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159/185

159.準備

「ダフネ殿、貴女の力となる者達をお譲りしましょう」

弥生様から奇妙な贈り物を受け取った、瓶詰めされた血液と二鉢の少し大きな植木鉢だ


「私が打ち取った貴女が仕えていた魔王の血とマンドレイクです、貴女の血と混ぜて与えてやれば貴女を

慕うアルラウネに育つ事でしょう、多少手を焼かせることはあるでしょうが頼りになりますよ」

私にとってマンドレイクは魔術の触媒や薬の原料でしかない


アルラウネの存在は知っていたが意図して育てた事は無かった、だがツクモ様の弟子の2人もそうだと聞かされ、期待しながら私の血を魔王の血の二倍の比率で混ぜてマンドレイクに与えた、半信半疑であるが一週間程で鉢から出て歩き出した、多少手を焼かされると聞いていたが想像を超えていた


エルシー・シエナと名付けたが教えてもいない悪魔召喚をし成功させた、だがその悪魔を契約で縛らないで放置する為部下が処理することになった、そのほとんどがインプ程度のモノだが魔法陣も無しに食事の食べ残しなどのごみの様な生贄で召喚してしばらく玩具にしては放置するのだ


仕方なく私のスキル「蟲毒」で取り込み処理するはめになった、魔王の力を得たお陰でスキルの力も増しており対応出来るが負担が厳しい、意図的に「蟲毒」の素材を提供していると気が付いたのは完成したカタリストを嬉々として2人のアルラウネが魔道具に加工した後だった


その魔道具は悪魔召喚の魔法陣として機能し契約を結ぶ助けとなる、2人はその魔道具を私に贈り、母上と呼び慕ってはくれているいる様だが私が良いように使われている様に思えてならない、それでも実際に私は力を制御できるようになっていった


迷宮の中に森がありそこを我々のために用意してもらっている、そこで元の世界に帰還するまで腕を磨いて過ごしている、「蟲毒」に捧げる毒虫や蛇なども提供してもらったがこの世界では虫の毒素が極めて高い、詳しい話を聞くとこの迷宮で飼育し交配させたモノらしい


私が今まで「蟲毒」に取り込み生き残ったモノは蛇に偏っていたが蜘蛛や蜂など様々なモノが生存して私の手札の種類を増やすことも出来た、アンジュと言うツクモ様の弟子のアルラウネが様々な虫を用意してくれたのだ一部は私の「蟲毒」では取り込めない強さを持っていた


アンジュは「蟲毒壺」という私のスキルに近いスキルを持っていたが生き物を取り込む効果は無い代わりに毒と呪い、病などを蓄積して使いこなせる様だ、私が取り込めないと分かるとエルシーとシエナに使役法を伝えている、同じアルラウネに対する親近感も有るのだろう


2人には私に対する態度と比べて明らかに違いが見える、緊張感があり素直に教えを受けている、少し複雑な気分でそれを見つめる


「ダフネ様の血で育ったアルラウネはともかくお前が大きな顔をするな」

馬鹿が騒ぎ出した


今回の侵攻時に手柄を上げようと張り切っていた若い男だ、今までに不満を溜めていた様だ、アンジュは特に大きな顔をしてはいない、無自覚かもしれないがアンジュを挑発しているのは2人に対する不満の八つ当たりだろう、色々問題を起こしていたし私が贔屓していると見られてもいる


「そうでちか、それならあたちの代わりに2人の指導をお願いするでち、今後共にダフネ殿をささえていつのでち、エルシー・シエナ尊敬すべき先輩の胸を借りて指導してもらうでち」

アンジュの馬鹿に対する回答はこうだ


大人な対応と言えなくも無いが、2人に力の差を見せ付けてやれと言っているのだ、どちらが遊んで貰うかエルシーとシエナの2人で相談している、馬鹿が2人の魔力が上昇した事に気が付いた様だ


「私がダフネ様の可愛がられているアルラウネに傷をつける訳には行きません、残念ですか辞退させて下さい」

危険を感じたのだろう逃げようとしている


「そうでちか、ならあたちが二人と遊ぶので構わないでち、巻き込まれない様に離れているでち」

そう言うと2対1で勝負の準備を始めた


エルシーとシエナがグレーターデーモンを召喚したこれもしっかりとした契約で縛られてはいないが、無理矢理呼び出された怒りをアンジュに向ける召喚術式が組まれている、魔王の血の成せる技だろうがアンジュが対処できなければのその怒りは何処に向くのだろうか?


見れば2人とも召喚後に地下に潜り避難している、すぐに魔力の反応も消している、大きな鎌を振り上げデーモンがアンジュを血祭にあげようと襲い掛かる、その鎌はイバラに巻きつかれてアンジュの身体を掬い上げる形で振り抜かれるが鎌と一緒に振り回されるだけで傷は付けられない


アンジュは子供が親に高い高いとあやされているかのようににこにこしている、鎌に巻き付いたイバラが伸びデーモンの腕から身体に延び翼や手足を覆う、イバラの棘がデーモンに傷をつけ血を吸い上げる、イバラに青紫花が咲き結実していく、花と同じ青紫の木苺の様な実が実り次第にデーモンが動かななくなる


「いつ迄隠れているでち、追い打ちをしないと駄目でち」

アンジュの言葉に大人しく地下から2人が姿を現した


「アンジュ様の活躍を皆に見せたかったのです」

「2人ではまともにやっても勝てる訳が無いのです」

「実戦なら召喚してすぐに逃走しているのです」

「その判断も含めて最善の戦い方あのです」

2人が良い訳なのか自慢なのか判らない言葉を並べる


その口調から判断すると褒められると思っている様だ


「仕方がないでち、腕前は見せてもらったし、一緒におやつにするでち」

3人で消滅しかけのデーモンから実った木苺を食べだした


「ダフネ様も一緒に食べましょう」

エルシーが私をさそう


「少し弱い毒があるけどダフネ様なら大丈夫だよ」

シエナが物騒な事を言う


これの何処が弱い毒だと言うのか?木苺は少し甘すぎたが毒もその甘味に比例して強かった、魔王の力を得ていたから耐えられたが以前の私では無理だっただろう、2人は平気に食べている毒への耐性だけでなく力を増しているのがわかる、我々も実力を付け備えなくてはならない


「アンジュさん貴女の師匠の力を貸してい頂きたい、我々は強くならなくてはいけないのです」

この言葉は私の本音だが個人的な欲望が含まれてもいる


自分に相応しい男はツクモ様しかいない、反発も予想されるが直ぐに力を証明してくれるだろう、弥生様に助力を願っているがまだ返事はもらっていない、弟子であるアンジュから依頼すれば願いが叶うかも知れない


「ダフネお姉さんが強くなりたいのでち?種族としてして強くなりたいのでち?」


「勿論ダークエルフが私達の世界を確実に手にする為です」


「そういう事なら師匠も協力していくれるでち」

アンジュは私の依頼に協力を約束してくれた


スキルを使い自分の迷宮に帰り師匠を連れて来てくれると言う、楽しみでしょうがないついにツクモ様から教えを受ける事ができるのだ

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