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15.氷上千尋

彼女がこの世界に来たのは不幸な「偶然」で、私が彼女と出会い戦ったのは「必然」で、彼女が私と戦いを生き残ったのは「奇跡」だった、今ではその出会い、戦い、生き残り、その後の私たちが歩む道は「運命」だと信じている


彼女は「魔導国」に『異世界転移』でさらわれ、魔法で魂を縛られ、奴らの使い捨ての道具として「勇者」と言う名の「鉄砲玉」として私の森に送り込まれた


4人組のパーティーで彼女の職業は「暗殺者」だった哀れな道具の三つを壊し残った最後の道具を壊す時、私は折角だから楽しもう思った純粋な近接戦闘能力に限れば私と互角だったが魔力については大人と子供の様な差があった、装備の差もある楽しい玩具を手に入れた自分の技術を伸ばすいい機会だと近接戦闘だけで楽しんだ、その後魂を私の短剣て喰らえば力にもなる


そうして玩具で遊んでいると、私の意図しない形で玩具が壊れた、魔法で魂が縛られている以上生きている限り動くはずなのに、私の短剣は魂を縛る魔法だけを壊していたそれはまさに「奇跡」だった


さてどうしたものかと考えていると「魔導国」に復讐したい道具として使ってくれても構わないと言う、試しに使ってみれば役に立つ道具だった対「魔導国」ではうちの精鋭以上の戦果をあげた


すぐにお気に入りの道具となり、頼りになる部下となり、ついにイザークに次ぐ私の左腕となった、そして気が付いたら友となり親友にまでなっていた。そんな時、次の「鉄砲玉」がとんできた私の親友はその「鉄砲玉」を私の短剣で救ってほしいと頼んできた、ならお前がやってみればいいと短剣を貸し私が魔法と毒で「鉄砲玉」を動けなくした、「暗殺者」という職業のお陰なのだろう彼女は私の短剣を私以上に使いこなして見せた、結果としては魂を縛る魔法は壊せるのだか魂を無傷で解放する事は叶わなかった


彼女が命がけの戦いの中で私の短剣を見切って躱し続けたことで少しずつ魂を縛る魔法を削っていたが為の「奇跡」だった、失敗と終わった試みだが彼女は眠っていた短剣の能力を発見してくれた、その「発見」が私たちの関係を最早切り離せない関係と昇華させる


勇者と停戦を結んだあと自分の死を偽装したためしばらく動けない状態となった、今の内に二人目の子供を産もうと考えた、その時彼女が言いだしたのだ、自分の魔術的な実力の限界を感じていた彼女は短剣の能力で自分の魂を取り込み私にダークエルフとして産んで欲しいというのだ、能力で同意のうえで魂を取り込むと魂の抜けた体を使うことも出来ることも発見していた彼女の身体を私が使うことが出来る


リスクもあったと魂を取り込む際にし失敗すれば傷てけてしまう、病をばらまく為に使用しているネズミで実験し可能だと判断した、そして彼女はダークエルフとして、私の娘「ヒルダ」として『転生』した、

流石に危険と止められるためこれを知っているのは私だけだ


千尋の事を良く思わないものも多く、イザーク自身は実力主義のため千尋との関係は悪くないが板挟みとなりもう少し部族の事を考えて下さいと苦言を言う様になっている、今後のことや千尋の身体を使う様になるため、ある意味嘘ではないのだが千尋が私に魂を捧げ身体を差し出したことになっている


残念な事に魂を無事に抜き取るための魔術的な保護が強かったため記憶はまだ魂の奥深くにねむっている、最近になって染み着いていた癖が表に出てきた、ヒルダはよくボールペンを指で回している、千尋が同じようにボールペンを回していたもう少しで記憶も戻ってくるだろう再会が楽しみだ


