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125.領有権

いま我がこの世界に肉体を持ち存在するためにはスセリの魔力が必要だ、カオリ様とアンジュの力で呼び出され良いように使われた後、維持するためにスセリから魔力の供給を受けている


アンジュと2人で好き勝手していた時は楽しかったが今は魔力の制限があり振るえる力にも限界がある、それでもそれなりにこの世界を満喫しているのが我ながら不思議だ


週一でアンジュが来た時にスセリと共に大きな力を行使してこの島を開拓していく、後はカオリ様が月一くらいの不定期でアンジュと共にやって来ては温泉やサウナを造ったり火山活動を利用して新しい島を産み出し島の面積を拡大したりしていく


その島々の細部の仕上げが我の仕事だ、スセリとの出会いは決して好ましい形では無かったが今になってはお互い不思議な縁を感じて上手くやっている、我がアンジュと共に力を誇示した事を利用してカールが交渉でこの島の自治を勝ち取り治めている


自治と言っても30人程からのスタートだ、かつての彼らの領地から人を招いているが季節が冬のため2月をかけてようやく100人まで増えたくらいだ


そんな時にこの島を領有している王の母親が島を訪れた、目的はこの島の領有権をめぐって隣国から圧力を受けているという注意喚起と海軍を派遣する事について許可を取ることだった、一応話し合いに立ち合いはしたがその件はカールとこの島に派遣されているスセリに任せる事にした


「仮に隣国が軍を派遣してくるとして冬の最中に行動を起こす可能性は有るのでしょうか?」

スセリが訪ねる


「軍を動員するとすれば春になると思います、雪が多く大軍の動員は難しいでしょう、ですが精鋭を集めた上陸作戦は有り得ます、我が国の港が利用出来るのは後一月も無いでしょう、それ以降こちらは船を出すことが出来ません」

王の母が答えた


「隣国は国土の海岸線が南に続いており真冬でも海軍を動かせる港があります、勿論輪が国の首都を強襲する事も不可能になりますがこの島は違います、島の位置は首都より北ですが海流の恩恵で接舷する場所は幾らでもあるでしょう」

説明は続いた


「ウルリヒ殿はこの島を戦になっても守る気でおられるのでしょうか?」

カールが問う


「もちろんです、この島を失い港が整備されると我が国の首都にある港は中継港としての価値が下がり国としてじり貧になります、この島が無ければ現状維持は可能ですが、皮肉な事にこの島の存在が逆にこの国を窮地に追い込むことになります」

思ったより深刻な様だ、黙って聞いている場合ではなさそうだ


「我に良い考えがある、今からそれを話すが採用するかどうかはそちらに任せよう」

話しに割り込んだ


「軍船を船だけ一隻用意してくれれば良い、それをカールに任せて後は我に任せてくれれば隣国の海軍を壊滅してやろう」


「王から隣国に島の権利を譲ると言えばいい、売れるなら精々高値を吹っ掛ければ良いだろう」


「形式的に引き渡し、領主が着任した後に反乱を起こしてやる、一旦名目だけでも相手の領有が認めれたら反乱であり独立国だ、当然隣国は怒って鎮圧のため軍を送ってくる引けなくなった奴らを次々に沈めてやる」

我の言葉に帰って来たのは沈黙だ


最長でも一週間耐えればアンジュがクジラでやってくる、勇ましい事をいったが船は沈めなくとも人だけ石化して船ごと軍事物資も頂けるだろう我ながらけち臭い事だ、船員はアンデットで用意出来る、また楽しい時間が訪れるだろうと期待が膨らむ


「珊瑚様、隣国の海軍は強力です、貴女様の力は身に染みていますが大丈夫なのでしょうか?」

心配なのだろう、すぐには決められないようだ


「珊瑚様、私が出向いて港の機能ごと海軍を無力化させてきましょう、カオリ様より火山を操る力を与えられています、港の出入り口を封鎖するだけで済みます」

スセリが積極的だが些か温厚な意見を述べる


「人的な被害も最小限に抑える事ができるでしょう、国母様の許可さえあれば今すぐにでも、グリフォンを駆れば5日も有れば目的の港まで到着出来るでしょう」

カオリ様とイライザ様に鍛えられて頭のネジが何本か抜けてしまったのだろうか?


火山を操る力もテイムして与えられたグリフォンもこの島を発展させるために与えられたモノのはずだ、面白そうだから口出しして止める気は無いが今回の様な事に対応するためでは無い、もっとも我が止めることはおかしな話であろう


「面白い提案ですスセリ殿、私を連れてグリフォンで王城まで来ていただくことは可能でしょうか?ウルリヒも交えて今後の国の舵取りに貴女の知恵と力をお借りしたい」

スセリは2つ返事でその話を受けた


「スセリこの水鏡を持って行っ欲しい、これを使えば我もこの島にいたまま王城での会議に参加出来る」

この島を我とスセリが共に留守にする訳にはいかない


相手にも何か切り札が有るかも知れないのだ、この世界に船を転移させる魔法が存在するかなど分からないが、私なら海上であればある程度の距離を運ぶことが可能だ、此方と同じ手札が相手には無いと思って行動するのは愚かだ、そんな愚行の報いを受けて今我はここに居るのだから


この島で待機する事になった船の乗組員をカールが温泉やサウナに案内してもてなしているが半数ずつ船を降りて非常時に対する備えは疎かにしない様だ、なかなか優秀な部下を鍛えているいる、思えば女を寝取られた以外はある程度優秀な王かも知れない、それとも優秀なのは母親の方か?


今回の対応でその評価が出来るだろう、母親はそれなりに使える様だこれから王である息子の実力を見てやろう衛兵には外れが混じっていたが今回はどうだろうか?実力を見せるかも知れないし化けの皮が剝がれるかも知れない楽しみだ

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