ダークエルフや人の繁殖行動は良く解からないのでち、やっぱり媚薬で満たしていた方が確実で良かったのではないでち?」
如月の言葉に同意せず疑問を投げかけた
「アンジュ様は純粋なアルラウネだから分らないようですね、私は前世が人間だった記憶が有るから女心が分かるのです」
「しかし何ですか師匠の頭の固さは、何が「ダフネ殿が魔王として世界を手に入れる前にそのような事は出来ない」ですか、女性に恥をかかせて、なんてことをするのです」
「だから媚薬を使っていればよかったのでち」
「良いですね「ダフネ殿が世界を手に入れて尚某を求めるのであれば真剣に考えよう」ですって、ダフネ様のやる気を引き出していますよ、先が楽しみですね」
あたちの言葉を無視して一人で盛り上がっている
「体よく時間稼ぎしているだけじゃないのでち?師匠はきっと昔仕えていた魔王の事が忘れれれないのでち」
「アンジュ様、それは本当ですか?根拠は有るのですか?」
今度はあたちの言葉に喰い付いて来た、嚙みついて来たのかも知れない
「如月も師匠がスキルでその魔王の姿に変わるのを見ていた筈でち、あの再現度はきっと特別な関係だった証拠でち」
「それだと女同士という事じゃないですか?じゃあ、あのサキュバスの方が師匠にとって相応しいとでも言うのですか?私は嫌ですよあんな男を道具としか見ない魔女は」
如月が悪い意味で興奮しだした、話が飛躍している
「そんな事は言ってないでち、落ち着いて欲しいでち、そろそろあのゴーレムを止めないと駄目でち」
慌てて如月を宥めて話を変えた
これ以上師匠を待たせる訳にはいかない、一定の成果は得ているだろう
「ある程度成功したのだから、とりあえずここで満足しても良いと思うでち、後は2人を見守れば良いのでち」
「そうですね、アンジュ様は落ち着ける場所を用意してください、食事を用意して2人きりにしましょう、あとお酒も出さないと」
如月はまだやる気の様だ、後は任せよう
「如月これは食えるのか?」
私の出した食事に対しての師匠からの言葉がこれだった
私が提供したのは飯ずしだ、師匠は初めての様だ有名な戦国武将が家臣にキレた鮒ずしに近い物で差は使う魚が鮒では無く鮭だという事だ、酒の肴に用意したがどうやら腐っていると疑われてしまった、とりあえず自分で食べて見せた、里帰りの際に持ち帰った故郷の土産だが初見では難易度が高かったみたいだ
「これは何ですか?チーズの様な匂いがしますが?」
ダフネ様が聞く
「香り」では無く「匂い」と言うあたり彼女も食べるのに抵抗が有る様だ、他の料理は問題無く箸を付けている、勿論箸を使用はしてはいないフォークを使用しているのだが
「この酒も初めての香りですが美味しい物でしたしそれも試してみましょう」
日本酒は好評だ、その証拠に「香り」と言っている
「面白い味わいですね、この酒に合います」
取り合えず最低限の合格は頂けた様だ
「如月すまなかった、某の口には合わない様だ下げてくれ」
ツクモ様は箸を付けはしたが一口だけだ
「それならば私が貰いましょう」
「まだありますがお持ちしましょうか?」
「その皿の分で足りますのでお構いなく」
成程そういう事か、ツクモ様が箸を付けた食べかけの飯ずしが良いのだろう
「如月、新しい物を出してくれ、某の食いかけをダフネ殿に食べさせる様な非礼を働く訳にはいかぬ」
何てことを言うのだこの朴念仁は
「折角の料理をを無下にする事こそ非礼ですよ、ツクモ様のキサラギさんへの非礼は私がそれを食する事で拭うのです、私からの今日の指導のお礼と考えて下さい」
強引で無理のある理屈だがツクモ様はその申し出受け入れてくれた
「私の不手際でした申し訳ありません、隣で控えておりますので何か有りましたら声をかけて下さい」
後は2人きりにしよう、ツクモ様が異性の気持ちが今一つ理解出来ないのは残念だが私が邪魔になってはいけない
「珍しい食事を有り難う御座います、酒の追加をお願いできますか、後は休んで頂いて大丈夫ですので」
ダフネ様も二人だけにして欲しい様だ
隣の部屋に私が控えていては出来ない事を狙っているのだろう、万が一にツクモ様に危害を加える様な事を狙っていたとしてもツクモ様が遅れを取るような事は無いだろう、それこそ返り討ちにしてそのまま頂いてしまえば良いのだ
多少非礼な妄想をしてながら引き上げたのだが後でツクモ様に呼ばれる事になった、駆けつけるとダフネ様が飲み過ぎて潰れている、自分の記憶の残っていない死に際を想像させる無様な姿だった、日本酒だけでなくワインなどを一緒に飲んだ為だろう
ツクモ様は私に任せて自分の部屋に引き上げられた、女性の身体に触れる事を遠慮したのだろう意気地なしが
介抱して酔い覚ましの薬を飲ませたが薬が効いてくるとダフネ様が私を押し倒そうとする、馬乗りになった所で薬の効果が完全にあらわれて正気に戻られた
「キサラギさん申し訳ありませんでした忘れて貰えると助かります」
ダフネ様が慌てて私に上から飛退いて謝罪された
「師匠を酔い潰しそこないましたか?私も期待していたのですが」
「私の倍は飲ませた筈なのですが酒の強さでも勝つことはできませんでした」
「純粋な飲み比べをしたのですか?目的を忘れてどうするのですか潰れた振りをして介抱させれば私は呼ばれなかったかもしれないのに」
「忘れて下さい」
二度目の忘れてくれといった顔は真っ赤だった酒は薬で抜けているのだからダフネ様が師匠を思っているのは確実だろう、強敵だが再挑戦を期待することにしよう
「忘れませんよ、次は私も手伝いますので声をかけて下さいね」
更にダフネ様の顔が赤くなって無言になった、先は長そうだアンジュ様の言う様に媚薬が必要かもしれない




