留守番三人の内緒事
ヴィヴィとサボ、アンゲルはティータイムに入っていた。朝から出掛けているカナガン伯爵家のご一行とそこに付随してしまったであろうランドルフを思いケニア邸に勤めているヴィヴィ、サボ、アンゲルは、同時に深い溜息を吐いた。
(ランドルフ様の性格的に、カナガン家を追っかけたはず。)
三人は前のランドルフとケニアの結婚の経緯を知っている。アンゲルに関しては、戦犯と言っても過言ではない位に関わってしまっている。
何なら、あの時に公爵にケニアの存在を教えなければ、こんな事には成らなかったかも知れない。オルゲーニ公爵も、もしかしたら存命だったかも知れない。
今となっては全てがタラレバの話ではあるが。
ルーベンスとケニアの結婚をダメにしてしまったのもオルゲーニ公爵家であり、今回はルーベンスと再婚出来るようにもっていこうと思っていたが、ランドルフが本気でケニアに恋心を持ってしまった。
こうなると、ランドルフを幼いころから見守ってきた三人にとっては、応援が難しい。
「ルーベンス様とケニア様もお似合いだとは思うのよ。・・・・でもね、ランドルフ様だって、本来は性格良いのよ。悪女に騙されてしまう位には良い人なのよ。」
ヴィヴィの言葉にサボが反応する。
「そうだよな。幼い頃から優しくて、可愛らしい方だったよな。あの女に引っかかるまでは。」
「トーニア嬢ですね。今はどうなさっているのか。」
アンゲルが、遠い目をしながらカップに口を付けた。
「確か修道院送りじゃなかったかしら?」
「あそこからランドルフ様の女難は始まりましたよね。」
「女難じゃないわよ。女を見る目がないのよ!」
サボに冷たくヴィヴィが返した。
「マティス様のように、お見合い結婚を目指されていれば、こんなことには。」
「お見合い結婚をダメにしたのはランドルフ様よ!」
アンゲルにヴィヴィが嚙みついた。
確かにオルゲーニ公爵とアンゲルが計略したお見合い結婚だったが、既に時遅しだった感はある。トーニアに振られてからランドルフは、女性一辺倒になってしまった。
「大体、中間の考え方が出来ない事がランドルフ様の致命的な欠陥なのよ!」
「それは、人それぞれの考え方で。」
「甘い!甘いわ。あなた方がしっかりとご教育をされたら柔軟な考えを持つ事も出来たかもしれないでしょう。」
ヴィヴィは、徐々に昔のランドルフを思い出してヒートアップしていった。
サボが宥めようとすると、もっとヒートアップしてしまう。
これは不味いと思ったアンゲルが、ヴィヴィに問いただす。
「私たちだけではなくて、そこにはヴィヴィ様の存在はないのですか?あなただって、ランドルフ様を諫められる立場にあったじゃないですか?」
ヴィヴィは、ぐっと喉を鳴らして押し黙った。
「結局ランドルフ様のご教育を失敗したのは私たち全員に責任があるんですよ。」
三人はまた大きな溜息を吐いた。
「今になって、ケニア様の良さに気が付くなって・・・・・遅すぎるのよ。」
「ルーベンス様もお気の毒に。一度ランドルフ様に横やりを入れられているというのに。」
サボは、ルーベンスを思うと同情心が頭を持ち上げてくる。出来れば、二人を応援してあげたい。
「でも、ルーベンス様も前回と違って今回は楽しそうですよね。今回はちゃんと戦うステージはある訳ですから。」
アンゲルが最近のルーベンスを想い出しながら微笑む。
「前回は気が付いたら、ランドルフ様の婚約者だったものねぇ。あれは、ないわ。」
ヴィヴィが、鋭い目でアンゲルを見た。
「こちらも公爵家を守らなければいけませんでしたらかね。苦渋の決断だったんですよ。」
ヴィヴィがケーキにフォークを入れて小さく切り口へと運んだ。
「私は、ケニア様の気持ちに沿うわ。」
「「そんなことは当たり前でしょう。」」
「その当たり前のことに悩んでいた癖に。二人とも何それ。」
二人を交互に睨みながら、ケーキをどんどんと口へと運んでいく。あっという間にケーキを完食すると、最後にお茶を流し込むように飲み干して立ち上がった。
「じゃぁ私は仕事がありますので。お二人とごゆっくり。」
ヴィヴィの皮肉を受けてアンゲルとサボも慌ててケーキとお茶を胃袋に収めた。
そして速足で部屋を後にした。これ以上ヴィヴィを怒らせないように。
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