155.殲滅
不愉快極まりない、素材を求めてこの世界に来たのに私のアンデット軍団を出迎えたのはゴーレムった、最悪な事にミスリムゴーレムで数も多い、アンデットの利点である不死性もミスリルの効果で有効に機能しない、仕方が無く秘蔵の勇者や魔人等の素材で作成した傑作を投入したが聖女と思われる女が出てきて浄化された
一度元の世界に帰還して軍勢を補充しなければならない状況に追い込まれた、幸い神殿から追撃は無く様子をみてくれているお陰で軍を引くことが出来た、魔王様の姿も見えない、この世界の魔王城はここから遠くに臨めるが戦闘の様子が見えない近くの森を襲撃する予定のオークが戦闘を行っている、いやあれは戦闘では無い一方的に狩られている様だ
「ふざけるな!何故人狼風情に押されているのだオークの力を示せ!」
指示を出した部隊長が長距離から魔法で頭を吹き飛ばされた
この世界のダークエルフの手によるモノの様だ斧で飛んでくる礫を叩き落とす、魔石を加工した弾の様で小さな爆発が起きた、これが魔法の種の様だ
「卑怯だぞ、一対一で勝負しろ!」
叫ぶが誰も反応しない、反応は追い打ちの数発の礫だけだった
総数は此方が多いのに精霊魔法で地形を変化され満足に戦闘に参加出来ないまま魔法の的にされ、局地的に数的優位を作られ人狼に狩られていく、次第にわが軍の陣地全体が沈み周囲が隆起していく、碌に抵抗出来ないまま鉢の底のような地形に押し込められていった
最早周囲が城壁のようにそそり立っている、足場が脆くなり足を取られ登ろうとしても足元が崩れるためどうすることも出来ない、弓などは弱者の武器とオークは使わないため斧を投げる位しか出来ないが踏ん張りが効かず狙いが定まらない
「親玉はどいつだ?降伏しろ半分を食料として差し出せば元の世界に返してやろう」
人狼のメスが大声で宣言する
「ふざけるな、卑怯者が俺たちを舐めるなそこで待っていろ、お前の皮を剥ぎ取ってやる」
怒りをぶつける
「ふ~ん、卑怯者か、それでは遠慮なく手段を選ばずに行こう、アンジュ、待たせたなとりあえず半分でいい石にしてくれそれが一番鮮度をたもって保存できる方法だからな」
「大丈夫今来た所でち、うちの子が毒を調合して吐けるように進化しているので任せるのでち、ただ細かい事はまだ苦手みたいなので半分上でも勘弁して欲しいでち」
大蛇が壁から頭を出し大きく口を開きブレスを吐いた窪みの中をブレスが吹き抜けるそこで俺の意識が途切れた
「やり過ぎたでち、ここまで強力とは思わなかったでち」
アンジュが満足そうに笑い、巻き込まれた仲間を蜂に解毒剤を充填して石化を解除していく
「何だよ生肉は1割程しか残っていないじゃないか」
どうせ解除すれば良いだけだし、アンジュも平気な顔だが一応文句は言っておいた
「お前達、馬鹿なボスを恨むんだな良い運動をして腹が減っているんだ、お前達は残さす平らげてやる、後で石になった奴らも同じ目にあわせてやるから先に天国か地獄で待ってりゃいい」
「さあ、食事の時間だこの状況でやられる馬鹿は居ないだろうな、「頂きます」だったかな食材への感謝を忘れるな、そうだ、石化しかけの肉には気を付けろ歯が欠けると後で困るからな」
部下を嗾ける
「アデル、クレール、残りは死に物狂いで最後の抵抗をするでち、弓で食事の介護を任せるでち、あたちは向こうの死霊魔術の使い手と遊んでくるでち」
自分の迷宮からここまで来たクジラのアンデットの噴気孔に足をかけて座り空を駆けるそこに蟲毒壺で生成したアンデット用の毒を充填する、あたちのクジラには迷宮の一部として胃から噴気孔までの経路を保護しているからクジラは平気だどんな毒でも散布できる
背面飛行に移行して目的地の上空から潮吹きで毒をまき散らしてその勢いを借りて地面に突っ込んでそのまま精霊魔法で地面に潜ると地面を流砂に変える、そこに北の海で集めた幽霊船と戦士たちのアンデットを召喚してまるで海からか浮上した様に船首を上に地面から出現させ流砂の上に浮かぶ