千尋の発見した他人の身体を使う能力は私のもと同意を得ることなく強制的に奪うまでに成長した、そして喰らった魂を蓄積し劣化版ではあるが短剣の複製を生みす能力も千尋が可能性を見つけてくれていた、その最初の一本を息子のカインに与えた




私はカミラ様救われた、恩人であり主人であり友人だ、そしてその関係は親友になろうとしている、それなのに残酷な真実として「魔導国」に『異世界転移』で「勇者パーティ」として拉致された被害者仲間の魂を喰らった敵でもある、その真実は喉に刺さった魚の骨の様に私を苦しめていた、海で遭難したものが喉の渇きを癒すために海水を飲み続ける様に終わりの見えない「魔導国」への復讐を続けただから救われていた「魔導国」への復讐が完了してしまえば私の復讐心はどこに向かうのだろうか?


その復讐の過程で得た『異世界転移』の魔法の知識とカミラ様の持つスキルを合わせれば故郷に帰れることが出来ることが分かった今更帰るつもりはない共に帰りたい仲間は存在しないのだから、度重なる被害から「魔導国」は『転移者』をカミラ様の森やダークエルフに対して投入しなくなっていた、手の届く場所に救いたいものすら居なくなってしまった


そんな中私の戦いは、女神が私の故郷からこの世界の勇者の身体に魂を移した本当の勇者を敵としたものに変わっていた、それはカミラ様が魂を喰らった勇者の身体を使い私たちの前に立ちはだかった、女神の勧誘に応じ自分の意志で楽しむように戦う勇者は恐ろしく、そして羨ましかった


此方の被害は徐々に増えている敵の戦士が足を引っ張ってくれているためなんとか持ち堪える事が出来ていた、これ以上はもたないとカミラ様は和平の使者として私を送り込んだ、勇者は乗り気だったが戦士は猛反対していた、なんとか勇者がなだめ勇者とカミラ様とで直接話をすることとなった


勇者はフェンリルを連れ、カミラ様は私を従えての話し合いとなった、それは交渉と言う今までとは違う戦いだった、和平は期限付きの停戦となり条件として勇者パーティの戦士を魔王様の手の者によるものに偽装した暗殺だった、その理由は推測できたし勇者の口からも聞くことが出来た、条件の折り合いがつくと魔術契約の結ぶこととなるがそこからがまた戦いだったこちらが忍ばした罠や抜け道は全て見抜かれた逆に罠を仕掛けられそうになった結局引き分けとなり魔術契約は結ばれた、その交渉中カミラ様が終始苦々しくされていたのに対して、勇者は実に楽しそうだった


暗殺は私が実行することなり、手段は私に任された、それは戦士を救済する事でもあった、運よくカミラ様の短剣の中に戦士の恋人だった勇者の魂がのっていた儀式を行うため魂を保管する能力を持っていたためで運が良かった、この時私はこの短剣の能力をカミラ様以上に使いこなせるようになっていた、現実から逃げる様に泥酔し眠る戦士の魂を傷つけない様に抜きとった後とどめを刺し現場を偽装した


カミラ様にお願いして一時帰郷しそこで短剣の中で深く結びついた二人の魂を解放した、この事に意味があるのか答え合わせは出来ない、私にはもう帰るつもりのない平和な世界で二人が生まれ変わりまた出会える事を祈る事しか出来なかった、自己満足かもしれない偽善かもしれないこの行為によって少しだけだが私の心は救われた


停戦の約束は守られカミラ様は自分の死を偽装し子供をつくられる決断をされた、この時私も決断した、実感した、どれ程あの勇者が羨ましかったのか、そして選択した自分の意志で『転生』すると、あの勇者は魔王討伐を成し遂げるだろう、私も新たな力を手にし自分の復讐を成し遂げよう、そしてカミラ様への復讐も成し遂げて見せる、娘としてカミラ様の力を追い越し、あの短剣を私のものにし、引退に追い込み、族長の座を奪い取ろう、その復讐はどれだけ甘美なものになるだろうか

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