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134/185

134.盟約

「ツクモ様お力をお借りしたく参上いたしました」

穏やかに永久の余生を楽しんでいた所に客人が訪れた


誰も覚えていないだろうと思っていたが古い友人の残した契約の巻物を持参している、巻物一巻に付き一度だけ力を貸す約定で具体的な内容は決められていない、口約束に等しい強制力もないモノだ、詰まらない用件なら会ってやった上に生きてこの宮殿を出れる事で盟約を果したという事も可能だ


それでも願いに応えたのはその願いが某の興味を引いたからだ、ここを訪れた者が仕える王家が戦を仕掛けたが予想以上に敵が手強いという、戦端を開くことなく泣きついてきたのは訳があった、いざ海戦を仕掛ようとしたが敵は海上に城を浮かべて待ち受けているという


遠見の水晶玉で確認してみれば成程城が浮んでいた、誰がこのような事をと城内迄確認しようとすれば水晶級が砕け散った、面白い退屈な時間が少しは紛れよう、別の水晶玉を用意して城外から観察すると六角形の城の端にマストが立ち帆の役目を果す蔓性の植物が茂っている


監視の水晶玉を破壊出来たことからこの城には高位の魔術師が居る、敵の戦力を推測していると使い魔と思われる昆虫が宮殿に侵入を試みている魔法で毒薬を散布してで歓迎したが通用しない、仕方なく火の精霊をけしかけて焼きつくした、海戦が始まる前に遠距離の魔術戦が始まりそうだ


「先に手出しをしたのはそちらだ、誰に喧嘩を売ったか教えてやろう」


「天津甕星に奉る、我が敵は星神の敵にて裁きを下し給え」

神に助力を乞うと隕石がこの星に導かれて空に輝きながら海上の城に向かう


あえて長距離から支援を願った国の船団の後方から斜めに落下させた、直撃まで時間が有る、精々恐怖を味わうが良かろう


「仕事は終わった、早々に立ち去れ」

興味を失い客を追い出そうとすると信じられないものが水晶玉に映っていた


目標にした城を巨大な亀が背負って空に浮かび、私が導いた星は空しく海に突き刺さり衝撃で水蒸気爆発と津波を引き起こすに留まった、そして返礼とばかり凄まじい雷撃が某の宮殿を襲ったそしてその雷撃は宮殿を守る結界を消滅させた、だが宮殿や庭には被害が一切観られない


追撃が無いまま時間が経過し浮んでいた城が再び海上に静かに着水した、返礼の雷撃はこの世界で広く使用されている魔法では無い「建御雷神」に起因した術式を態々選んで打ち込んできた、その上結界だけを破壊する手際だ、明らかに警告であろう


「手を出すな、同郷のよしみで一度だけは見逃してやろう」

故郷の神話に準えた術を使いそう伝えたい様だ


某の恐怖を煽る演出を手加減と受け止めたのかも知れない、舐められた上に一本取られた形だこのまま黙って引き下がるのはあまりに癪だ、遠距離戦では埒が明かない、久しぶりに自分の身体を動かそう、延命の為に停止させていた時間を動かすとしよう、幻影の身体が消え本当の身体を封じていた琥珀が砕ける


「十分な仕事は果たしたこれ以降は某の喧嘩だ早々に立ち去れ!」


「まってくれ、話が違う、俺に従うのではないのか?」


「礼節も覚悟も無い馬鹿をこの宮殿に足を踏み入れさせた某の過ちだった、それでも素晴らしい出会いを捧げてくれ当た事に免じて願いは聞き届けてやろう追加の代償にお前の命と魂を頂く」

この馬鹿のせい台無しだ、スキルを使い挨拶の準備を整える


願いを聞き届けると言ったが盟約も使者の命も関係ない、たまたま目的が一致しただけだ自分の意思で楽しい戦いに挑むとしよう





楽しい旅行の筈だったのに監視の術式を破っただけでメテオをぶち込まれた、日本で得たファンタジーの知識もあり存在は知っていたが使われたの今回が初めてだ


魔法で森から見守っていたドライアード達が魔法の発動を察知して知らせてくれたおかげで香織に伝える時間があった、香織は玄武を召喚して城を浮上させて回避した


「この程度の威力なら聖域を展開して玄武で強化した方が魔力を節約出来ましたね」

メテオを挨拶代わりにぶち込む敵も魔力的に勿体ない事をしたとしか思っていない香織も信じられない


港に接舷していたお陰で氷で固定して城と一緒に浮上したためこちらの船は無事だ、沈没は免れたようだが敵の船の方に被害が見られる


「チヒロ様我らの指定する術式で反撃を実施願います、相手が賢明であればこれ以上の戦いは回避できるでしょう」


アルラウネ達が魔法陣を展開してサポートして森に居るドライアード達とリンクして一つの儀式魔法を完成させて放った


「ヒルダママ、敵の本拠地と推測される地点に術式の直撃を確認したでち、与えた被害は結界の破壊に留まっているでち、二の矢を放つでちか?」

アンジュが弾着観測して追撃を要求してる


「一旦ここで止めて様子を見ます、相手の儀式魔法も直上から近距離で発動されいたなら回避では不可能でした、此方も結界の破壊でだけで留めたのです、追撃は不要です香織も良いですね」

釘を刺さないと暴走しそうな2人がここに居る


注意しておかないと無駄に双方の被害が拡大するだろう、メテオを打ち込んできた敵とは互いに牽制しながらにらみ合いになるだろう、モルガン殿も城の管制室で相手の船団の出方を見る様だ、ウルリク王は「法王国」が提供した船で出港し城の周囲を旋回しながら待機している





珊瑚を島の守りに残しておいて正解だった、今を絶好の機会と判断して玄武で浮遊したまま戦闘に突入しろと騒いだ筈だ、城で敵船団に突撃して沈めてしまえば良いと言い出しかねない、今頃ケイシャ殿と共に観戦して文句を言っている事だろう


「その内別動隊を編成して島か首都を強襲する筈だ」

と自分で言い出して城を出たのは珊瑚の選択だ


この状況では和平以外に敵の採れる選択肢は少ない、その中で可能性の高いのは島か首都への上陸だ、もう一つが少数精鋭でこの城を占拠する事だとモルガン殿が予想している、軍議の結果メテオをぶち込んできた奴は私とヒルダ姉さんが対応する事になってそれ以外はオロス国で対処する


アンジュは城の迷宮の管理と侵入者の対処だ2人のダークエルフが出番を待っているらしいポーションで肌の色を変えてまでここに来たのだ、アンジュも活躍の場を用意してやりたいのだろう


ポーションで肌の色を変えているのはヒルダ姉さんも同じだ私の血で育ったアルラウネがお供についている、アンジュの希望で血を与えたのに私が情報源にしていた事を嫌ってヒルダ姉さん所に左遷された娘達の内の三人だ、後は任せても良い気がするがメテオをぶち込んでくれた相手の動きだけが気がかりだ

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