157.謁見
私の思惑通りに謁見は叶った、師匠の代理として神殿でこの世界の支配者達と対面している、弥生という魔王を越えた何かを中心としてその弟子である魔王と勇者そして聖女がそこにいた、正直関わりたくは無い、この世界に攻め込んだ魔王は打ち取られ力を奪われて水晶の中に首だけになってかざられていた
奪われた力は魔王に仕えていた筈のダークエルフの族長に与えられている、集団面接の様に私とダークエルフの族長、手駒にしていた勇者を失ったサキュバスが並んで椅子に座っている聖女と紹介された女性がつまらなそうにしている
「俺の出番が無かった、お前らには失望した、この世界を舐め過ぎだ、弥生様よ使徒になって女神様の側にいるのでは無かったのか?降臨した様子も無いがどういう訳だ、一人だけで魔王を楽しみやがって」
「もしものために一部の力を分けて現世に残していただけよ、保険の様なモノなのよ役に立ったでしょう、文句を言われても困ります」
「女神様や他の使徒に隠しておきたい力を迷宮に残していたのだろう、使徒としての弥生様とはちゃんと繋がっているんだろうな?」
「聞きたい?もはや別人だと言えばどうする気なの?遊び相手になってあげても良いですよ」
「ちっ、お前にも使徒に昇った恩恵を感じる以上、同じ人格なのだろうな平行思考か?それとも別のスキルか?」
「分かっているなら聞かなくとも良いでしょう、客様もいるのよあとで良いなら教えてあげるわ」
じゃれあいの様な会話が始まり終わる
打ち合わせでもしていたのだろうか、力を見せるにしては不自然な一見意味の無い時間の様に感じる
「お前たちの世界に俺と遊んでくれる相手はいるか?迷宮を渡し板に出来るのだろう」
成程この話のための前振りだったか
「竜王や獣人の王ならばイライザ様も満足できるかと」
ダークエルフの族長であるダフネがこの質問の強者に関して答えた
「海賊様な言い様ですね、可能です、板の上での一騎打ちは勘弁して頂けるのであれば御希望を叶えて見せましょう」
世界をは渡る事は可能と私が答えた
余計な枕詞かも知れないが、先ほどの会話から考えれば誉め言葉と受け取ってくれるだろう
「良いな、気が利いている、戦利品の回収にも協力してくれるという事だな、海賊らしく振る舞ってこよう分け前も期待して良いぞ」
余計な一言だったかもしれない
イライザという女はご機嫌だがダフネとサキュバスのアスタが私を非難する様な目で見てくる
「イライザ、ここに居るダフネが魔王として向こうの世界を統べるのだから手加減をしてあげて」
「そいう言う話だったな、なら余計に地ならしが必要だろう、彼女は正面からねじ伏せる様なやり方は苦手だろう、種族の特性上もそうだろう、今日から新しい魔王様ですとはいかない筈だ、一番簡単に纏める方法は力を示す事だ違うか?」
「お願いがあります、ツクモ殿の力をお借りしたいのです、ダークエルフにも強者が居ると示す事が可能です、使い捨てに出来る手駒も手に入れておられます」
ダフネが空気を読まずに割り込んだ
「俺の獲物が減るではないか、そういう話だろう、なら代わりにお前が俺の相手をしてくれるか?魔王として世界を統べるのだろう、俺の遊び相手くらいは出来ないと話にならないだろう」
予想通りに相手の機嫌が悪くなり、追い込まれている
横でアスタも憎らし気にダフネを睨んでいた、ダフネのいう手駒とはアスタが失った勇者の事だろう死んだのではなく奪われたと言うのであれば精神魔法の使い手だろうか?ダフネの言い様ならばツクモ殿はダーフエルフなのだろう
「ヤヨイ様より力を賜りました、イライザ様が満足できる程では無いかも知れませんが覚悟をお示しします」
ダフネが答えた
これこそ予定通りの茶番なのだろう、私とアスタに魔王としての力を示すための戦いを見せる筋書きがあったと思えば話が繋がる、アスタが唇を噛んで悔しそうに顔を下げて隠しているが横からはそれが見えた
場所を変えてダフネとイライザ殿の戦いが始まった、演武の様な見せる戦い予想していたが、一方的にダダフネがサンドバックにされていた、手に入れたばかりの力を使いこなせていない様で剣も魔法も受け流されて床に転がされ壁まで飛ばされる
