153.会議
取引の後石化した部下も解放されダークエルフの男に拘束されていた者も帰って来て元の世界に帰還し出来た、最初に連絡を取れなくなった者は魂を変質させられ最早私の部下では無くなっておりこの世界に残す事になった。囚われていた男もトラウマを抱えており私の顔色をうかがい恐れている何を吹き込まれたと言うのか?
「ご苦労様です首尾は如何でしたか?」
魔法陣で私達を出迎えた魔術師を束ねる長が訝しげな眼をしながら尋ねる
「部下を1人失った、今までの世界とは違い手強い相手が潜んでいる様だ」
「左様でしたか、ダフネ様が無事で何よりでした」
私の返答に納得したのか社交辞令の言葉が返って来た
取引で約束した通りにそのままあの世界で得た情報を伝える偽りは何一つなく今まで二つの世界と同様に自分の理になる様に伏せるべき情報を除いたものだ、今回はその量と質がいつもより多いだけだ、カトレアと言うあの世界の魔王が記録を検閲して与えたくはない情報は削除されているため映像を収めた水晶玉を編集する必要がないくらいだった
私の記憶を読んだのか、この世界に何らかの方法で情報を得る事が出来るのかは不明だが私にとって都合よく加工されていた、取引した事に後悔は無い、私にも利は有る魔王として自分の世界が手に入るのだ不満など無いそして自分が惚れる事が出来る同族と再び会う事が出来る
言葉一つ交わしてすらいないが私が仕込んだ呪いを一振りで消滅して見せた、呪いが返された影響かも知れないが私より強い男は私の部族には居ないのだ必ず手に入れて見せよう
「珍しいなダフネ、今度の世界で欲しいモノでも見つけて来たか?楽しそうな相手も居るようだしな、ガルン、お前もそうであろう」
私に声をかけた後、同じく10将軍の1人であるオークに話を振る
「嘆かわしい、我らオークの面汚しがいる部族を守れず1人命惜しさに家畜になり下がった汚物を掃除しなくてはならん、先陣は我々が務める、いや俺たちだけで十分だ、魔王様にあの世界を捧げて見せましょう」
珍しい、繁殖用のメスを手に入れる事しか興味が無いと思っていたが、種族の長としての誇りも有る様だ
「私も部下を1人失った、落とし前を付けなくてはいかない、先陣は譲るが我々も参戦する」
「俺にも一枚かませろ、俺のハーレムを飾る花を増やしたいからな」
私の言葉に続いて前の侵攻でこちらに寝返った元勇者が言う
それなりの実力を持っていたため魔王様がサキュバスを送って堕落させた男だ、今では欲望を刺激されてサキュバスの思う通りに動く駒になり聖女をはじめとして元の仲間を犯して暮らしている、時折私の部下の女に嫌らしい目をむけている
勇者の忠実な副官のかように控えるサキュバスが実質的な10将軍の1人だ、洗脳が上手くいって駒を実戦で動かしたいのだろう、他にも手駒として男を囲っている、そんな女が私をみて微笑んで来た、そうか私と同じ獲物を狙っている様だ、ツクモと言う男が弟子を鍛えている様子は情報として持ち帰っている
勇者は弟子の女に興味が有るのかも知れない、この男は基本的に自分より年下が好みのだ、そのためか私には嫌らしい目を向けてはこない、それはそれで気に入らない痛い目にあえば良いのだ
「また新たな素材が手に入るだろう、前回の侵攻で得た素材で新作が出来て性能試験をまっているのじゃ、楽しみでならない、最終調整をするで侵攻の日時が決まったら連絡してくれ、儂は迷宮に戻る」
リッチはいつもの様に自分の研究にしか興味が無い様だ
「今回はパスですね、「魔導国」でしたか興味を引くのは毒魔術と言うのが残念です、私にインスピレーションを与えてくれる様な使い手はいなさそうですね、転送は任せて下さい一度で4軍までは望みの場所に送り届けて見せましょう」
召喚や次元魔法を得意とする魔女も通常運転だ、リッチと違い会議を途中で退席しないだけましだ
「竜族は余り見ないようだな我の相手をしてくれる強者は居ないようだ、我も今回は出番は無い様だ面白い奴がいたらその時に声をかけくれ」
人化して会議に参観している竜王がつまらなそうにしている
私を追い詰めた勇者の戦闘の様子を見せればやる気になったかも知れないが、私が生還した事に疑問が出る事になるため公表できない情報だ
「この世界の獣人は人狼だけなのか?人間の真似をして畜産か、それでも戦いは忘れて居ないだけましだがな、ガルンが相手をするのだろう、それなら俺の出番も無さそうだな、精々肉にさせない様に気を付けろ、逃げて帰る様なら俺がお前を喰ってやる」
虎の獣人がオークを煽る
やる気が感じられない、明言しないが参戦する気は無いだろう、怒って襲い掛かりそうなガルンを睨んで黙らせた、軍勢は少ないが少数精鋭で個人の戦闘力は高い
「人狼は集団での戦闘が得意だ、この群れのボスはなかなかやりそうだ、これは純粋な忠告だ覚えておけ」
「余計な世話だ、みんな毛皮にしてやるよ、この侵攻が終わればお前の番だ」
「そうかい、忠告はしたからな」
ガルンは獲物を狩り喰らう事で強くなれる上手く行けば未来は分からないが無理だろう
あの牧場の近くに私達が調査すら出来なかった何かが居るのだもしかしたあの勇者かもしれないが、まだ私の知らない何かが居るだろう
会議に参加した者の中で我らダークエルフとオークに勇者達、リッチを率いて魔王様が侵攻する事が決定した、私以外は勝利を疑ってはいない、少なくとも侵攻する者達の中ではだが、我々は少し消極的に戦うだけだ、露骨な裏切りは要求されてはいないし呪いや制約で縛られてもいない
この世界に戻る時には甘い対応だとも思ったが今になってはそこが不気味に感じる、泳がされているだけなのだろうか、無事に転送出来るのだろうか、転送魔法に干渉して異次元に飛ばせば戦う必要も無い今更の心配だが先陣はオークを率いるガルンが引き受けてくれるが、あの魔女は同時に転送できると言っていた何か手を打つべきだろうか?
と言ったところで参陣に遅れる事は許されない、それが許されるのは魔王様本人と、時間の感覚が狂って何度も遅刻を繰り返したリッチだけだが、これは諦めれれて期待されていないからだ真面目な者が馬鹿を見る典型だ
今回は彼の弟子が集合予定地に迷宮から直接ゲートを開いて間に合わせた師匠の代わりに頭を下げている自分の部下達には特別優れた実力を持つ副官はいない、リッチの弟子を羨ましく思いつつもこの状況を維持しているのは裏切りを警戒してのことだ、副官など不要だ私が部族の全てを動かせればそれでいい




