104.冒険者崩れ
「カトレア様せっかく神聖魔法を習得したのですからどこかで実際に治療をしてみませんか」
和平が継続した後落ち着いて来た時にイザベルが提案してきた
「訓練で出た負傷者で十分でしょう、毒も呪い被験者相手に練習できるのよ、カトレアが居ないと私の研究のモルモット共の頭を誰が修理してくれるというの」
ダリアが反対する
「それは私が治療しますよ、でも罪人の数も減って来ているでしょう、有効な研究なのは認めますが罪の無い者を被験者にされては困ります」
イザベルが反論する
ダリアの研究は凶悪な死刑囚を使って脳を外科的に施療して大人しくさせる方法だ、かつて魔法で洗脳や記憶操作・改竄の研究を「魔導国」で進め危険視されて追放された、八大貴族等の有力貴族の後ろ盾が無くダリアが誰かに抱えられる事を嫌ったためだ
わたしが仮に八大貴族の当主であったなら自分の手駒に出来ないなら殺しただろう、他家に奪われる様な事態も防がなくてはいけない、ダリアにとって幸いだったのが学園での師匠が追放という温情をかけたお陰だ、その後にエルダーリッチとなっていた私の師アシュノット様に拾われ私の妹弟子として腐れ縁が続いている
「どうです、治療の旅のついでに盗賊や山賊に落ちぶれた冒険者崩れ達で更生出来ない輩を実験台として確保すれば一石二鳥です、ダリア様も一緒に行きませんか」
悪くない話だが魔王城の留守はどうしたものか
カミラも出産したあとの子育てに忙しい娘が魔王の魔王の転生者の様で目が離しないときた
「魔王城の留守をどうするつもりですか?和平中とは言え空には出来ないでしょう」
ダリアが指摘した
「何のために弟子がいるのですか?一週間程度の観光と思えば良いのですカトレア様は「帰還」の神聖魔法も習得しておられます、それでも不安ならアンジュを呼べば良いでしょう」
「最近はよくカミラ様の子育てを手伝いに来ています、怪しい奴が来れば彼女の蜂で石にして後で対応すれば問題ありません」
イザベラが現実的な対応案を出してきた
「へ~、ずいぶんと柔軟な頭になって来たじゃない、良い傾向だわ褒美に一度騙されてあげる事にするわ、私にとって収穫が無ければ一度きりよ」
ダリアも乗り気になった、それなら試してみても良いだろう
魔王城の留守を弟子達に任せてカトレアの修行だか巡礼だかと言う名のモルモット狩りに出かけた、和平の効果で収入が減った傭兵や冒険者が副業を始めた、盗賊の真似事であったり、同じような境遇のクズ共と共に山賊になる者もいる、一部の有名な者は仕官するなり商人の専属の護衛になれる者もいるが戦う以外に脳の無い奴らの選択肢は少ない
地方の宿場町でカトレアがタダ働きをしている中酒場や、冒険者ギルドの支部に顔を出し獲物を探す事にした
「よう、姉ちゃんお前も仕事にあぶれた口か?最近はロクな依頼も無いが簡単に稼げる仕事を紹介出来るけどどうだ」
騙して娼館にでも売り飛ばす気だろうか?当たりかもしれない撒き餌を撒いて行こうおこう
「残念だけど旅の巡礼の神官の護衛の仕事を受けているから要らないわ、古傷でも治せる腕を持っている只同然の寄付をして女神様に感謝のお祈りのふりでもすれば直してくれるわよ、おまけに私よりいい女だ頼むなら早くした方がいい、明後日には次の街に向かう予定よ」
これで食いついてくるだろう
「景気が良くて羨ましいな、俺たちも護衛に雇ってくれないか?この先の峠には山賊が出るって話だ、護衛が1人なら危ないぜ」
リーダーらしき男が言って来た
「依頼人次第だね、女を指定して依頼をしていて私が受けたんだ明後日の朝にここに寄らせてもらうことにするわ、依頼するかは分からないけれど情報のお礼に治療して貰える様に話をしておくから」
