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137.会談

「初めてお目にかかりますモルガン殿、ケイシャと申しますクローシス国の代表と思って頂いて結構です」

会談の申し入れに対して思った以上に速い対応があった


戦いの場は海戦からテーブルの上の交渉に移行した、その戦場にたった2人で乗り込んできた相手には敬意をこめて叩き潰してやろう


「停戦して軍を引くのであれば王を返そう、此方の戦費を負担して頂けるので有ればだがな、開戦の切っ掛けになった島の領有権も認めてもらおうか」


「停戦は我が国にとっても歓迎するところですが戦費の負担は承知しかねます、王は最早不要です、加工して港の石材にでも使用して頂いて結構です、脆くて石材としてすら役立たずであれば我が国が出したゴミですのでお引き取り致します」

私の要求に対して予想外の条件を提示してきた


随行しているエルフの女がこの話を止めもせず楽しげにまるで他人事のように話を聞いている、つい最近この空気を感じた事がある、カオリ様の連れてきたケイシャ様だ、クローシス国の代表と同じ名だがケイシャ様の話しが本当であれば祖国の功績のある王女の名を付けたのであろう


「生きのいい奴に力を貸しているではないか、ツクモ、本当にお前もまだ存在していたのだな」

島で高みの見物をしていた筈のケイシャ殿の声がした、サンゴ様も一緒だ


「よく私の名を名付けたものだ、兄を追放して王位を簒奪した女なのだぞ」

次いで相手の代表に声をかける


「お前の父が名付けたのか?こうなることを狙っていた様だな、気に入った、同じ名のよしみで力を貸してやる、今頃王城を奪うために面白い奴らが暴れているだろう、良い余興だここでも見える様にしてやろう」





テーブルの上に我が国の首都の王城が魔法で映し出された、城の上空に魔法陣が描かれようとしている、その魔法陣が完成すると黒い雨が降り注いだ、何の魔法だ?自分も魔法は取得しているが魔法陣から術式は予想出来ない、一部に錬金術で使用するものが読み取れただけだ


城に降った黒い雨が文字になって城壁を覆う、ルーンだ私の知るものと少し差異は見られるが間違いないだろう、見ていると城壁や城を築いていた石材が崩れ形をかえストーンゴーレムに変化している、事前に知らされていないんだろう正面に座るモリガン殿の顔が驚きが読みとれた


自分も表情に出さない様に必死だ、周囲に目をやるとツクモ様に声をかけた女性がその光景を満足そうに眺めていた


「ケイシャあれはお前の弟子の仕業か?」

ツクモ様がこの沈黙を打ち破る


「卯月と言う「法王国」の魔術師だ、人間かどうかは分からないが大したものだろう、私が彼女の魔法を誇る資格は無いが、聞いていた以上の手際だ、見るが良い、もう半分以上がゴーレムに変化している、もう少しで城が消えそうだ」

王城の光景に目を戻すとゴーレム達が城内にいた人間を掴んで放り出し追い払いながら城内の宝物庫や武器庫の中味を運び出しながら新たなゴーレムが産まれると戦利品を抱えて東側を目指して列を組んで進んでいる


「あれはこの後辺境伯の領地を目指して進んでいく新たな王都を築く材料になる予定だ、好きに使って貰って構わない」

この言葉は私に向けたモノだろう、眩暈がするがこれも表情に出さないよう我慢した


「さてモルガン殿、ウルリクに妃を見繕うと言っていたが、丁度いい、目の前の女はどうだ?この後クローシス国の王女になる女性だ、些か年上だがまだまだ美しい世継ぎを産むの十分間に合うのではないか?頼りない息子を引っ張ってくれそうではないか、我も約束を果せて肩の荷が下りると言うものだ」


「持参金も十分に頂けるだろう、そこはこれから交渉してくれ、婿入りさせるのも一興かな、そうなっても我が義理を果した事には変わりがないと思ってくれよ」


「サンゴ様お戯れを、ケイシャ殿もお困りでしょう、そこまでの決定権はないと推測しますが」

サンゴと言う名の様だ、好き勝手な事を


不愉快に思いながらも今の話を考える、ここまでの状況に追い込まれたので有れば私自身すら交渉の材料なのだ、どうせなら高く売りつけなけらばならないし、今後の自分の立場も守らなくてはならない


「相手は予想以上に冷静な様だ、ウルリクを呼んだらどうだ?2人に任せてみたら良いではないか、ケイシャ姫にも男を選ぶ権利があるだろう、モルガン殿も息子は1人だけだったか?」

私の意思などお構いなし話が進んでいく、たまったものでは無い


「どんな男なのかは知りませんが、私より強いのが最低条件です、これだけは譲れません」

つい余計な事をいってしまった、明らかな失言だ


「話が早くて助かる、お前は大鷲を駆って戦況を見守っていたな?モルガン殿の息子もグリフォンに乗れるのだろう丁度いい、見合いと言っては何だが2人で遊覧飛行でもしてこの先の国の事を話し合ってみたら良いだろう、どう思うかねケイシャ姫」

今度は直接私に話が向けられた


「良いですね、私の飛行は少し激しいですがウルリク殿についてこれますか?途中で海に落ちる様な殿方には私をリードする事は出来ませんが大丈夫でしょうか?」

もういい、どんな男か知らないが、もしかしたら私好みの男かも知れないし顔を拝んでやろう、気に入らなければ海に叩い落としてやればいい、それくらいで今後の交渉に悪影響は起きないだろう、尤も相手が30になった私を気に入るのかも不明だがこうでも言わないと話が進まないだろう

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