136.覚悟
「頂きます」
宮殿に戻り400年ぶりの握り飯を食卓に置いて一人だが食前の挨拶をする
床に命と魂を使いつくした使者だった者がころがっている、これはいけない先にゴミ片付けよう魔法で庭の池に放り込み飼っている肉食魚が骨すらのこさず片付けてくれた
某のスキル「影武者」の素材にした残りかすだ、大した魔力も無く詰まらない魂だったため少女の身体しか再現できなかった、これでも十分と乗り込んだが、侮りが過ぎた様だ、あの少女にも勝利は困難だった、ヨルムンガンド以外にも蜂を従えていた今も某の宮殿の周囲を見張っているモノと同じ蜂だ
誤認を誘導して何とか誤魔化して引き上げた今回の「影武者」の使い方が呪いの要素もあったためダークエルフの少女が無理矢理戦場に送り込まれ様に見えたのだろう、真実に気付かれる前に早々に魔法で逃げ出したが思わぬ土産が手に入った
「頂きます」
食事の前の挨拶からやり直した
実に美味かった、思い出がそうさせたのか自分の知る米より美味い梅干しは自分の知る梅干しより塩が少ないがカツオ出汁がきいていた、醤油で味を付けたカツオ節も美味い、焼いた魚の具も最高だった、個人的には礼に置いてきた刀以上の価値はあった
引き揚げるための方便であったが興が覚めたのは事実だ、城に送り込んだ役立たず共は制圧された様だが義理は果たした、後は酒のつまみ代わりに観戦しよう、まだ残った船が戦意を保っている様だ、王以上に統率力を持った者が残っていると見える
船で某の精神干渉を弾いた女がいたあいつだろう、某を恐れたのか王が邪魔だっのかは判断できないが船で邪魔はしなかった、結界を張り直し分身を造って再び琥珀の中で眠るまでの娯楽ができた、相手の魔術師が仕掛けてくる恐れもある監視の蜂は宮殿には侵入しないがまだ見張っている、もう少し楽しめそうだ
大鷲を駆り上空から戦況を見守っていたがダークエルフの少女に煽られ城に向かった王は帰らす、戦闘の音も絶えてしまった、最初に城を発見し偵察した時にすぐ飛んできた脅しの魔法や矢は飛んでこない、侵入した王たちの迎撃で手が回らない訳ではなさそうだ
しばらく監視を継続していると城壁に石像が並べられている、その一部は投石機の石弾の横にも並べられた、侵入した我が軍の戦士達の成れの果てだろう、追い返さないでいた訳がわかった、勝利を見せつける為だ、これ以上戦うのであれば石化した我が国の戦士達を投石機の弾にして使用するという脅しだろう
古来は切り落とした生首を使う非道な方法があった、上空から見れば通常の魔法が込められた弾はまだ十分に用意されている、今すぐに石弾の代わりにしないと思うがそれは相手の気分次第だ、反撃される恐れが無い時なら尚更人は平気で残虐な事でもやってしまう事がある
王やさっきのダークエルフの少女が何か戦果をあげていたのなら、敵にとって最高の報復手段だ、例えば王をうち取ったが母を打ち漏らした場合などが最悪だ跡取りの息子を殺されたとすれ復讐が必要だ、そして簡単にそれが出来る力を持っているのだ、何一つ躊躇う理由など無いだろう
引続き監視していると城の中央に建つ尖塔の上に人影が見えた弓を構えている、此方を狙うのかと警戒したが標的は船団の旗艦の船首像だった
魔法の弓を使ったのだろう王の妃をモデルにしたそれの心臓の位置に矢が突き刺さるのを魔法で視力を強化していた私の目が捕らえた、矢文かも知れない、急いで旗艦に戻り確認した
推測通り矢文であり、内容は会談したいのでの全権をもった国の代表を立て城に出向けという内容だった、現状で王の生死が不明である以上自分が軍の階級は最上位だ、下位であるが王位継承権もある、此方の内情をどこまで把握しているかは不明だが実にいやらしい内容だ
それは王の生死を伏せている事だ、国の分裂を狙っているのだろう、王の不在をあるいは死を知ればお妃さまはどの様な行動を起こすだろうか?直ぐに王子を次の王として弔い合戦となるだろうか?それ以前に王位を争う事になる可能性のある王の兄弟もいる、継承争いにでも発展すればオロス国の思う壺だ
その上で捕えていた王を支援して更なる混乱を誘発する気かも知れない、今王は晒されちいる戦士達と同じ様に石化されて相手の戦利品にされていると考えた方が良いだろう、身代金を積んででも王を取り戻すのが無難だろうか?
相手が本国にも使者を送って混乱を誘発するかも知れない、急いで海軍だけでも意思統一して早く会談に応じて解決しなければ相手に好きなように国を乱されてしまう
覚悟を決めなければいかない時が来たようだ謀反人となってもクローシス国にとって最善の道を選択する、急いで領地にいる母に魔法で連絡をとった
「そうですか、兄がそのような事に、可能なら石像のまま引き取る様に、庭を飾る物が欲しかったのです、国内の事は任せておきなさい、王家が焦って先に切り札を使って無駄にしたようです、ケイシャよく覚悟を決ましたね貴女を王家に渡さず軍で鍛えた甲斐が有ります」
母の回答が思わせ振りで恐ろしいが国の代表として会談に臨めるのは有り難い、母が暴走する前に話を纏めたいところだ