これでこいつらが盗賊たちのお友達かこいつらが自身が盗賊なら確実に釣れる
相手も同じ様に思っているだろう酒を一杯ずつ奢ってカトレア達と合流した、後を付けてくるかと思ったがその様子はない、外れかそれとも馬鹿な大当たりか明後日が楽しみだ
「巡礼の旅の神官なら騎士が護衛に付きます、そんな嘘に騙されるでしょか?」
イザベルが私の話しに疑問符を付ける
「それに気が付かない様な馬鹿だから食い詰めて、馬鹿な事をするのさ、明日一日でこの街のタダ働きは終わるって話だったわよね?」
イザベルをからかった
「ダリア様、奉仕活動です、馬鹿を釣り上げる餌でもあります悪い話じゃ無かったでしょう?」
生意気にイザベルが返してくる
「そうね、目立つ疑似餌で助かるわ、明日仕掛けてくるほど馬鹿じゃないと思うけれどしっかり監視しておくわ、奉仕活動に集中してくれたらいいわ」
「ダリア様も美味しそうですよ、ギルドで絡まれなかったんですか?」
言う様になった、最初に魔王城に忍び込んできた時に消費しなくてよかった
鴨がネギを背負って来た上に鍋まで用意てくれた、3人共上物だ、全員俺たちで楽しみたいが2人の神官は価値が激減するだろう護衛の女1人で手下に我慢させよう、生贄に使える処女の神官なら高値で売れる雑魚共が何人かやられるだろうが分け前が増えて好都合だ、最近は仕事がやり辛くていけない、そろそろ潮時だ、最後に最高の獲物がかかった
「お前ら神官2人は無傷で捕まえる、楽しみたいのなら護衛の女を捕らえろ、冒険者ギルドで見た感じ少しは出来る様だこれが仕事納めになる、反撃されて傷を負い動けない奴は置いていくから気を付けろ」
お俺も甘くなったもんだ余計な忠告までしちまった
「景気づけに前祝いだ、明日の仕事に響かない範囲で好きに楽しめ」
控え目に飲んだはずなのに直ぐに眠くなった明日は早い楽しむ手下を置いて先に眠り付いた
次に目を覚ました時には手下おらず今までの稼ぎも消えていた、2日も経っており頭がしっかりしない、どうやら一服盛られた様だ、やきがまわったみたいだ致死量まで飲まなかったお陰で命拾いをした、追いかけて稼ぎを取り返したいが手遅れだった
獲物の行方どころか手下1人として行方がつかめない、隠していた一部の稼ぎを回収して田舎に帰ろう、畑でも買って俺ともう1人くらいなら食っていけるだろう、俺の面だとそのもう一人を見つけるのが難しい、獲物を手下に攫われて無けりゃ金で何とでもなったはずなんだが俺は運が悪い
いや俺の詰めが甘いだけか、それでも冒険者として一旗揚げたと田舎で自慢できるくらいの稼ぎは残っている引き際が肝心だ、この様では命が助かっただけでも有難いだろう
「イザベル、何か手抜かりが有るような気がするんだけど心当たりはないかしら?」
ダリア様が聞いて来た
「襲撃してきた山賊も手引きした奴らも一網打尽にしたはずです、ギルドで治療した者達も全てを捕らえてあります、違法な人身売買組織も「法王国」に連絡して壊滅させる手筈は付いています、もう一度街に戻ってギルドを調査しますか?」
全ての冒険者が悪事を働いた訳ではないだろう、小悪党くらいはまだ残っているかも知れないが重罪人は逃がしていないはずだ
「そうだな、ギルドでもう1人か2人獲物がいたような気がするけれど組織の者かもしれないわね、定期的に狩りに出ることになったし組織の方は「法王国」に任せたらいいかしら、その内出会うかもしれないわね」
ダリア様も実験材料を手にいれてご機嫌だ、この先もカトレア様と巡礼に出る事が出来そうだ




