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144/186

144.如月

卯月が妊娠した、いや受粉した、本人は咲夜の花粉と信じて疑わない、いつも自分の植木鉢でもあるよそ行きのゴーレムの胸に抱いていたしそうなのだろう、それなのに咲夜は認知をしないのだ、自分の花粉だとは認めない、困ったものだと嘆いていたがそれ程問題が有る訳では無い様だ


アルラウネは自分の種をまいた時点て子孫を残す作業が完了する様だ、勿論成長に適した場所を厳選はするのだがそれ以上の世話はしない、そして卯月は種をまく場所にアンジュの森を選んだ、個人的な好き嫌いは一切持ち込まず、最適と選んだ場所がアンジュの迷宮の存在する森だった


恐らく本能で最適な場所を探し当てた場所がそこなのだ、そこで咲夜が認知していない事の意味を考えると一つの可能性が浮かび上がる、卯月を受粉させたのはアンジュでは無いのか?と


有り得ないそもそも一緒に行動した事は無い筈だ、世間話感覚でイライザにこの話をするとイライザには心当たりが有ると言う、咲夜が私とヒルダ姉さんを呼ぶためにスキルでアンジュとお互いの場所を入れ替えた時にアンジュを利用したのだと言う


そこで卯月がアンジュを抱きしめる形となり、卯月がアンジュを地面に叩きつけた、その時室内に関わらず埃がまったそうだ、それは埃では無くアンジュの花から舞い上がった花粉なのではと言う


これは大惨事に成り兼ねない不都合な真実だ闇に葬らなくてはいけない、墓のまで持って行くレベルでも危険な情報だ卯月が知れば何が引き起こされるか分かったものでは無い、今卯月は咲夜と結ばれた事を喜んでいる


人間であれば褒められた事では無いが、そこで満足もした様で咲夜への執着も消えている、人間でいえばクラブやラウンジでホステスと一夜を共にすればゴールと満足する男の様な感性だ、女性にもまれにホストと一夜をゴールと考える者もいるそうだ、アルラウネとして正常なのかは分からないが私の基準では不誠実だと思っしまう


その違和感と共にこの事は忘れる事にした、誤解を解いた所で誰一人幸せにはならないのだ、この事はイライザと私しか知らない秘密となった





気が付いたら私は土の中に居た、状況を理解しようと記憶を呼び覚ます昨日は念願の東京の大学に合格してサークルの歓迎会の後イケメンの先輩と二人でバーに行きカクテルを3杯飲んだ事までは思い出せた私はその後どうなったのだろうか


外に出ようとすると簡単に地上に出ることが出来た、私は裸で森の中に埋められた様だ、私の埋めれていた穴を見ると深い竪穴が空いている、おかしい私が急性アルコール中毒になって死んだと誤解し山に埋めたとしてもこんな穴にはならない、そもそもここは何処などだろう


周りを確認すると少女が私を見上げていた


「発芽して一週間で大人の身体まで育っているのは凄いでち、流石咲夜の花粉は凄いでち性格は別にして卯月も強力なアルラウネなだけはあるでち」

少女が意味の分からない事を言っている


発芽とは何のことだろう、あるなんたらとは何だろうか?


「お嬢ちゃんここは何処なのかしら?東京?それとも群馬あたり迄運ばれたのかしら?」

私の問いに首をかしげたあと何か考えている様だ


「もしかして転生者でち?前世の記憶が有るのでち?」

少女がまた意味の分からない事を言っている


転生者?前世の記憶?ちょっとまって!うそでしょ有り得ない、そうかこれは夢だここはホテルで隣に先輩の横で寝ているのだ、上手くお持ち帰られる事に成功した早く起きなければ・・・


「状況が把握できないみたいでち、付いて来るでち」

森の奥に向かって少女が歩いて行く


不思議の国のアリスのように少女を追うべきだろうか?それで夢から覚めるかもしれない、そんな期待はいつまで待っても叶えられなかった、高校のカースト下位のキモオタ共が憧れている「異世界転生」に巻き込まれたのだろうか?


最悪だ、こんなはずでは無かった、ウザイ親から離れようやく東京での1人暮らしの夢が叶った矢先にこれだそんな私の親不孝な18年と少しの人生の報いを受ける事になった、地獄だ修羅界にでも落とされたのだろうか後で思い返せば明らかに間違った認識だがこれから私に起こる事態は地獄だった


拒否権も無く殺し合いの技を教え込まれ毒の使い方や呪いのかけ方そして魔法を教えられた、サボることなんて不可能だ、気を抜くと死んでしまうだろう、半年の間私はまさしく地獄にいたのだ、親不孝の報いが半年で済んだと思えば安いモノかも知れない


ようやく落ち着いて前世の行いを反省出来るようになっていた、それまではただただ後悔しか無かった、その頃には自分がアルラウネと言うモンスターだと理解した、悪い事ばかりでは無いこの世界では種族として力を持っている様だ、その中でも私は上位の個体同士が結ばれた種から芽吹いている


追い詰められた結果ではあるが半年の努力を評価されてこの森の主であるアンジュ様に気に入られている

「卯月の種とは思えないでち、流石カオリママとイライザ様と血で育った咲夜の花粉の力は凄いでち」


ちなみに私は種が発芽した後からツクモ様と言うダークエルフの女性から血を頂いたそうだ、彼女もその実力でこの森でアンジュ様から師匠と敬意をもって優遇されている、彼女から「如月」と言う名を付けて貰った、ここに至って自分の転生は恵まれれいると実感している


親ガチャと言って良いか分からないが十分に当たりだろう、前世で言えば芸能二世といったところだろうか、シンデレラのように継母や義姉にイジメられる事も無い、地獄の様な修行も今思えばこの世界で生き抜くためには必要不可欠だと理解できる、前世の親不孝に対する償いを少しでもこの世界で果たそうと思えた

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