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145.魔物

アンジュから気になる話を聞いてカミラ母さんを通じて調査をしていた、如月の前世は地方から進学で上京してヤリモクのサークルで出会った先輩とキメセクをした挙句オーバードーズで人生を終えた、大学進学まで育てた両親の事を思うと辛いモノが有る


転生後にはアンジュとツクモ殿を中心に鍛えており性根を叩き直して貰っている、経過を見るに良い成長をしている様だ、問題は前世でキメセクを楽しんで如月の前世である李緒が痙攣し命の危機すら予想できるのに見捨てたサークルの先輩と李緒の父親の事だ


いまサークルの先輩は保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕され判決を待つ身だ、父は娘の敵と恨みを深め下手をすれば私的な復讐に手を染めかねない、容疑者が死人に口なしと薬を李緒に勧められたと供述したためだ、父は他の被害者を探して個人的に証拠を探したがサークルの活動内容から仮に毒牙にかかっていたとしても証言してくれる者はいなかった


李緒の両親のためにも落とし前を付けるためにカミラ母さんに頼んで如月を日本に送り出した





「おい、高木、どうなっているんだ?なぜ和解が成立しないのだ3000万では足りないと言うのか?相手の親と組んで慰謝料を釣り上げようとしているんじゃないだろうな!」


「社長、無茶を言わないでください、坊ちゃまが薬の責任を相手に押し付けているから話にならないのです、せめて見舞金だけでも受け取って貰いたいところですが、もう会う事すら難しいのです」

使えない奴だ、俺が直接頭を下げるしかないか


「話にならん俺があって話をする、車を用意しろ、息子が前科者にならずに済むならいくらかかっても構わん」


「もう少しまって下さい社長が出ていったところで相手の態度は変わりませんよ、仲裁をお願い出来る者や相手の弱みも探させております、もう少し待ってください」





最悪だ、正直打つ手が無い、多少素行は悪かったようだが死亡した相手に薬を入手する伝手は無かった様だ、お坊ちゃんが逮捕前にスキンヘッドにして全ての体毛を剃った時点で黒だろう、当然警察にも疑われている、厄介な事に留学しているお嬢様がおり父である社長や弟であるお坊ちゃまと仲が悪い


それも当然でお嬢様を産まれた母親は事故で亡くなっておりお坊ちゃまは再婚した後妻の息子だ、始末が悪い事に今回の死亡した被害者は姉とそっくりだ、恐らくお坊ちゃまには姉に対して異常なコンプレックスがある、そんな中でこの事件を起こしてくれた


どうやら、秘密にしていたがお嬢様がこの事件の事に気が付いた様で帰国している、実家に寄りもせずホテル暮らしだ良からぬ事を考えていてもおかしくない





「お母様、何事ですか?忙しい中今更日本に呼び戻して」

死んだ事になっている母から呼び戻された、抱えていた仕事を同業に引き継いで戻って来た、まだこの母には逆らえない


「良いではないか、残りカスとゴミ拾いの小娘のガキがやらかした、少しは目減りしているが、お前も成長したし会社を貰っておけ、落ちている金だいまなら会社ごと売り飛ばせばよかろういつもやっているのだろう、少し時間はかかるがいい気分転換になるだろう」


「お母様が父から力を奪うからそんな事になるのです、一度は好きになった男なのでしょう?」


「そういうな、私達種族の避けられない定めじゃ、そのおかげでお前と言う優秀な娘を授かった、早く私を殺して全ての力を引き継いでおくれ、さもなくば私がお前を殺さなくてはならなくなるではないか」

何度も言われてきた言葉だ


逃げる様に弁護士資格を取りアメリカに渡った、義母のため息子に後を継がせたい父も私の独立を手伝ってくれたが母が父の能力を奪ったせいでポンコツになっていた、いっそ命を含めて全てを奪ってやった方が父も幸せだったかもしれない


それなのに劣化した父に執着が有る様だ、味がしなくなり道に吐き捨てたガムに未練が有るのかそのガムを拾った義母とその息子の破滅に愉悦を感じているようだ、私はもう父や義弟に興味は無い、義母からもそんなに酷い事をされた訳では無い


母が手を回し手出しをさせなかったのかも知れないがそのおかげて恨みはない、仕事もあり自分で稼げる以上放置して良いのだが母に勝利するだけの力にはまだ届いていない、この呪われた血からは逃げられないのだろうか


そんな中私に出会いがあった、私によく似た女であった、頭にリコリスの髪飾りを付け質のいいドレスを着て義弟の裁判を傍聴していた、母も変装して傍聴し義弟の精神に干渉し裁判中に暴れさせて退廷させられた、裁判は中断し尿検査の結果薬物反応が出た


弁護士が高い報酬に見合う仕事をして最高で無罪、悪くても執行猶予が付きそうだった裁判は振り出しに戻った、自分の経歴に傷がついては堪らないと弁護士がこの仕事から降りると言い出し父は私に泣きついてきた、義弟の弁護を引き継いでくれと言うのだ、勘弁して欲しい


母は思った以上の義弟の無様な姿を見て悦に入っていたがこんな大切な時に薬に手を出すほど愚かだったとは思えなかった、母以外に義弟を嵌めようとしている奴がいる、食事に薬を混入させたのだろうか?そんな中無言で表情だけは嗤いながら退廷する女と目が合った


大事な用が有ると父を置いて追いかけたその女は待たせていた車に乗り込み走りさった、ふと視線を感じて振り返ると庭の木に蜂がとまっており私を見ていた、その後その蜂が飛び去ったまるでさっきの女の車を追いかける様だった


結局義弟は実刑判決を受けた、父はショツクを受け碌に仕事が出来ない有様で私が仕事を引き継いだ、母には呆れられたが、採算性の低い事業を整理して会社をコンパクトにして堅実な部門に集約して義母に委ねた、だからと言ってボランティアでは無い報酬に会社の株を握って役員のポストは握っている


皮肉な事に義弟がやらかし過ぎたお陰で義後は私に感謝して頼りにしている、アメリカで企業買収をして旨味のある部門を売り飛ばして利益を得るのが私の仕事だ、いつもと逆だがやり方は良く知っている、父の秘書は多少は優秀だったので副社長として義母を助けて貰う事にした


「ほう、今度は父から妻を不倫で寝取らせる気か、私より陰険で執念深いで無ないか見直したぞ」

母が勘違いをして私を褒めて父や義母を嗤っていた


裁判所で出会った女と同じ様な嗤いだった、私も力を付け成長したらこのような嗤い方をするようになってしまうのだろうか?あの女も母や私と同じく人でなしの魔物の類だろう、顔が被害者にも私にも似ていた、義弟が見殺しにした娘が怨念で蘇った姿なのかもしれない、ここまで満足して成仏してくれれば良いのだが


仕事が落ち着きアメリカに帰る前に彼女の墓参りをした、思ったよりも立派な墓が立っていた、まだ火が付いた線香が残っていた、いつか見た蜂が飛んでいる、獄中で義弟は人気者だ刑務所で義弟の罪がバレて色々な意味で可愛がられている様だ


アメリカならばとっくに獄中死しているだろうが日本ではそこまでの事にはならない、死んだ方が楽かもしれないと思いつつ私も現実に向き合わなければいけない


母から後5年と期限を切られた気が付けば墓石に悩みを語っていた、母の望む力に届いたとしても母に手をかけたくは無い、だからと言って死にたい訳では無いのだ

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