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152/186

152.取引

アンジュと如月に稽古を付けていると覗かれている視線を感じた、アンジュの操る蜂は既にその者を補足して襲い石化毒を注入している、駆けつけた時にはて手足が石化しかけていた、カオリ殿の調合した毒で安全に無力化し自害まで誓約と呪いで禁じてしまうのだと言う


本人は抵抗不能だが侵入者の身体の中で蛇が暴れていた、恐らく呪いの類でこのダークエルフの主が施したモノだろう刀の効果でその蛇だけを切り裂いた、カオリ殿が強化した刀は某が所持している別の刀の能力も獲得している、それだけではなくアンジュがアンデット化した武器の能力にも食指を伸ばしている


「師匠勿体ないでち、あたちの知らない呪いだったのに」

その言葉が刀の効果に満足して刀を見つめていた某に優先すべき事を思い出させる


「早くしないと宿主を襲いかねなかった、そんな暇はなかった」

残念そうに文句を言うアンジュを黙らせる


「呪いの残骸がまだ残っておるアンジュならそれで解析可能であろう、早くしないと消えてしまうぞ、呪いの使い手まで探れるならそれも頼む」

アンジュに指示を出し、如月にゲオルグ殿を呼びに行かせた


ゲオルグ老に確認したが知らない男の様だ、カミラ殿にも確認するべきかと思案していると、アンジュが呪い使い手の居所を割り出してくれた、覚えのある場所だ某がダークエルフを率いていた時には魔王軍の城があった場所だ当時は鉱山が栄えていたが魔王が暗黒神になった頃には採掘量も減り価値は低下していた、今では放棄され忘れられている場所だカミラ殿の手の者でも無さそうだ


術者が呪いを通じて監視していたとしても相手からは呪いの蛇を切り裂いた時点でこの男も死んだと見える筈だ、この男から相手の目的を聞き出す時間もあるだろう


「アンジュ、相手に気取られぬように監視をしてくれ、某達だけで勝手に動けないだろう、カオリ殿にも情報を共有せねばなるまい」

抵抗できない相手を弄る趣味は無いが聞けることは聞いておかないとな


尋問を始めようとすると意外な事に向こうから勧誘された


「お前程の力が有ればダフネ様も喜んで迎え入れて下さる、この世界も我々の者になるのだ、こんな僻地の森で埋もれる男では無いだろう?俺が話を付ける、ダフネ様の寵愛すら獲得出来よう」


「お前の主はダフネと言う名の女子か?この世界と同じで女子が幅を利かせている様じゃの」


「面白い、某の知るこの世界で最強格の女と引き合わせてやろう、お前の主が勝てば忠誠を誓ってやろうではないか、面白い試合が見れそうじゃ」

自分の手柄に出来ると判断したのだろう、ほくそ笑んでいる


石化の毒の効果を刀で切り裂き自由にしてやりアンジュに仕えているアデルとクレールに食事と酒を用意させて監視させ情報を引き出すよう指示を出す、彼女達の目にこの男に対する蔑みを感じるが男は気付かない様で鼻の下をのばしていた


アデルとクレールの2人は魔力を意図的に落として甘く見られる様にしている、強引に吐かせるよりも効率よく情報を獲得できるだろう、しばらくすると騒ぎが起きた調子に乗って手を出して2人に制圧されていた


「俺にこんな事をしてただでは済まさんぞ、今に見ていろ立場を分からせてやる、ダフネ様の力を見てから後悔してもおそいぞ」


「あら、ダフネ殿は力を評価する方なのでしょう、貴方より私の方が強いわ、一対一でもね、貴方は自分が切り捨てられないか心配をすべきでしょう、いま一番危ういのは貴方の立場よ、貴方がダフネ様を裏切ってベラベラと秘密を洩らしたと言ったらダフネ様は信じてくれるかしら?」


「クレール、あまり虐めてやるな、一応客人だそれに誰であろうとカオリ様に勝てる訳が無い、それまで夢を見させてやれ、ここまで来ては悪夢かもしれんがな、心配せずとも良い、悪い様にはせんよ」





千夜が侵入者を「家族」に迎え入れ、仕込まれいた呪いも改変して新たな家族に与えた、他に派遣されていたダークエルフが集まるまでと廃城を監視していると、アンジュの蜂も監視を始めた、もう一人確保した様だ、この世界に送り込まれた者がそろった所で一番廃城に近いアンジュの森にスキルで跳んだ