さあアンデット同士の戦いと気合を入れるとこちらのアンデットの姿しか無かった、よく探すと昇天しかけのリッチらしい骨だけが残っていた、幽霊船の上に引き上げ「蟲毒壺」で作成した水差しを出して瘴気を練り込んだ油をかけてやった、そうすると何とか人の一人分の骨が再生した
「期待外れでち、あれくらいで壊滅するなんて思わないでち、あたちのアンデット達の出番が台無しでち、何故神聖魔法対策をしないのでち、弱点を放置しては駄目なのでち」
死体に言葉で死体蹴りを食らわせてやる
自分の支配しているアンデットには骨を瘴気に漬け込んだ包帯で巻いて強化している、完全に弱点を無効化出来る訳では無いが浄化されるまでの時間を稼げるし弱い浄化魔法や聖水には耐えてくれる
「素晴らしい、何と美しい」
骨の目に瘴気を纏った暗い光がともり空を舞うあたちのクジラを見つめている
「いつ迄寝ているのでち、お前の魔術の秘術を残らず吐くでち、何のために消滅から救ってやったと思っているでち」
話しかけたが反応は無く空を見つめたまま動かない
「役に立たないなら、消滅させるでち」
そう言いながら水差しからさっきクジラからまき散らしたアンデット用の毒を原液で足の骨にかける
シュワ~と音がして骨が溶ける、骸骨が声も出せず船の中で転がりだした、毒をまき散らすせいで幽霊船の甲板も焦げてしまった、やれやれと思いながら魔力を使って再生させる
「何をするのじゃ、このガキが!死んだらどうする気だ」
駄目だボケている、一度死んだ事も忘れていやがる
「役立たずは不要でち、一思いに消滅させてやるでち」
水差しを構える
「待ってくれ最後にあの空を舞う芸術品の作者に会わせてくれ死霊魔術の極致を見たのだ、儂の手のあれだけのアンデットを産み出せたのなら死んでも良い」
やはりボケている様だ肉を維持すら出来ない無いリッチは質が落ちる様だ、ケイシャ殿ならこんな惨めな事にはらなないだろう
「あれを産み出したのはあたちでち、馬鹿に教える事は無いでちさっさと消滅すると良いでち」
馬鹿馬鹿しくなって水差しをシャベルに持ち替え振り上げた
「まて、助けてくれ、良い物をやろうドラゴンの骨がある、お前の言った事が本当なら喉から手が出るほど欲しい素材の筈だ、役に立つだろう、出来れば儂の前でアンデットを創造して見せて欲しい」
「仕方ないでち、先に骨を寄こすでち、特別に実演してやるでち」
「今から儂の迷宮に通路を開く、中に弟子もいるが抵抗はさせない、魔力を放出するが抵抗する訳で無ないからの、その武器をしまってくれ」
シャベルを甲板に付き刺して様子を見ると虚空に門の様なモノが開いた
安全確認のため蜂を侵入させると人間の女が両脇に強力なアンデットを従えて門の方を警戒している蜂に気が付いた様で剣を抜いてる
「中に女性がいるけど本当にお前の弟子なのでち?師匠か主人の間違いじゃないでち?」
明らかにここに居るリッチより強力だ
「何を言うか、間違いなく儂の弟子じゃ、そのなんじゃ儂を追い抜いている事は認めざる得ないがの」
気まずそうな返事が返って来た
「外に呼んで来るでち、しっかり事情を話して間違いが無いようにするでち」
言われた通りに中に入っていった
「師匠、またアンデットを無駄に壊しましたね、弟子として恥ずかしくなります、私が指揮した方がよかった」
蜂を通して話が聞こえる
「それにしてもあの、クジラのアンデットは良いモノですね、私が支配して見せましょう」
やっぱり話が違う、弟子と言うのは本当の様だが両者の主従関係は実質的に逆転しているのだろう
聞いているのを分かって喧嘩を売っているのだろうか?外の様子が見えているならアンデットの支配と言う話はミスリードであたちを狙って来るのだろうか?良いだろう先手必勝だ、逆に全てを奪ってやろう




