154.簒奪
私の懸念は的中していた、私達は神権国家の首都を奇襲して要人を暗殺し可能であれば制圧する役目で近郊の無人の場所に送られる筈であった、そこで暫く情勢を観察する予定にしていた
「別の場所に援軍を派遣した隙を狙うために最善の時を待っていたのです」
そんな申し開きの台詞も用意して魔王様が優勢であれば取引は最初から無かった事にする気だったが、その日和見の両天秤を採る策は霧散した、我々ダークエルフの精鋭2000は神殿の様な大広間に転送していた
多くのゴーレムが並びこの世界のダークエルフの女が出迎えてくれた、呑気に子育てをしていた女族長だ
「ようこそこの世界に、しばらく貴女が誘いこんでくれた獲物の末路をご覧ください、粗餐ですが食事も用意しております、ごゆるりとお楽しみください」
そう言って姿が消える、元々実体では無かった様だ
「出口を探せ!起動してない様だ、ゴーレムは後回しで良い、食事には手を付けるな何が入っているか分からん」
そんな指示を出している間に壁に魔王様をはじめオークや元勇者達の姿が映る
「駄目です、扉は有りますが開くことも破壊することも出来ません」
部下からの悲鳴のような声が上がる
当然だろう、取引を知っているのは私と共にこの世界に来た者だけだ
「落ち着け、転移魔法に干渉されて此処に閉じ込められただけだ、映像にも惑わされるな幻影で誤魔化してているだけだ」
そう言いながら、情けなくなる
初めの女の言葉の中にある私の裏切りに気付いている者が居ない事を喜んでいいのだろうか?
取り引きをして種が分からなければここまで落ちついてはいられない、相手がその気なら水を流し込まれるだけで全滅だ、約束を反故にされればここが墓場になる、映像に神殿を前に自分のアンデットを展開させるリッチの軍勢を見えた
彼が使役するアンデットを見て部下が青い顔をしている、自分の未来を想像しているのかも知れない、それでもまだ指揮は崩壊していない、立場を明らかにするのはまだ早い戦況を見極める時間はある、別の壁の映像に目を移す、魔王様だ1人で我々と同じ様に神前の様な広別の間にいる出迎えたのは1人の人間に見える女だった
「ようこそ我が迷宮に私は坂本弥生、この世界を統べる女神様の使徒です」
「大した、防御機構だ、見事に戦力を分断してくれたな、だが一人で我の前に現れるのは悪手だな、魔王でありながら女神に尻尾を振るとは嘆かわしい事よ」
「あら、表面的な勝利を譲っただけよ、もうすぐこの世界の全てが私のモノになるのよ、私の世界に手を出した事が間違いだと教えてあげるわ」
「悪いけどこの広間で貴方は魔王様では無いの、暗黒神の前で魔王如きに何が出来ると思っているのかしら?」
私が恐れて従っていた魔王の力が奪われている
「自分を魔王に覚醒してくれた神に対して何の奉仕もしていないのね、簡単に力を奪えたわ、これで立場が理解できたかしら?」
そう言うと床に魔法陣が浮かび上がる
「私を新たな神と認め忠誠を誓うのであれば改めて魔王の力を授けてあげる、貴方の直属の部下も返してあげる」
「対価はそうね貴方の手に入れた二つの世界を捧げなさい、それとこの世界に送り込んだ者達は私への生贄として貰っておくけど良いわよね」
微かに魔王様の唇が動いた、屈辱のあまり声にならない様だ
その体を槍が貫き首が飛んだ
「魔王は別の子を探す探す事にするわ」
飛んだ首を空中で槍で突き刺してその槍を肩に担いだ、そこで映像が途切れた
気が付くと今まで映像に映っていた女が槍を担いで私の前にいた
「貴女がこの男の代わりに魔王になる気はあるかしら?嫌なら他を当たるわ」
目の前槍に付き刺したに首を突き出して私に問う
「是非とも私にその役目をお与えください、それともう一つ頂きたいモノが有ります、ツクモと言うダーークエルフの男を私に頂きたい」
迷いも無くその話に飛びつき、もの世界で手に入れたいモノを望んだ
「良い判断ね魔王は貴女にお願いするわ、でも残念だけれど希望の男は私のモノでは無いので与える事は出来ないわ、魔王の力をさずけてあげるから男の一人くらい自分で口説いて貰えるかしら、今は貴女が仕えていた魔王が連れて来たサキュバス達と遊んでいる頃でしょうね後で会わせてあげる、丁度そこに映っているわ」
その言葉に導かれて、槍で示された壁を見た
そこで驚きの光景が映されていた、女目当てにこの世界に着た勇者をはじめサキュバスが手駒にしていた男たちが1人の魔人の女の足を舐めていた、それが私が引かれていた男の今の姿だと言うのだろうか?、身体を震わせながらその光景を見ていると男共が石に変わった
「アンジュご苦労、この様が愚か者は某が切る価値も無い」
変わり果てた姿でツクモ様が言う
「師匠は初めて会った時はダークエルフの女の子で、今はサキュバスと魔人のハーフの女性でち、それが本当の姿でち?」
私の知りたいことを弟子の少女が来てくれた
「この姿は某が若い頃に仕えていた魔王様の姿じゃよ、スキルで身代わりとして化ける事が出来るのじゃよ、そんな事より後はあの純粋なサキュバスだけかな、他の男に支配されていた女共は戦意はもう無い様じゃ」
この言葉安心し、そして絶望した
横にいる今私が忠誠をちかったこの世界の使徒の方を見た
「私では無いよ、私に暗黒神の力の使い方を教えてくた先代の暗黒神が彼の仕えた魔王だろう、世界は狭い様だな、彼女は男も女もいけたし特定の相手に執着はしていなかったが彼との関係は私も知らない、知りたいなのなら自分で聞き出す事だ」
なんの慰めにもならない事を言われた
「お前ほどの男であれば私を好きにしていい、いや正体は分からないが同族だったとしても私以上の力をお持ちにの様で、忠誠を誓う命は助けてくれ、私は役に立つぞ」
サキュバスが命乞いをしていた
取り合えず戦闘は終了した様だ、私は改めて忠誠を誓い力をさずかった、私の仕えていた魔王のスキルも手に入った、今はまだ使いこなせないがこれであの男に対抗できるだろう、魔王になって欲望も増した様だが世界よりも一人の男に執着している自分に戸惑う
それでも必死で個人的な欲望を押さえつけた、魔王としての威厳を示さないといけない、まずは動揺している部下をまとめ次いで魔王の直属の部下を掌握しなければいけない




