158.繁殖
ツクモ様の弟子の少女に案内されて迷宮内の通路を進む、その道を歩む中で今回の侵攻での自分の動きをかえりみた、完敗だった獲物と見なしていた相手にサキュバスの能力で敗れ虜にしていた勇者を奪われ、他の下僕も同じように私の造り上げた支配の頸木を塗り替えられてしまった
それだけでは無い、相手は純粋なサキュバスですらない、しかもスキルで複製した能力でだ、戦う術を全てを失い降伏した、幸いなことに利用していた男共に復讐の生贄にされることも無く丁重に扱ってもらえた上に、再起のチャンスも頂いた
魔王が従えていた魔人を自らの手駒に出来る、そのための香水まで授かった、目を付けていた男の顔が浮かぶ、耐性が高く今まで相手にされなかった奴らが私に従い跪く姿を想像して舌なめずりをしながら少女の後を歩いて広間に出た
魔術の効果だろうか今回の侵攻に参加していた魔人達が眠っている、選り取り見取りだ、いくら私が香水の効果を使っても従えられる数には限りがある目につけていた男を探すが見当たらない
「お嬢ちゃん、魔人はこれで全てなの?抵抗して倒した者もいるのかしら?」
「まとめて眠らしたと聞いているでち、卯月が役に立ちそうな奴を選んで支配すると言っていたので先をこされたのでち」
私の質問への返答は残念な結果を知らせてくれた
見れば広間の奥から女が入って来た
「あらアンジュ、そちらの女性が残り物を回収してくれるのね、好きなだけ持って行って、余りはアンジュがアンデットの素材にしたらいいんじゃないかしら」
私の事を何とも思っていない
気に入らないが、この世界を統べている女に似ている、娘だろうかそれなら非礼な事は出来ない
「卯月、後は任せるでち、この後師匠の仕事を手伝わないといけないのでち」
「そう、要らないなら私が有効活用するからね」
会話が交わされ少女が戻っていった
「始めまして、私はアスタ貴女は弥生様のご息女様でしょうか?」
「娘と言っても良いかしら、弥生様の血で育てて頂いたのですから、アンジュが要らないそうだし持ち帰れない分は精気を吸い取って力を吸収したら良いんじゃないかしら、私も美味しそうなものを頂く事にするから」
何か大きな壺を用意している
壺に魔人を放り込み入って来た奥へ消えていった、血でも絞り取るのだろう早く自分の手駒を補給しよう、男を見る目が有る様だ力が強い魔人が優先的に消えている、勝負を挑んだ所で勝ち目は無いだろう、運が良かった一歩間違えればあの壺に放り込まれていたのは私かもしれない
粛々として手駒を補給していく、性的な意味では無い食事も提供して貰えた、勇者の囲っていた女に作られていた食事と比べても遜色が無かった、今まであれが一番美味いと思っていたがここの食事も悪くない、いっそここに移り住みたい、ダフネに忠誠を誓って戦うのは面白く無い
今の待遇がお客様扱いだとしても役に立つならそう待遇が悪くなりはしないのではなかろうか、ここで受けれれて貰うためには何が出来るだろう、しかし男の実力者をそんなに見ていない取り入る相手がいるのだろうか、出来なくは無いが私は性別を変えて男になるのは苦手だ
自分の戦闘力は二流だ手駒を増やしてようやく活躍が可能となる、この世界にそんな私の居場所は見つかるのだろうか、考えていて悲しくなって来た、今までいろいろな男を虜にしてと手駒に加えて来た、そのトロフィーに囲まれた生活が私の最高の時間だ
香水でドーピングして眠らされた魔人を起こして恩を売り容易く簡単に手に入れた手駒では満足できないのだと5人程手駒を手に入れた時に気が付いた、ダフネはあのダークエルフの男を助っ人として呼んで自分の男に出来るのだろうか?
