133.応援
私達は今ゲオルグ様の指示で北の僻地に来ている、正確にはようやく許可が下りてアンジュ様の警護とお世話のために駆け付ける事が出来た
「アデル、その白い肌には違和感しかありませんね、一応エルフに見えますが髪の色が銀髪のままでは目立ちますよ」
髪まで赤く染めたクレールが私をからかって来た
「銀髪は私の自慢なのよ、エルフにだって銀髪は居るわよ、貴女こそ服装に気を使いなさいよまるで暗殺者じゃないの私みたいに冒険者に見える様にしないと駄目よ」
グスタフ様から頂いたポーションで肌の色を一時的に変えてアンジュ様がクジラのアンデットで迎えに来るのを待っている
「今回は世界樹に乗り換えた似非魔王のヒルダも一緒なんでしょ大丈夫なの?」
私も同じように気になっている事を口にしている
「アンジュ様がヒルダママと慕っている以上私に不満はないわ」
口ではお利口な言葉を返しながらも自分も気に入らない
「そうよね、どれだけの力を持っているか見てやりましょう」
クレールも私の言葉から不満を嗅ぎ取ったようでそれ以上愚痴を言う事は無かった
今の状況で利の有る選択をするための準備をしよう、装備は整えた後は今後の予想される事態とその際の対応を頭の中で整理し優先順位を整理していく
状況が許せばヒルダをダークエルフの側に引き戻したいところだが要らぬ対立や混乱を起こしては意味が無いしヒルダと同行する事に対してゲオルグ様から指示は出されてはいない、逆に言えば手を出すなという指示も無い事になる、消せと言われるのであれば命を対価にしてもやり遂げる覚悟はあるがアンジュ様はそれを望まれない事は分かっている
そう、分かっているからこそヒルダが気に入らないのだ、勇者に対してもそうだ、あれだけの力を持ちながら何故世界を自分の物にしようと思わないのだ、アンジュ様から「蟲毒壺」で作成された魔道具を優先的にクレール共に授かっている
あの勇者が魔王を目指すのであればこの手に有るのは魔道具に加えて「蟲毒壺」スキルも在るはずなのだ、何を恐れているのだろう私なら躊躇はしないだろう、今は白い身体に刺青の様な形を見せつけながらアンジュ様がくれた魔道具が出番を待っている
戦時に敵国の暗部からアンジュ様を守るのが今回の一番重要な任務だ、出番が無いのが一番であるがせめて1人でも私達2人の前まで到達出来る事を期待している、クレールもそうだろう、いや2人は必要だクレールと獲物の奪い合いになってしまう
「香織が「同盟」内のごたごたに介入したみたいなの、もしかしたら香織がごたごたを起こした張本人かもしれないわ」
ユリアに現状を伝える
「チヒロ様に力を借りたいそうですね「法王国」に内緒で戦力を補強したいのでしょうけど遅かれ早かれ露見するでしょうに、そこまでして肩入れしたい人物がいるのでしょうね」
「ユリア「同盟」内の情報は掴めるかヘンリック殿と懇意にしているのだろう?」
一年ほど前にユリアが彼の結婚3周年を祝って神殿で祝福の儀式を執り行っていたのを覚えている
「ヘンリック殿はもう「法王国」サイドの人間とみなされていて最新の情報は逆に入手しにくいかと思います、懇意にしていた冒険者の多くが「法王国」内の支部に移籍しているため「同盟」内での影響力は低下しているのでは無いかと」
ユリアに確認したが私の知る以上の情報はないようだ
「同盟」内にある神殿の審問官達なら最新の情報を掴んでいるだろうが、香織の事情を考慮すると頼る訳にはいかないだろう
「「法王国」に冒険者の仕事など有るのですか?元々実入りの少ない左遷先だったのでしょう」
一時は食い詰めた冒険者崩れが各地で問題を起こしていた
「セーラ様がカトレア殿と謀って意図的にモンスター退治の仕事を用意しているようです、八百長のようなモノらしいですね」
「カトレア殿が退治されるための魔獣を用意しているとか、普段の行動が目に余る厄介な冒険者の矯正も兼ねている様で評判の最悪な者は依頼を果せず殉職したり行方不明になるそうですよ」
ユリアは聖女だった頃の人脈があり審問官の中にもパイプがある
「法王国」としても私達と連携したいだろうし勿論警戒もしているはずだ、そのため一定の情報交換と腹の探り合いをしている、こちら側の窓口はユリアが担っている
「何の準備もせずに「同盟」に行きたくないのよね、アンジュを慕っているダークエルフも同行すると聞いているの、あまり軽く見られる様な事はさけたいわ」
カミラ様と出会った後に共に戦っていた筈なのだがカミラ様が魔王を見限り勇者と闇取引をした事を嫌って出ていった者達だアデルとクレールと名前も伝えられているのだが記憶に無い名前だった
「ドライアードを同行させるともめそうだからアンジュがこちらに移籍させたアルラウネの中から同行者を選ぶことにするわ、三人程連れていく事にするわね、ヒルダの身体で参加資する事にするわ」
平行思考でマチルダの身体とチヒロの身体を森に残しておけるため心配なく出かけられる
イザベルの身体も同時に投入する様な仕事では無いだろう、アンジュの御付きのダークエルフに活躍の場を譲ってやらなくはいけない、「同盟」を構成する国の暗部程度であればそこまでの強敵は居ないだろう、いたとしても香織かイライザが遊びたいだろう
「ユリア何か土産を持って帰ってくるよ」
私の出番は無いだろうこの時はまだ観光程度に思っていた




