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100/185

100.親子

少しは状況を把握出来た、その情報の多くがゲオルグと言うかつての部下だった男から聞いたものだ、私が魔王になった前世では若造だった男が今では死にぞこないの老いぼれだ、私の死後300年近く経過している


それでも見た目と違いまだまだ戦える様だ、肉体は年老いているがその代わりに経験と技術を蓄えている、先ほどのアルラウネが師匠と呼んでいた、「蟲毒壺」の孫のスキルを失っているにも関わらず自分の腕で毒を生成し調合出来る


弟子として学んだアンジュと言うアルラウネも強力だ「蟲毒壺」のスキル頼りでは無く蟻や蜂などの強力な魔物を使役している、どうやら死霊魔術も使いこなせるようだ従魔契約を結んで仕えている人間の女に「情報共有」を禁じられたため使える毒等の手札は不明だがゲオルグはこれ以上教える毒は無いと言う


そして問題なのがこのアルラウネの主である人間の女「勇者カオリ」だ彼女が魔王であれば前世の全盛期の私でも忠誠を誓っただろう力を有しているが権力欲は無い様だ、今代の魔王は「法王国」と和平を結び雌伏の時を過ごしている


表面上は穏やかに聖女に次ぐレベルの人間を側において過ごしているがその気になれば十分に戦えるだけの力を備えている、魔王は人間の女だが強力な魔術師で吸血鬼の真祖になれる秘術を持っている、彼女の副官の女も実力者のようだ、この二人をしても戦闘を避けるのが「勇者カオリ」と「聖女イライザ」の2人だ


聖女イライザは「蟲毒壺」のスキルを使い一時的に性転換した勇者カオリの子供を産んでいる母のカミラやゲオルグの話によると、勇者カオリは異世界生まれの私の姉だと言う、そう言われて深く探れば魂の中にダークエルフの痕跡が有った、血を介しての子孫では無いが魂を介して前世の私の子孫であるようだ


そして厄介な相手がもう1人居る私の父親?だ、勇者カオリ同様に異世界出身の魂を持ち一度は私の姉として母が産んだ女が性転換して私の父親になったという、母の執着にも困ったものだが確かに優秀な種をもらったことは有り難い


問題はその女がどういう訳か世界樹の若木を授かり自分の森を拡大させている事だ、現在では我らダークエルフの森の半分程まで領域を拡大していると言う、ドライアードや自分の血で育てたアルラウネ達を率いて今後も拡大すると思われる、おまけに男として「法王国」の聖女を虜にしているらしい


魔王になれる実力を持った2人が魔王軍以外の勢力の意志決定を握っている、そしてこの2人の関係は良好だ、父は勇者カオリの息子に聖女に産ませた娘を縁づかせようと画策しているらしい、対応策を考えると私が勇者カオリの息子を落とすと言う方法が浮上する


冗談では無いが私が前世の様に魔王に就任して2人を打倒する事よりも簡単で成功確率も高い、暗殺をしようにも2人共成功が厳しいターゲットだ父は暗殺者としての腕もたつ、勇者には私以上の「蟲毒壺」のスキルがあり彼女の弟子たちも強力で優秀だアルラウネのアンジュもカオリママと言って慕っている


ゲオルグまでカムイと言う名の勇者の息子と私との間に後継者が産まれる事を期待している、弟がそれなりに力が有るのが問題だ私が後継者で無くとも大丈夫なのだ、頭では一番有効な権力を手に入れる方法であるのが理解できる、だからと言って女としてこの先も生きる気はない


そんな中希望が見えた勇者はこの後も子供を産む気でいるらしい、聖女とどちらが子供を孕むかと言う意味の分からない勝負をしていると聞いた、ここで娘が産まれれば男として口説き落とせば未来が開ける、カムイが親の様に権力欲が無ければ争う必要も無く権力を握れる


そんな事を考えながら母から授乳して貰うたびに弟のカインの分を横取りしようとしては母に咎められて侍女の手での哺乳瓶に入った毒入りの粉ミルクを飲む生活が続いた、まだ一日の半分以上を寝て過ごしている早くオムツから解放されたい





ヒルダには困ったものだ幾ら注意してもカインを蹴って乳を独占しようとする、ダークエルフで魔王になった魔王エミルの生まれ代わりの様だ、強力な子供を探して転生できるように何らかの魔法か秘術を使ったのだろう、香織が与えた「人面疽」を使ってゲオルグと悪巧みをしている


最初はゲオルグの提案した香織の息子と結ばれる事を目的にしていたようだが前世の様に男の身体を獲得して今後に生まれるかもしれない香織の娘を狙っている様だ「捕らぬ狸の皮算用」どころでは無く産まれれもいない娘を狙っている


香織とイライザが不毛な戦いをしている事は知っている、お互いが自分の妊娠を避けながら相手を孕ませようと一晩おきに攻守を入れ変えて楽しんでいるらしい、今ではもうお互いの性欲をぶつけ合うだけの獣以下の有様だという魔法で修理出来るからと寝台どころか寝室まで破壊するらしく、スーザンですらカムイや自分の娘達の教育に悪いと心配している


もう一人のヒルダ今ではチヒロだが何をしているのか分からない着実に森を拡大させている、アンジュが持て余した香織とリーゼロッテの血で育ったアルラウネ達を譲った後から何ひとつ情報収集が出来なくなった


アンジュはアンジュで何か悪巧みをしている、カトレアやダリアと頻繁に会っては何かを準備している「法王国」に対するモノでは無く南部の強力なモンスタが生息する未開の領域を調査するのかもしれない魔王の支配も受け付けない未知のモンスターも潜んでいると伝わっている


あまり余計な真似はして欲しくは無いのだが私がどうこう言える立場ではない、探りを入れると「予想外のスタンピード等が起こる前に調査をする」と言うのだ、ダリアなら意図的にスタンピードを計画しかねない人間の支配領域の前に魔王軍の支配領域が有るのだ、余計な挑戦は勘弁して欲しいものだ

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