ヒルダ姉さんにも魔法で連絡してアンジュの迷宮で集合する事にした咲夜を通して卯月からゴーレムを派遣させる、アンジュが蟻を使って地下通路を整備しているお陰で集結は簡単で相手には気付かれないだろう、問題無く準備が整った


私は今回シグネさんと拓真さんの2人を連れてきている、ヒルダ姉さんがハイエルフに身体でユリアを伴い参加してくれた、そこにツクモ殿とアンジュにいつものアデルとクレールが従っいる、これにミスリルゴーレムを200体用意した


過剰兵力かも知れないが想定外の増援が世界を超えて送られるかもしれない、イライザが何時でも動けるように神殿で咲夜と卯月を待機させている、必要なら弟子のクロエ達の力も借りられるがセーラ様に今回の事が知られてしまう、最初に報告して協調しても良いが初動が遅れるとイライザの意見で今回の動きとなった


順調に聖域で廃城を封鎖し包囲が完成した


「カオリ様、余所者にこの世界の勇者を力を見せて下さい」

とツクモが言う、ギャラリーも連れている様だし、ここは少し本気を出そう


リーダーと思われる女性のダークエルフが8人の部下を引き連れて出てきた、挨拶代わりに空になった廃城を火山の溶岩に沈めそこからフェニックスを召喚して空を覆った一度に10羽を召喚するのは初めてだ空が神域の結界に反射した溶岩とフェニックスの炎で夕焼けのように赤く染まる


「まとめて掛ってきて良いよ、私一人で十分だから」

そう宣言した


手に一羽のフェニクスをとまれせて魔力を注ぎフェニックスが巨大化し炎の色が青く変化する、手を天にかざすとフェニックスは私の意図を理解して飛び立ちダークエルフ目掛けて突っ込む前にリーダーが私を目掛けて接近する、他の部下達は散開して魔法や矢でリーダー援護する


私を巻き込む形でフェニックスを突っ込ませ魔法や矢を塵すら残さず消滅させた、この動きに気付いてダークエルフのリーダーは距離を取り難を逃れたが髪の先が焦げ、腕から伸ばした蛇の胴体が頭を失いダークエルフの腕に消えていった


「化け物め、お前は何故無傷なのだ?」

そう呟きながら戦意は失ってはいない様だ


「お前ら怖気付くな、援護を続けろ」

部下からの攻撃は殆ど無力だが少し鬱陶しくなって来た、巻き込んで死なれても可哀そうだ、邪眼を起動して石に変える、珊瑚の力を解析して自分のモノにしたが使い勝手が良い


「まだやりますか、それより諦めてこの世界に亡命しませんか?力に相応しい待遇で受け入れますよ」

邪眼の効果を威圧に切り替えて睨みながら言い放つ


「香織は優しいわね、ここで彼女を受け入れただけじゃ危機は去らないわよ」

ゴーレムから弥生さんの声がした


「ダフネさんで良いかしら、この世界を統べる女神様に仕える使徒の坂本弥生と申します、ゴーレム越しに失礼しますね、貴方の仕える魔王はいくつの世界を手にしていますか?次の狙いが我が女神の世界と言うのであればその誤りを破滅で教えて償って貰わなくてはいけません」


「貴女には選択肢を与えましょう、この世界に踏み込んだ愚か者の末路を示す見せしめに剥製にして送り返されるか、魔王を生贄としてこの世界に誘引するかの二つです」


「私に協力するのであれば、貴女に魔王の持つ世界の一つを好きにさせてあげましょう、私が貴女を魔王として覚醒させてあげます、悪い話では無いでしょう?」

ゴーレム越しに弥生さんが悪魔のように取引に誘う


「人間の魔法使いですら、ここまで力が得られるのです弟子や部下には寛大で気前の良い方ですよ、弥生様の差し伸べた手を取らないのであればダリアが貴女の生皮を剥ぎ取っ中身はこの子の餌にします、どちらを選んでも良いですよ」

気が付けば聖域の中にカトレアさんが来ていた


ケルベロスを連れている、ダリアさんとイザベルも来ていた、聖域が破られている中に居るゴーレムを利用したとしても信じられなかった、使徒になり力が増したとしてもここまでの事が出来るのだろうか?


私以上に驚愕しているのは、ダフネと言うダークエルフだ呆然としている、それでもすぐ立ち直って当たり前のように弥生さんの提案を受け入れ協力を誓った

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