128.開戦準備
卯月殿と言う魔術師が私達を夢の中に誘う、現実と変わらない世界を感じるしかも1人1人が別の夢を
見る訳では無い、同じ夢を皆で共有しているのだ、そんな世界で「法王国」から贈られた船の操船技術やその船を使った戦闘の訓練を行う
「今は幾らでも失敗して良いのだ、実戦までにあらゆる可能性に挑戦しろ、ここでなら何度船を沈めても沈められれば良い、敵の船を道連れにして沈む事すら体験できる、戦友と共に船長であるウルリク様の指示に従い船を手足として扱えるようになれ」
イライザ様が叫ぶ、アンジュ様が使役する蜂や蟻で敵軍の船の数や性能を割り出し、敵兵の練度を最高にに想定して海戦を挑み続けた
何度も一方的に船を沈められたが、やがて善戦出来るようになり、ついに勝利するまでに我々の練度が磨かれていった、そして現実に船を操る時がやって来た春が訪れるまでにあと1月を切り海も多少は穏やかになる日も増えて来た、ついに現実の世界で船を操る時が来たのだ
敵軍の操る船に大砲の砲弾を叩き込み上空から襲って来る大鷲を駆る騎士が投下する火炎樽を操船で躱し避けきれ無かったものを素早く消火し射手がバリスタで叩き落とすのだ、何度も夢の中で成功させたのだ現実の世界でもやり遂げる
母が操る氷山を的に大砲を叩き込み魔法で飛行する凧にバリスタの矢を命中させた、母も指導を受け魔力を上昇させて魔法の腕を上げていった
私は操船や戦闘の指揮と同時にグリフォンを駆り仮想敵である大鷲を操る騎士との空中戦を想定した訓練も行った、大鷲を操るスセリに何度も海に叩き落とされた、そしてようやくスセリを大鷲から落としたと思ったら槍を両手で持ち落下するスセリを大鷲が足で槍を掴んで上昇し宙返りして再びスセリが大鷲にまたがっていた
「従魔と心を通わせればウルリク様のグルフォンでも出来る事でしょう」
私を海に落とした後にスセリから言われた
一人でグリフォンを駆り何度も練習したがい上手く行かない、スセリから贈られた落下速度を落とすベルトが無ければ何度も死んでいる事だろう、訓練を重ね3回に1回程度は勝てるようになったが落ちた後に空中でグリフォンに拾われて再度騎乗する事は成功出来なかった
「ウルリク様、失礼ですが雑念が有るのではないですか?グリフォンともっと真剣に向き合い心を通わせて下さい」
スセリが私に言うのだが、雑念が消えない、成功させてスセリから賞賛の言葉を浴びたいという雑念に捕らわれているのだ
実際の戦闘こそ開始されてはいないが年の初めに島の割譲を拒否した際に戦争は始まっている、陸戦では国境に山脈が存在するお陰で侵攻を防げるだろう峠の雪が解けても問題は無い筈だ兵力差はあるが地形が助けてくれる兵力が同数であれば我が軍の方が強い
問題は海だ軍船の数は10倍近い、遠洋に派遣された船も含んでいるため春に動員されるであろう船は最大で4倍程度だ、必要であればこれに漁船や商戦を加えることも出来るだろう、と言っ言っそこまでの動員は無いとみている戦争には金がかかる
海軍の質も高いため精鋭の軍を中心にで2倍程度の派遣と見積もっている、期待も込めての予想かも知れないが私が敵ならそうする、余裕があれば実戦訓練を兼ねて練度の低い艦隊を数を3倍程度に増やして派遣するかもしれないが経済的には選びたくない選択だ
予想される衝突まで一月をきった頃に救世主が現われた
「冬を司る神々よ精霊達よ、この場に貴方達の楽園を残し置かれん事を願う、コキュートスの如き融ける事の無き永劫の氷塊をこの海上に顕現させたまえ」
海上にその足で立ち、高らかに詠唱が響いた
その後一辺の長さが一キロを超える六角形の氷の城が海上に浮いていた、その六辺の先に巨大なマストが屹立しているこの城は速度は出ないが航行できるのだ、周囲にはあえて破棄できる普通の氷で艀が設置されており港として機能する
信じられない城の中央部に神殿が配され兵舎や倉庫まで氷で出来ていた、食料もアンジュがクジラで輸送してくれた、それに加えて大型の投石機が供与された、先に供与された軍船の大砲の倍以上の射程を誇る
連射こそ出来ないが通用の石弾に加え魔石を中央に封じた石弾は空中で破裂し拳大の石の雨を降らす事が出来る、流石に兵員は自前で準備しないといかないが雑役をこなす石のゴーレムも用意されていた
戦端が開かれる前に大きな送り物を渡すことが出来た、新しく習得した魔法の実験を兼ねている、海上に浮かぶ溶ける事にない氷の城は五稜郭のデザインを盗用し・・・いやリスペクトして六角に変えて大きくしたものだ
中心部にアメリカのペンタゴンの様ないやこの場合はヘキサゴンとなるのか、司令部となる建物を配し中央に神殿を置いてその尖塔から周囲を見渡せる様にした
サクヤに出会ったあと卯月が覚醒した、いやのぼせて存在しないはずのやる気を出している、アルラウネにも恋心が存在する様だ、やる気と言ってもあくまで得意分野に限られるのだが、卯月は様々な兵器の試作品を満ち込み新たな魔法の実験をやるつもりだ
早い段階で気が付いて禁止していなければその中には保有してはならず、製造してはならず、持ち込ませてはなならい危機なモノが含まれていた事だろう
気付いた時にすぐに取りあげて厳重に封印した、アレの長期に渡る悪影響は「蟲毒壺」のスキルで克服出来ることを確認したが日本人の1人として許す事は出来なかった、植物として恩恵を受ける部分は有効活用を認めた、「蟲毒壺」を通じて情報提供してくれたアンジュへの褒美でもある
イライザから現状を確認したが隣国の暗部の策動に対応する為の人員が不足している以外は支援はこれで十分だという事だった、審問官を動員する許可は降りないだろう、アンジュを通してゲオルグ老に力を借りよう、ヒルダ姉さんにも協力を依頼した
一週間ほど滞在出来る時間を用意していたがアンジュが次に訪れるまでクジラのモンスターを探して今度はテイムするとしよう前回は食欲に負けて討伐してしまった
ビーストテイマーのスキルで強化すればアンジュのクジラの様な事が出来るはずだ、正直あれは羨ましいアイテムボックスと違い生き物を収容して移動できるメリットは大きい