「退屈だな、弥生様、相手をしてくれないか?このままでお前が力を授けた魔王を壊してしまいそうだ」
筋書きなど無かった様だ、それともこれすらも相手の筋書きなのだろうか
「仕方が無いですね、遊んであげます」
そう答えるとゴーレムをその場で創造した、
「付与した力はそこで転がって魔王と同じものです、ダフネさんも使い方を見ていてください」
「弥生様が遊んでくれるのではないのか?残念だな」
その言葉と共に姿が消えた
ゴーレムを無視して弥生という化け物に殴る掛る、その拳は額で受け止められていた
「香織のスキルじゃないか、いつの間に複製していた?」
「貴女が香織と出会う前よ怒らないで欲しいわ、私が可愛がられた方だし女同士で子作りもしてないから安心し
その言葉が終わる前に弥生殿の身体を貫きながらゴーレムの持つ槍がイライザの心臓を狙う
「正気か?自分の身体を目隠しにするのかよ」
そう吐き捨て心臓を貫かれたまま殴りかかる
「ああたこそ正気なの?避けないで胸で槍を受け止めて反撃迄」
言葉を返すがイライザの身体が砂となって崩れていく
轟音が響きゴーレムが吹き飛ばされた
「確かに同じ力だ良く転がるな、それでも核は壊せないか」
いつから砂のゴーレムと入れ替わっていたのだろうか
「一体じゃ駄目みたいね数を増やすわね、退屈はさせないわ」
そう言うと身体が溶けて金属に変化した
分裂して再び人の形を取っ最初のゴーレムと合わせて3体になっている
「弥生様、いくつまで増えるんだそれは?」
崩れた砂が集まり4本の腕となって肩の近くに浮いている
「まだ続けるの?後で好きなだけやれば良いから話を勧めましょうよ」
大人しく傍観していたが口を挟んだ
台本に沿っているがアドリブが過ぎる、そろそろ止めないと演技の枠を越えそうだ
「メリッサさんでしたか、アンジュが暴れて迷惑をかけたそうで、貴方の師匠は息災ですか?」
穏やかに質問をする
勿論苦情など聞く気などない形だけの社交辞令だ
「お気遣い感謝致します、この世界でみた素晴らしいアンデットに創作意欲を刺激され工房である迷宮に引き篭もってしまいました、本来は師がここに出向くべきところを代理で出席する非礼をお許しいただきたい」
うんざりする社交辞令が返って来た
表情に出さずにいるのに苦労した、この様な面倒な言葉のラリーが嫌いだ、殴り合う方がよっぽど楽だ、彼女は迷宮を管理するスキルに特筆すべき能力を持っいる、弥生様に任せてスキルを解析すれば済む話だが今後のためと私がアンジュの主人としての責任を果たさなければならない
「それは結構、手間をかけますが、ダフネ殿を補佐して我々と共に繁栄を享受できる世界を構築して頂きたい、そちらのアスタ殿にも協力して頂きたい魅力を磨くための香水を用意しております、魔王が引きつれていた者達を従えてダフネ殿を助けてあげて下さい
用意していた香水をアンジュが運んでくる、魔人に対して魅了効果のある媚薬を「蟲毒壺」で生成して混ぜている効果も検証済みだサキュバスなら使いこなせるだろう
アスタ殿が瓶を手に取り恐る恐る香を嗅いで表情を変えた、驚きだろうか歓喜だろうかその後満足げに唇に舌をはわせる
「有り難く頂戴いたします、新しい下僕を使いカオリ様の望みを実現させて見せましょう、お任せください、ダフネが魔王として役立たずであればいつでもおっしゃて下さい、彼女には過ぎた部下も任せて頂ければカオリ様のため尽くせるのは私だと証明して見せます」
こいつも気に入らないがやる気が出た様だ
「アンジュ、魔人達の所に案内してあげて、早くしないと卯月が何を仕出かすか分らないわ」
アスタに贈った香水は私の生成した媚薬を卯月が香水に混ぜて仕上げたモノで効果も卯月が検証した
役に立つ者もアスタに残してやらないといけない、向こうの世界でも補充出来るとは思うがある程度の戦力は必要だろう、個人的に好意を抱けるのはダフネさんだけだ危険おもちゃを与えておいてなんだがアスタも部下として使いこなして欲しい、魔王として向こうの世界を統べてくれることを期待しよう




