160.失恋
「師匠、手伝って欲しい事が有るでち、別の世界のダークエルフ達に師匠の知恵を技を伝授してほしいのでち」
自分の迷宮に戻り師匠に頼み込んだ
メリッサさんからあたちの知らなかった「迷宮管理」スキルの使い方を教えて貰い代わりにメリッサさんの知らない使い方を教えてお互いにとって有益な取引をしたお陰で何処からでも自分の迷宮に移動できる、異世界からでもゲートを開けるそうだ、異世界に自分の迷宮を造りある程度拡張すれば迷宮間の移動も可能となる様だ
「良かろう、儂の出来る事なら協力しようではないか」
師匠も快く承知してくれた
やる気も感じられる、ダフネさんも喜んでくれるだろう、クジラを呼び出して移動の準備をしているとアデルとクレールも同行すると言う、師匠を手伝ってくれるというので連れていく事にした、帰りはすぐだがダフネお姉さんが滞在している神殿は弥生様の迷宮で今の管理者は卯月のためスキルで移動は出来ない、機会をみて私の迷宮を近くに作ろう
「ダフネお姉さん、お待たせ下でち」
「ダフネ殿、お初にお目にかかる、儂はゲオルグという死にぞこないじゃが無駄に長く生きた代わりに悪知恵と小手先の技術を身に付けて来たそれが若者の役に立てれば嬉しい」
師匠が挨拶をした
何故だろう?なにかダフネお姉さんが変な顔をしている
ダフネ様が男に現を抜かしているのではと噂が拡がっていたため心配していたが誤解だった様だ、真剣にダークエルフの族長として種族のために動いて下さっていた
「ダフネ様、申し訳ありませんでした、最初にこの世界を偵察した際に、男に狂って魔王様を売ったと言う者が居たのです」
「正直半信半疑でしたが魔王になり世界を手に入れるためだったのですね、それならば正に機を見るに敏素晴らしい選択でしょう、ダフネ様のためにより一層尽くしていきます」
正直に自らの誤りを認め、忠誠を改めて誓った
「頼りにしていますよ、我々が先人から引き継げなかった知識や技を身に付けて貰う貴重な機会です、皆の成長を期待していおります」
ダフネ様は我々の抱いた疑念を責めることなく奮起を期待すると言葉をかけてくださった
中には老いぼれと侮る者や、共に訪れた2人の女に劣情を抱く愚か者もいたが直ぐに実力で過ちを思い知らされていた、あの年まで生き残った歴戦の老兵の技と彼の育てた2人の精鋭の強さが我々に刺激を与えてくれた、アンジュと言う化け物の様なアルラウネもゲオルグ殿から共に毒の調合に学んでいた
「スキル頼りではいつか痛い目にあうのでち、自分の純粋な技術で再現出来て初めて一人前なのでち」
この言葉にはスキル頼りで低下した戦闘技術の衰えに気付かされた、子供の頃にはスキルなど無くても木々の枝を跳ねて移動していたと言うのに、それは身体が大きくなり枝に引っかかるためだけではないスキルの補助が当たり前になっていたからだ
ダフネ様が我らの修行を見て苦々しい顔をされていた、疑念に惑わされ貴重な時間を無駄にしていた、少しでも取り戻そう、他の10将達の配下と戦う事も考えられるのだ、ダフネ様の世界を盤石にするために力を付けなくてはならない
危ない所だった、あの見た目も言葉遣いも幼いアルラウネは私の危機的状況に気付いていたのだろうか?私が自らの世界を掌握する事を支援するために仕事を全うしている、私は男に現を抜かして族長の役目を疎かにしていた恥ずべき愚行だ、今も真剣に力を磨こうとしている、私が導くべき同族を見て情けなくなる
準備が終われば新たな魔王として世界を手に入れなくてはいけない、同格だった10将を力で従わせなければならないのだ、彼らからは侵攻に失敗して逃げ帰ったとしか見られないだろう、私には侵攻前から予定されていた敗北だ、私は偶然の出会いにより運よく魔王を売って力を得ただけだ
魔王に忠誠を果たすのであればこの世界の危険性を進言しなければいけなかったのだ、裏切るのであれば冷徹な状況判断と、自らの野望が動機であるべきだ今更ではあるがそれが惚れた男のためであってはならない、自分の世界を完全に掌握し釣り合う女になって対等な立場で再び出会いたい
可笑しい話しだ、告白もしていないし、振られてもいない別の女に先を越されるのかも知れない、私の部下の修行に協力してくれている2人の娘を眺めながらそう思う、詳しい事までは聞いていないがツクモ様は若い身体を維持しているが400年以上生きているそうだ
スキルでかつて仕えたいた女魔王の姿に変身してアスタを子ども扱いして見せた、その女魔王とは男女の関係だったのだろうか?情けない事に部課の手前もあり聞き出せないでにいる、この様で何がダークエルフの族長か何が新たな魔王か?欲しいモノが有れば奪い取るのが魔王だろう
そうだ、欲しいモノが有れば奪い取るのだ、それでこそダークエルフの族長で魔王のあるべき姿だ、今は好きな男1人奪えない、力が足りないならやるべきことは一つだ性格は魔王に適してはいないが目指すべき強者がこの世界にいるのだ、甘く見られている今こそ絶好のチャンスだ乞えば師として鍛えたてくれるだろう
再びこの世界に来ることが有るかは分からない、ツクモ様を手に入れる事が機会が有るのかすら分からないが、次にこの男と惚れ込む男と巡り合った時に逃さない様に強くなって見せよう