そう思うと今の自分が惨めに思えた、この屈辱は忘れないこのままではいられない帰ろう、今は耐える時だダフネだけに良い思いはさせない、1からの再スタートなるがあの香水も解析して他の種族に効果のあるものを自分で精製して見せようじゃないか
「それは役に立ったかしら?カオリ様の調合した薬は安全で少し物足りなでしょう?」
サキュバスが香水の瓶を握り締めていた
「お姉さんは意外と奥手なのかな?魔人とはあまり経験が無いみたいだね、エルフや人間がストライクゾーンなのね?食事は大事だよ好き嫌いしてると強くなれないよ」
揶揄い半分で余計な忠告をする
「ご通告感謝致します、魔人の血の味はお口に合われましたか?」
思っていた反応とは違う
反発して反論が返ってくると思っていたのに、これでは暇つぶしにはならない
「そうだね、私の食事のとり方は独特なの生き埋めにした生き物から糧を得るんだ、魔人の魔力は悪くはなかったよ」
「この調子じゃこの広間が片付くまで時間が掛かりそうだ、持ち帰りやすくしてあげるね」
魔法を使い魔人たちを琥珀に閉じ込める
触媒にした樹液を採取した木によって微妙に色が違う私はうるしの樹液を触媒にした琥珀が好きだ血の鉄分で黒く変色した暗い色が素晴らしい
「封じ込めた魔人のスキルを使用することも出来るんだよ、役に立てて貰えれば嬉しい、この世界の一部のドライアードやダークエルフがひっそりと伝えている邪法なんだ、維持に魔力が必要だけど生かして世話をするより手間がかからなくて良いのよ」
サキュバスからすれば有り得ない使い方であるだろう
妙な言い方だが、真面目なサキュバスが邪法にてを染めて違う道を歩む最初の一歩に導くことに暗い喜びを感じる、これが彼女に栄光をもたらしても、逆に破滅に誘い込もうともどちらでも良いのだ、私の与えた技術が他人の運命を狂わせても、逆に正しい運命へと導いても良い
サキュバスも他人に寄生してしか生きる事が出来ないのは基本的に私と同じなのだ、アンジュの様なその気になれば自分の足て歩き出せる者が異常なのだ、ここに来てあいつを気に入らない理由に気が付いた、私は娘である如月をアンジュの森に埋めたのはそのためだ自分と違う生息域を確保させたい、気に入らないがあの強さを手に入れて欲しい、その願いは植物の妖精の本能なのだろうか?人の血で育った影響なのだろうか?
如月は順調に成長している様だ、アンジュの影響が強いのは気に入らないがたくましく成長した事は喜ばしい事だ魔人を餌して実を付け種をつくり消耗した力も魔力も回復した、次はだれの花粉を受粉しようか、最初は感情に流されて咲夜様と結ばれた、今度は個人的な好き嫌いを排除して選択しようか、そうするとアイツになってしまう、流石にそれは無い、もう少し考えてみよう
「アスタさん貴女の世界にアルラウネは存在するの?」
そう聞きながら考える
弥生様に頼んでメリッサと言う人間の血を手に入れて貰おう、迷宮を活用するスキルが優れているそうだ理想の相手に育ってくれるかもしれない
「いえ、ドライアードはいますしマンドレイクもいますが血を与えて育てていると聞いた事は有りません、ダフネもそのような事はしていないと思います」
返事を返しながら私の正体に気が付いた様だ
質問1つで向こうの世界で同族が産まれるかも知れない、自分の種を運ぶ訳では無いが種族が繫栄する切っ掛けになるかも知れない、そうだ今度は私が雄株の役目を果そう、受粉するよりさせる方が負担は少ないだろう私のスキルとも相性が良い筈だ
それなら相手はアイツでも良いかもしれない花粉を育てようそう思うとオシベが少し膨らんだ気がする、楽しみだあいつが受粉したらどんな顔をするのだろうか?私より真剣に子育てをしてくれるに違いない孫も期待できそうだ




