犬と人間2
ランドルフと楽しそうに並んで歩くケニアの後ろをルーベンスが歩いてルーベンスの後ろをカナガン伯爵達が付いて歩いていた。
「お兄様。私文具店に行きたいのだけど。」
ケニアが後ろを振り返りルーベンスに訪ねると、ルーベンスはきれいな笑顔を浮かべて良いよ。と頷く。しかし、その後ろをついて歩くカナガン家の者たちはルーベンスから発せられている恐ろしいオーラに慄いていた。
「あれ、絶対に切れているわよね。」
「・・・・・・だね。」
「こういう時には年長者の父上が助け船を出すものじゃないの?」
「無理、無理、私には無理。」
「叔父上・・・・。」
ハンスの縋る目線にハートを射抜かれたエドガーが数歩前に出てルーベンスの横に着いた。
「文具店はきっと、ハンスの為の買い物だ。ハンスの事を理解しているのは、ランドルフ殿ではない。チャンスだ。」
ルーベンスは、父親には全く視線を動かさずに、真っすぐに二人を見つめたまま頷いた。
(あの時には、既に王家が入ってしまっていて無理だったが、今は違う。ケニアは僕のものだ。)
ルーベンスは、今回は絶対に引かない誓いを心に立てた。
文具店に行くと、全員は入ることが出来ないということで、エドガーとベルとデルタは直ぐ傍にある公園のベンチで待つこととなった。
「ハンスはどんなペンが良い?」
「お姉様と兄上が選んでくれるなら間違いはないからどれでも良いですよ。」
ハンスは、暗にルーベンスも選んでくれるように促した。
「最近は、きれいな模様のガラスペンが流行っているわよね。家の机だったら、ガラスペンとインク壺が欲しいわよね。持ち歩き用のペンにインクが入ったタイプが学園では流行しているって聞いたわ。」
「そうだね。こんなのはどうだいハンス。」
ルーベンスが、ガラスペンと携帯用のぺンをハンスに差し出すとハンスは目を輝かせた。
「素敵だね。僕それにしようかな。」
「こちらはどう?僕の周りでは人気だったよ。」
ランドルフが差し出したガラスペンには、小さな宝石が散りばめてあり、握ると宝石が当たり長時間持つことは難しい飾り用のペンだった。そして、次に差し出してきた携帯用のペンは、一見天の川をイメージした意匠で、きれいなのだが、こちらも実用的ではなかった。
「公爵様・・・・・これは、僕は使えないみたいです。」
「そうかい?僕の周りの人達は好んで持っていたよ。」
「それは自慢する為に持のだと思いますよ。ランドルフ殿も持ってみて下さい。」
ルーベンスは、ハンスからランドルフに渡して、その実用性を自分で試してみるように促した。
「あれ、これ使いにくいね。どうしてみんなこれを欲しがっていたんだろう。」
ルーベンスは、値札を指さして教えた。
「こんな使えないペンが何でこんなにするの!」
「宝石のせいだと思いますが。それ無駄に宝石が付いているじゃないですか。ランドルフ殿のご友人は、お高いものが好きじゃないですか。しかし、お勉強は・・・・・ね。」
ルーベンスは、ランドルフの友人たちが、どういった人種なのかを暗に示した。
「成程!確かに僕の友人で在った人達は、勉強も仕事もしない前の僕と同じ穀潰しだからね。僕は、もう違うけどね。」
ランドルフの言葉に我に返ったケニアは軽蔑の眼をランドルフに向けた。そして、少しずつ距離を取りルーベンスの後ろに隠れた。
「あれぇ。」
ランドルフは苦笑いをして、ケニアに距離を取られたことを残念に思いながらも、それ以上近づくことはしなかった。
ランドルフから、離れたケニアは文具店で会計を済ませてからは、ルーベンスの隣に張り付いて、時折ランドルフに冷たい視線を向けていた。
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