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113.名案

「ずるいでち!ねたましいでち!うらやましいでち!」

思わず叫んでいた


リーゼロッテねえさんと「蟲毒壺」の情報共有をした時の事だ、新しい呪いの情報が私にもたらされたのだが詳しく聞いてみるとリーゼロッテねえさんはカオリママから直接その呪いを伝授されたというのだ


間接的に情報だけを貰っても喜びは半減だ「飯テロ」という言葉をスーザンというカオリママの子分の人狼のボスが言っていたがこれは「呪いテロ」だ新しい呪いの味を独り占めにしやがって・・・


「よし、幼児退行しての現実逃避のガス抜きは終わった、現実に向き合おう」

独り言をつぶやいて脳内のスイッチを切り替えた


あたちは海というモノを見たことが無い、呪いの元の邪神はその海を司っている神々一柱だという、カオリママの土産で子分の人狼達が食い尽くしたクジラという海の生き物がモンスター化したモノの骨が野晒しになっている


私はスーザンが品質管理という名のつまみ食いをしている牧場のオークのカウンセリングをしている幻術で味変してやって日々の種付けという苦行を喜びに変えているのだ、つまりスーザンには貸しがある、クジラの骨を譲ってもらい死霊魔術でアンデットにした、そして計画通りに空の空気をまるで水であるかのように泳ぐことが出来る個体が誕生した


暇つぶしにその作業を見ていたスーザンが


「何だよ肉はもどらね~のか、いぬっころじゃね~んだ骨はくえねぇ~んだよ」

カオリママから聞いていた通り喰い意地の汚さが伝わってくる、肉ならアンデットでも食うというのだろうか?


海への足が出来たとはいえ1人で海に出かけた事がバレると後がうるさい、共犯者をつくって事前に許可を取る事にした


「人狼のおねえちゃん、一緒に海に行かないでち?あたちはそこで新しい毒と呪いを探すでち、おねいちゃんは新しい食材を探しにいけばいいでち」

同じカオリママの従魔の縁でさそってみたが


「濡れんのは勘弁だな、他を当たってくれ、骨を譲ってやったんだ、土産は頼むぜ!」

と役に立たない


そこでカトレア様に相談したら同盟にいるアストリッド様に紹介状を書いて頂いた、事前に連絡も取ってくれるという話だ、以前痴話げんかの仲裁の為に花束を造ってやった甲斐性無しの2級吸血鬼のオスの番だという現地での案内もして貰えるらしい


カオリママにも許可を貰う代わりにある村の開拓に協力をする事を条件に出された、仕方が無いので引き受けて二流吸血鬼の土産に花の苗や種を用意したあと「法王国」の辺境にある村へと空を飛ぶクジラのアンデットで向かった





村人達が大騒ぎをしている今では村長になった元盗賊の男も武器を手に自警団を召集すべく山羊の角で造ったラッパを吹いている


騒ぎの元は村の上空を旋回している強大な化け物だ、瘴気を纏っているがどういう訳か周囲に拡散する様子は無い、そろそろカオリ様から連絡があったこの村を発展させるための応援が到着すると聞いていた日時ではある、もしかしてあれがそうなのだろうか?周囲に自警団のメンバーが集まって来た


「スセリの姉貴あれはアンデットみたいですが浄化は出来そうですか?」

村長が不安げに聞いてくる


「師匠に依頼していたこの村への応援かも知れません、もう少し様子を見て見ましょう」

自分を含めて皆を落ち着かせる為に話しかけた





アンジュがまた暴走している、直接あんなアンデットで目的地の上空に現れて村を混乱に陥れている、事前に報告を受けていたため、ビーストテイマーのスキルで監視していたから助かった、アンジュを目的座標にしてスキルで転移する


「アンジュ、こんな目立つモノで直接乗りつけちゃ駄目でしょう」

出会い頭に一叱り入れた


「カオリママ待ってたでち、すぐ村に降りるでち」

その言葉と共にクジラが下降する


地面に激突する寸前にアンジュが結界を展開した一面に彼岸花が咲き誇る広大な土葬の墓地が拡がる、大きな卒塔婆が目の前に立ちクジラがそこに吸い込まれた、そして結界が解かれると降下していた速度が消え去り浮遊感を感じる、私は空中で身体のバランスとって着地した、アンジュも無事に着地している


「アンジュ、やる前に説明しなさいよ、今のはなに?」

怒りよりも驚きと好奇心が勝っていた


「あたちの修行の成果でち、支配しているアンデットを固有結界に保管出来る様になったでち、褒めて欲しいでち」

アンジュが誇らしげに言う


「凄いわ、容量はどの位なの?」

聞きたくないが、聞かない訳にはいかないだろう、ここで怒れば正直に答えてはくれない


「分からないでち、まだまだ入りそうなのでち」


「今いくら位入っているの?」


「引っ越してから手当たり次第に野良アンデットを見つけては保護しているでち、多分三桁位でち」

100体前後だろうか?


「アンジュはそれを同時に展開できるの?」


「はいでち、カオリママのために何時でもはせ参じるでち」

頭が痛くなってきた


「それは頼もしいわね、定期的に数を教えてくれたらもっと嬉しいわ」

私を説教していたセーラ様の気持ちが今なら分かる


きっとこんな気持ちだったのだろう「蟲毒壺」と違いアンジュの能力は私が制限できないのが余計に恐ろしい、何か仕事を与えないと駄目だアンジュが海に行きたいと言っていたが何が目的だろうか?差し当たってはスセリが気にかけている村の開発だ


「スセリ、驚かせてしまったわね、私の血で育てたアルラウネのアンジュよ」

驚いて、固まっている村部人たちにも聞こえる様に大きな声で話しかけた


「カオリ様、先ほどの化け物は何なのですか?カオリ様が浄化されたのでしょうか?」

スセリが聞いてきた


成程、下から見るとそういう風にも見えるか突然巨大なアンデットが消滅したのだ、アンジュと会話は慌てて駆け付けてきたスセリには聞こえていないのだろう


「後で私から説明するわ、村が大変だと報告を受けたのだけど何があったか聞かせて欲しいわ」

アンジュに聞える様に大きな声で返事をした


こうでも言っておかないと嬉しそうにアンデットの自慢話を始める恐れがある


村長の家に案内されながら岩塩の鉱床を発見した事を聞いた、経済的な事は詳しくは無いが海の無い「法王国」で塩の価値が高い事は想像出来る、下手な事をすれば争いが起きるもとになるだろう


この村を含めた周辺地域を領地にしている貴族が誰なのかも私は知らない、荘園?だったかこの国で何と言うかはわからないけれど神殿の領地であれば問題は無い筈だがややこしい利権も絡んでくるだろう、その辺りの知識は私には無いセーラ様に相談するのが良いだろうか


そうだ、いっそ生贄にされた後に2人の神官が転生を果した聖地として神殿を建てる事で直轄地にしてししまえば良いだろう、アンジュもいるのだ「迷宮作成」で岩塩の鉱床の有る山を囲い込むように神殿を造らせようスセリが司祭になれば彼女達の成長を見守れる一石二鳥だ、我ながら名案だと思う

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